NPO法人がする寄付金 投稿者:
一大学生 投稿日:2002/12/23(Mon) 02:28:00
No.1638
先日は質問に答えていただいてありがとうございます。
何度も質問するのは心苦しいのですが、できれば教えてください。
みなし寄付金がある公益法人は、公益法人や特増法人に寄付をしても
寄付金制度適用がないと石○さんの本で読みました。
では、みなし寄付金がないNPO法人や認定NPO法人の場合は
どうなんでしょう?
もし所得が同じ二つのNPO法人があって、お互いに所得の2.5%を
寄付しあえば、事実上みなし寄付金になるので、やっぱり
NPO法人がNPO法人には寄付しても損金算入できないのでしょうか?
同様に公益法人等や特増法人にも寄付しても損金算入できないのでしょうか?
NPO法人が共同募金に募金するとかありそうにも思うのですが。
もし公益活動をする法人同士で寄付しても損金算入できないとすれば、
学校法人で50%、公益法人で20%、NPO法人で2.5%損金算入できる寄付金とは、
公益や慈善目的でない、政治献金のようなものばかりということですか?
さらに認定NPO法人にだけみなし寄付金がみとめられたら、
またややこしくなりますよね。
資金不足のNPO法人が寄付するというのは、あまり現実的ではないんですが、
よろしければ教えてください。
Re: NPO法人がする寄付金 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/12/23(Mon) 10:00:00
No.1639
一大学生さん
> 何度も質問するのは心苦しいのですが、できれば教えてください。
ほかの方の参考にもなると思いますので、遠慮なく質問して下さい。
> みなし寄付金がある公益法人は、公益法人や特増法人に寄付をしても
> 寄付金制度適用がないと石○さんの本で読みました。
公益法人等(NPO法人は含みません)が特増法人に寄附しても、特増
法人に関する損金算入枠が使えないのはその通りですが、それ以外につ
いては、当該法人の本来事業に対する寄附(みなし寄附金)と合わせて
所得の20%までの損金算入が認められます。
> では、みなし寄付金がないNPO法人や認定NPO法人の場合は
> どうなんでしょう?
認定NPO法人に関しては今回の税制改正大綱でみなし寄附金が認めら
れることになりました。施行は2003年4月の予定です。認定NPO法人
以外のNPO法人にみなし寄附金の適用がないのは従来通りです。
通常のNPO法人の場合は一般の営利法人と同じ損金算入限度額が適用
されます(利益の2.5%と資本の0.25%を足して2で割るというものです)。
NPO法人には資本はないので利益の2.5%が限度額です。
> もし所得が同じ二つのNPO法人があって、お互いに所得の2.5%を
> 寄付しあえば、事実上みなし寄付金になるので、やっぱり
> NPO法人がNPO法人には寄付しても損金算入できないのでしょうか?
互いに寄附しあってもみなし寄附金というわけではありませんが、その
場合、収益事業に必要な経費かどうかが問題になります。そもそも収益
事業に必要な経費でなければ限度額以前に損金算入自体あり得ないこと
になります。
> 同様に公益法人等や特増法人にも寄付しても損金算入できないのでしょうか?
> NPO法人が共同募金に募金するとかありそうにも思うのですが。
これも同じです。まずは収益事業にとって必要な経費かどうかが問題で
す。その上で、必要な経費であれば所得の2.5%が損金算入されます。
> もし公益活動をする法人同士で寄付しても損金算入できないとすれば、
> 学校法人で50%、公益法人で20%、NPO法人で2.5%損金算入できる寄付金とは、
> 公益や慈善目的でない、政治献金のようなものばかりということですか?
そうではないことは、上で述べた通りです。
> さらに認定NPO法人にだけみなし寄付金がみとめられたら、
> またややこしくなりますよね。
認められることになりましたが、そんなにややこしい話ではありません。
> 資金不足のNPO法人が寄付するというのは、あまり現実的ではないんですが、
> よろしければ教えてください。
おっしゃる通りです。損金算入限度額というのは収益事業が赤字の法人に
とってはあまり関係のないことですし、黒字の法人であってもそれが税額
を大きく左右するような寄附は団体内のみなし寄附金以外には通常は考え
られません。
他の公益団体のために資金集めをすることを目的とする団体はありますが、
そのような事業は最初から収益事業とはされません。
公認会計士・赤塚和俊
Re: NPO法人がする寄付金 投稿者:
一大学生 投稿日:2002/12/23(Mon) 12:49:00
No.1640
早速お答えいただき、ありがとうございます。
寄付金が必要経費であるかどうかが問題となるわけですね。
ということは、
事業に関連し対価性のない寄付金は、一般寄付金は損金算入可、
特増法人への寄付金や指定寄付金などは、事業に関連なく損金算入可で、
事業に関連がなく対価性のない支出は、経費性がなくただの利益処分なので、
たとえ支出先がNPO法人であっても、法人は損金算入できないということですか?
公益活動は直接的に事業に関連しなくても間接的には社会に恩恵があり、
公益的な寄付金は基本的に利益処分なんだから、
公益性があれば政策的に税を優遇し、経費性の判断なんか要らないと
個人的には思っています。
Re: NPO法人がする寄付金 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/12/23(Mon) 16:54:00
No.1641
一大学生さん
すみません。私の答え方が悪かったのでしょうか。そもそも寄附金の損金算入が
可能かどうか、限度額はどうかという問題は、その公益法人が法人税法上の収益
事業を行っていて、なおかつその寄附金が収益事業の経費として妥当であるとい
うことが前提です。指定寄附金や特増法人への寄附や一般寄附金という区別は、
その次の問題です。
> 公益活動は直接的に事業に関連しなくても間接的には社会に恩恵があり、
> 公益的な寄付金は基本的に利益処分なんだから、
収益事業と関連性のない寄附金は利益処分ではなく、単に非収益事業の経費だと
いうことです。
> 公益性があれば政策的に税を優遇し、経費性の判断なんか要らないと
> 個人的には思っています。
繰り返しになりますが、収益事業の中の話だから損金かどうかの問題になるので
あって、その場合は当然、経費性の判断は必要です。
おっしゃっていることは、寄附をした場合の税制と寄附を受け取った場合の税制
を混同されているような気がします。
公認会計士・赤塚和俊
Re: NPO法人がする寄付金 投稿者:
一大学生 投稿日:2002/12/24(Tue) 14:09:00
No.1642
申し訳ありません。まだ混同しているので確認させてください。
「収益事業と関連性のない寄附金は利益処分ではなく、
単に非収益事業の経費だということです」がよくわかりません。
「収益事業をしている公益法人の場合、
収益事業に関連する寄付金は収益事業部門で損金算入でき、
収益事業に関連しない寄付金は
非収益事業部門と関連していれば非収益事業部門の経費となり、
ともに関連しない寄付金は利益処分となる。
営利法人の場合、
収益事業に関連する寄付金は収益事業部門で損金算入でき、
収益事業に関連しない寄付金は利益処分となる」ということですか?
また一般寄付金などの区別は次の問題とありましたが、そうすると
「収益事業をしている公益法人の場合、
収益事業部門で損金算入した寄付金と
非収益事業部門の経費の寄付金を合算してから区別する。
営利法人の場合、
特増法人・認定NPO法人への寄付金であっても、
収益事業に関連しなければ利益処分・損金不算入、
利益処分の寄付金であっても指定寄付金ならば損金算入」ということですか?
よろしくお願いします。
Re: NPO法人がする寄付金 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/12/24(Tue) 16:58:00
No.1643
一大学生さん
> 「収益事業をしている公益法人の場合、
> 収益事業に関連する寄付金は収益事業部門で損金算入でき、
> 収益事業に関連しない寄付金は
> 非収益事業部門と関連していれば非収益事業部門の経費となり、
ここまではその通りです。収益事業部門の経費になる場合に限度
額計算の問題になります。
> ともに関連しない寄付金は利益処分となる。
これは違います。NPO法人には利益処分という概念自体があり
ません。収益事業の経費でなければ非収益事業の経費です。
> 営利法人の場合、
> 収益事業に関連する寄付金は収益事業部門で損金算入でき、
> 収益事業に関連しない寄付金は利益処分となる」ということですか?
営利法人の場合は収益事業部門と非収益事業部門の区別はありま
せん。常に100%収益事業なのです。
> また一般寄付金などの区別は次の問題とありましたが、そうすると
> 「収益事業をしている公益法人の場合、
> 収益事業部門で損金算入した寄付金と
> 非収益事業部門の経費の寄付金を合算してから区別する。
合算する必要はありません。法人税に関係あるのは収益事業の益
金と損金だけですから、非収益事業の収支は全く考慮する必要が
ありません。
> 営利法人の場合、
> 特増法人・認定NPO法人への寄付金であっても、
> 収益事業に関連しなければ利益処分・損金不算入、
> 利益処分の寄付金であっても指定寄付金ならば損金算入」ということですか?
前述のように営利法人は100%収益事業です。収益事業に関連しな
い寄附金というのはありません。利益処分かどうかはその法人の
意思で決めることですが、利益処分の場合は指定寄附金だろうと
特増法人への寄附金だろうとすべて損金不算入ですからわざわざ
利益処分で支出する営利法人はないと思います。
利益処分という用語に誤解があるようですが、利益処分というの
は、簡単に言えば、営利法人が決算で利益が残るときにその利益
を株主にいくら(配当です)役員にいくら(役員賞与です)という
ふうに配分を決めるものです。NPO法人は禁止されています。
寄附金は決算上はあくまでその営利法人の経費です。法人税法が
その経費のうちに損金と認めるものと認めないものがあるという
だけのことです。
公認会計士・赤塚和俊
Re: NPO法人がする寄付金 投稿者:
一大学生 投稿日:2002/12/24(Tue) 20:09:00
No.1644
丁寧に説明していただきありがとうございます。「前提」が間違っていることが
わかりました。申し訳ありません。
「税法上に寄付金の定義はなく、民法上の贈与と同義としている」
「明らかに他の科目(接待交際費・福利厚生費・広告宣伝費など)を除いたものが寄付金」
「日本では寄付金は基本的に損金性はなく利益処分であり、政策的に損金性を認められている」
「その上で損金性は事業関連性があり、対価性のないものをさすのが定説とされる」
「アメリカでは寄付金の損金算入は基本的に認められておらず、
例外として慈善寄付金についてのみ政策的に損金算入を認めている」
という内容の論文を読んだので、
「寄付金の認定」のトラブルというのはしょっちゅう起こっているのかなと
勘違いしていました。
「公益目的」であっても「経費性」がなければ損金算入されない寄付金が
ゴロゴロしているのかと勘違いしてました。
また、たとえばある小さい営利企業の役員が宗教団体に入っていたとします。
その役員はその宗教法人が発行している本を毎朝職員に読んで聞かせているとします。
で本代を「新聞図書費」、寄付金を「寄付金」として会社の経費であげていたとします。
それに対して、従業員が「信仰の自由からやめてほしい」とどこかに訴えて認められ、
税務調査の時に両者を経費から外すように指導された場合、
役員報酬(利益処分)となるのかなと考えていました。
前提として「経費でない寄付金はない」ということですね。
そこで話が食い違ってました。申し訳ありません。