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有償ボランティアについて 投稿者:一大学生 投稿日:2002/12/20(Fri) 15:54:00 No.1629
 いつも質問に答えていただきありがとうございます。

 最近よく耳にする「有償ボランティア」ですが、得た所得は「雑所得」ですよね。
そうすると、「給料」のように所得控除がないんじゃないですか?

 たとえば、有償ボランティアをおこなっている法人が、事業を
収益事業として法人税を課されれば、有償ボランティアをした人は
「給料」として所得控除が受けれるわけですか?
でも最低労働賃金に達してなければ、違法になるんですか?

 寄付金控除のように、有償分を控除する方法はないんでしょうか?
Re: 有償ボランティアについて 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/12/21(Sat) 11:55:00 No.1630
一大学生さん

>  最近よく耳にする「有償ボランティア」ですが、得た所得は「雑所得」ですよね。
> そうすると、「給料」のように所得控除がないんじゃないですか?

有償ボランティアと言っても実際には時間いくらという計算になっている場合が
多いと思います。そうであれば所得税法上は給与所得になりますので、給与所得
控除は受けられます。

>  たとえば、有償ボランティアをおこなっている法人が、事業を
> 収益事業として法人税を課されれば、有償ボランティアをした人は
> 「給料」として所得控除が受けれるわけですか?

本人の所得が給与所得かどうかは、その従事する仕事が法人税法上の収益事業か
どうかとは全く関係ありません。

> でも最低労働賃金に達してなければ、違法になるんですか?

この点に関しては労働省(当時)との間で了解というか黙認というか話がついて
いると聞いたことがあります。私より詳しい方に回答お願いします。

>  寄付金控除のように、有償分を控除する方法はないんでしょうか?

この質問は、支給を受ける人にとってということでしょうか、それとも支給する
団体にとってということでしょうか。前者であれば、通常の給与所得者の場合と
同じです。有償ボランティアだからといって特別の控除はありません。後者であ
れば、実際に支払った金額は(仮に収益事業であれば)経費として認められます。

もう一つ、ボランティアの場合は無償部分は寄附(労力の提供)という考え方(こ
れは有償ボランティアには限りません)もありますが、日本の税法はこれに関して
は全く認めていません)。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 有償ボランティアについて 投稿者:一大学生 投稿日:2002/12/21(Sat) 18:45:00 No.1631
 早速お答え頂きありがとうございます。

 先日の質問は少し言葉が足りませんでした。もう少し詳しく書かせてもらうと、
ある市が募集した「子供に運動を教える有償ボランティア」を友人がしたところ、
市の人に「このお金は市からの給与じゃなくて謝礼金なので、雑所得」と言われたんです。
で、税務署に聞いたら「雑所得は控除はないよ」と言われたそうです。
もらったお金は年間で40万円くらいです。
友人は結婚していて、ダンナさんは会社から給与をもらっています。

 堀○さんがもめているのは「有償ボランティアは対価のある支払いじゃなくて謝礼金だ」
というものだったと記憶しています。

 それで、よくわからなくなってしまったわけです。
「給与ならば、ボランティアをした人には所得控除がある、
謝礼金ならば、ボランティアをした人には控除がないということになるのかな?」
と思ったわけです。

 子供に運動を教えるということは営利企業もしています。
教える内容は同じです。彼女は結婚前までプロのインストラクターをしていたので
市から採用されました。アマチュアが教えているわけではありません。
それが、善意で安い金額で教えたほうに控除がないというのは、おかしいですよね。
堀○さんのしている活動が請負業ならば、これも委託しているわけで、
整合性から言えばアルバイト料とか委託料か外注費ですよね。
市は廉価な労働力として有償ボランティアを利用しているとしか思えません。
安い賃金で控除も要らないならば、行政が有利なだけじゃないですか。

市や税務署から雑所得と言われても、
確定申告の時に給与所得としてもいいということでしょうか?
それとも不服申立てをしなければならないのでしょうか?
それとも素直に税金を払うべきでしょうか?

年末調整の時期なので、困ってしまっているんです。
Re: 有償ボランティアについて 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/12/22(Sun) 11:05:00 No.1632
一大学生さん

市の言わんとするところは、これは雇用契約ではないということでしょうね。
確かに雇用契約でなければ、給与所得ではなく雑所得ということになります。
また、引き受けた方がプロで、継続的にその仕事をされているのであれば、
雑所得ではなく事業所得という考え方もあります。

雑所得でも事業所得でも、その仕事を遂行するための必要経費を差し引いた
残りが課税所得です。逆に言えば、給与所得の場合はその必要経費が概算で
認められているということです(これが給与所得控除です)。

要は税法上は、有償ボランティアであろうと謝礼金であろうと、本人の所得
に課税するのであり、給与所得に限って必要経費の控除の代わりに給与所得
控除があるということです。事業所得として課税される人に言わせれば、給
与所得控除は実際にかかる経費に比べて大きすぎるという批判もあります。

ただし、プロの技術に対して報酬が支払われたのであれば、その所得の必要
経費には、その技術を維持するための費用も含まれます。あるいはたとえば
原稿料であれば、取材費や参考書代も必要経費です。引き受けた仕事をする
ための交通費も経費です。今回のご質問のケースではそういった必要経費を
控除して確定申告するしかないと思います。年間40万円の収入であれば、必
要経費と38万円の基礎控除を差し引けば課税所得はゼロとなると思います。

また、これは今からでは間に合いませんが、もし事業所得ということであれ
ば、青色申告の届けを出せば(条件は帳簿の記帳などです)青色申告控除を
受けることができます。

> 市や税務署から雑所得と言われても、
> 確定申告の時に給与所得としてもいいということでしょうか?

税法は実質判断ですから、名目が謝礼でも実態は雇用契約だということが明
らかであればそういったことも可能ですが、このケースでは難しいでしょう。

> それとも不服申立てをしなければならないのでしょうか?
> それとも素直に税金を払うべきでしょうか?

上記のように、今回は雑所得でも(他に所得がないならば)税金は生じない
と思います。

> 年末調整の時期なので、困ってしまっているんです。

同様に、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられます。ただし、配偶者特別
控除は収入から必要経費を差し引いた金額によって変わります。その金額が
38万円以上であれば、配偶者特別控除は受けられません。

           公認会計士・赤塚和俊

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