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民法とNPO法について 投稿者:富山の労働者 投稿日:2002/11/02(Sat) 22:14:00 No.1464
いつもありがとうございます。
ひとつお聞きしたいのですが私の読みました文献に
「民法の特別法としてつくられたNPO法は、法理論上、公益法人よりも広い
非営利法人法を制定できなかった。ゆえに、今後、NPO法で定められている
12分野を広げるよう改正しても、NPO法が民法の下にある限り、限定列挙
という条件は必ず入ることになる。」と書いてあったのですが、なぜ民法の下
にある限り、限定列挙という条件は必ず入ることになるのでしょうか。
疑問に思いましたので、宜しくお願いいたします。
Re: 民法とNPO法について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/11/06(Wed) 17:17:00 No.1465
富山の労働者さん、

いつもご投稿ありがとうございます。

富山の労働者さんは、すでにご存知のことと思いますが、現在の民法は公益法人と
営利法人しか認めていません。そのため、この公益と営利の間の団体は、民法34
条の公益法人の規定のもとの特別法として、社会福祉事業法とか、私立学校法など、
たくさんの特別法がつくられ、それによって法人化されてきたのです。
NPO法もその特別法のひとつです。

NPO法を策定する際、そもそもはこの複雑化した民法自体を変えなければならな
い、という議論はあったのですが、すでに多くの法人がこれらの特別法のもとで設
立されていて、それらとの調整を行うと膨大な時間を要することから、NPO法も
特別法のひとつとしてつくられた経緯があります。

ということは、NPO法人についても、この民法第34条の特別法のもとで設立さ
れた他の法人との理論的な「すみわけ」が必要になってきたわけです。第34条の
特別法ですから、第34条より範囲をせまくして、他の特別法でできた法人との違
いも明らかにしなければならないということになった訳です。

とりわけ、立法府の専門家が主張したことは、「特別法(この場合はNPO法です)
は一般法(この場合は民法です)よりせまくならなければならない」ということで
した。NPO側およびNPO側の法律実務家は、「特別法は一般法に優先する」と
いう原則から「そのような主張はナンセンス」であると主張したのですが、立法府
の専門家は頑としてゆずらず、結局、なんらかの形で、公益法人よりも狭めなけれ
ばならなくなったということです。

そこで、どう狭めるのかがポイントとなったのです。

例えば、社会福祉法人や更生保護法人では、特定の「事業」を限定し、その事業を
行うことを「目的」としています。そこで、NPO法では、特定の「活動」を限定
し、その活動を行うことを「主たる目的」としたのです。この特定の活動というの
が、12分野の活動で、法律では特定非営利活動と呼んでいます。

ただし、法律上ではこの活動は限定列挙ですが、よく考えると、ほとんどの市民活
動はこの12分野にあてはまります。

また、現在は小泉政権下で公益法人改革についての議論が活発になってきており、
今後は民法も変わる可能性があると思います。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 民法とNPO法について 投稿者:富山の労働者 投稿日:2002/11/07(Thu) 06:37:00 No.1466
轟木先生、お忙しいところありがとうございました。
今後はNPO法の解釈論から立法論に視点を変え、勉強します。
ありがとうございました。

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