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広義と狭義の公益法人 投稿者:一大学生 投稿日:2002/11/28(Thu) 04:26:00 No.1534
・「狭義の公益法人」には統一的な「公益法人の設立許可及び指導監督基準」がありますよね。
ではNPOを含めた「広義の公益法人」には、これに該当するものはあるのでしょうか?
さらに狭義と広義を含めた基準(特に公益性)はありますか?
NPO以外には、主務官庁ごとの自由裁量的な公益概念が残っているということですか?

・狭義であろうと広義であろうと所管官庁が指導監督するわけですよね。
同じ所管官庁でも許可・認可・認証では、公益性の判断は異なるのでしょうか?

・「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の対象が「狭義の公益法人」、
「公益法人制度の抜本的改革」の対象が「狭義の公益法人」「NPO法人」「中間法人」だと、
「広義の公益法人」からNPO法人を抜いた法人は、統一的にしなくていいということですか?
「NPO法人」と「他の広義の公益法人」の活動でぶつかる分野も多いですよね。
なぜ「広義の公益法人」は特別なんでしょう?
Re: 広義と狭義の公益法人 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/11/28(Thu) 08:06:00 No.1535
一大学生さん

> ・「狭義の公益法人」には統一的な「公益法人の設立許可及び指導監督基準」がありますよね。
> ではNPOを含めた「広義の公益法人」には、これに該当するものはあるのでしょうか?

ありません。今、「公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会」で検討されているところです。
このHPのインタビューコーナー、山岡さんの項を参照ください。

> さらに狭義と広義を含めた基準(特に公益性)はありますか?

ありません。公益性の基準らしきものは、民法第34条、公益法人の設立許可及び指導監督基準
の第一項、特定非営利活動法人非営利活動促進法の第2条第1項くらいしかありません。

> NPO以外には、主務官庁ごとの自由裁量的な公益概念が残っているということですか?

そうです。

> ・狭義であろうと広義であろうと所管官庁が指導監督するわけですよね。

NPO法人に関しては相当の理由があるときを除き、指導監督はないことになっています。設立
に際しても、NPO法人の場合は書類の要件が整っているか点検されるだけで、所轄庁に指導監
督の権限はありません。勘違いされてる役所もありますが。

> 同じ所管官庁でも許可・認可・認証では、公益性の判断は異なるのでしょうか?

許可と認可は同じですよね。NPO法人以外の公益法人がこれに当たります。認証はNPO法人
だけです。そういう意味では公益性の判断は異なっています。

> ・「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の対象が「狭義の公益法人」、
> 「公益法人制度の抜本的改革」の対象が「狭義の公益法人」「NPO法人」「中間法人」だと、
> 「広義の公益法人」からNPO法人を抜いた法人は、統一的にしなくていいということですか?

これは私もおかしいと思います。私だけでなく色々なところでこの点に関する疑問は表明されて
います。根本的には、営利法人以外をすべて対象とする「非営利法人基本法」のようなものがい
いのか、それとも共益法人を除いた「公益法人基本法」のようなものにするのかいずれかが必要
でしょう。ただ、気をつけなければいけないのは、統一した基本法を構想した時に、せっかく実
現したNPO法の先進性を損なうようなことがあってはならないということです。

> 「NPO法人」と「他の広義の公益法人」の活動でぶつかる分野も多いですよね。
> なぜ「広義の公益法人」は特別なんでしょう?

私は前述のように特別扱いはおかしいと思います。考えられるのは、社会福祉法人や学校法人や
宗教法人を含めると利害関係者が増えすぎて(既得権が多すぎて)最初から調整不可能とあきら
めているのではないだろうかということです。

以上はあくまで私の個人的な見解です。

                       公認会計士・赤塚和俊
Re: 広義と狭義の公益法人 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2002/11/28(Thu) 12:54:00 No.1536
一学生さん、

> 同じ所管官庁でも許可・認可・認証では、公益性の判断は異なるのでしょうか?

公益性というより、法人設立の方法という面で許可、認可、また認証について
以前答えたことがありますので、こちらもどうぞご参照ください。
この「質問箱」の156番と、159番です。

質問箱の一覧のページの下部にある「閲覧」のところに番号を入れてクリックし
てください。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 広義と狭義の公益法人 投稿者:ぱいん 投稿日:2002/12/02(Mon) 20:38:00 No.1537
「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)は、
閣議決定であっても、政令のように法規的性格のものではなく、
単なる申し合わせに過ぎないものです。
申し合わせが幅を利かせているのは問題だと思います。

たとえば、特定非営利活動促進法については、内閣府令と都道府県条例という
法規等で規定されています。

本来 社団法人や財団法人についても、自由裁量に基づくものではなく、
法規で明確な法的基準のもとで、運用すべきであると考えています。

> ・狭義であろうと広義であろうと所管官庁が指導監督するわけですよね。
> 同じ所管官庁でも許可・認可・認証では、公益性の判断は異なるのでしょうか?

なお、認証制度は、宗教法人、職員団体法人、労働組合法人などで採用されています。

宗教法人法第12条  宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、
 その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。
同法第14条  所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を
 附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えて
 いるかどうかを審査し、これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし、
 これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添附書類の記載に
 よつてはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証するこ
 とができない旨の決定をしなければならない。
 一 当該団体が宗教団体であること。
 二 当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
 三 当該設立の手続が第十二条の規定に従つてなされていること。

職員団体等に対する法人格の付与に関する法律第3条 規約について認証機関の認証を受けた職員団体
 等は、その主たる事務所の所在地において登記することによつて法人となる。
第4条 規約について認証を受けようとする職員団体等は、命令(第九条第一号又は第五号の職員団体
 等に係る事項については人事院規則とし、同条第二号又は第六号の職員団体等に係る事項については
 最高裁判所規則とする。以下同じ。)で定めるところにより、申請書及び規約を認証機関に提出しなけ
 ればならない。
第5条 認証機関は、前条の規定による申請があつた場合において、当該規約が次の各号に掲げる要件に
 該当するときは、次条の規定により認証を拒否する場合を除き、命令で定めるところにより、当該規約
 を認証し、当該職員団体等にその旨を通知しなければならない。

労働組合法第5条 労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第二条及び第二項の規定に適合することを
 立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を
 与えられない。但し、第七条第一号の規定に基く個々の労働者に対する保護を否定する趣旨に解釈され
 るべきではない。
第11条 この法律の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受けた労働組合は、その主たる事務所の所
 在地において登記することによつて法人となる。

職員団体法人や労働組合法人については、認証機関に指導監督権がないことになっています。

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