Re: 預かり金について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/12/16(Mon) 20:43:00
No.1594
湊 理恵さん
「預り金収入」と「預り金支出」は収支計算書に使う科目です。これに対し
「預り金」は、貸借対照表や財産目録に使う科目です。
これだけではわかりにくいでしょうから、具体例で示します。
期首に資産は現金1万円だけ、負債は預り金が1万円だけの法人があったと
します(繰越の正味財産はゼロということです)。
今年は他の取引は全くないものとして、預り金の収入が5万円、預り金の
支出が4万円だけあったものとします。期末の現金と預り金の残高は2万円
です。
このとき、収支計算書と貸借対照表は次のようになります。
収支計算書・収入の部
預り金収入 50,000
前期繰越資金 10,000
計 60,000
・支出の部
預り金支出 40,000
次期繰越資金 20,000
計 60,000
貸借対照表(期末)
資産の部 現 金 20,000
負債の部 預り金 20,000
ただし、預り金の収入と支出は相殺して預り金収入1万円だけ表示する
方法も認められます。純額表示と言います。
ここからは、もっと詳しく知りたい人へ
預り金も資金の一部(マイナスの資金)という考え方もあります。
この場合は「預り金収入」や「預り金支出」という科目は使いません。
「預り金」という科目も使いません(資金を構成する一部ですから)。
今回の例では、収入も支出もゼロ、貸借対照表も(期首期末ともに、
資産の部(繰越資金)ゼロ、負債の部 ゼロ ということになります。
折衷で、収支計算書には預り金の収支を表示しないが、貸借対照表に
は預り金を負債として表示するというやり方もあります。この場合は、
収支計算書の次期繰越が貸借対照表のどの部分なのか、つながりが見
えなくなります。脚注などで示した方が親切です。
さらに言えば、すべての資産、負債を資金の概念に含めてしまえば、
収支計算書は企業会計の損益計算書と全く同じものになります。
公認会計士・赤塚和俊