報酬についてお聞きします 投稿者:
渡部直樹 投稿日:2000/10/12(Thu) 00:52:00
No.164
理事が活動し、または事務局を兼ねたりして働いたことに対する報酬は、役員報酬として取り扱われるものですか?
定款に理事報酬は無しと定めている場合、活動したことに対する報酬は受け取ることはできないのでしょうか?
また、前に質問したことですが、「この法人の目的を達成するためのその他の事業」を定款に記載する場合、
その事業の予算や計画はどのように作って県に提出し、認証を受けられたのでしょうか?
ちなみに、島根県の場合、事業予算や事業計画の不明確なものは認証されません。
Re: 報酬についてお聞きします 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2000/10/16(Mon) 21:50:00
No.165
渡部さん
ご投稿ありがとうございます。
報酬については、「役員としての労働の対価への報酬」と「職員としての労働の対価への報酬」
に分けて考えた方が良いでしょう。
NPO法では「役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること」として
いますが、これは「役員としての労働の対価への報酬」のことで、営利企業のように、利益分配
としての報酬ではありません。(役員として何もしないのに報酬を受け取ることはできません)
よって、例えば「役員としての労働の対価への報酬」を役員の三分の一の方が受け取っておられ
る場合で、その他の役員が職員として働いていて「職員としての労働の対価への報酬」を受け取
られる、ということは可能です。
渡部さんの団体の場合は、この2つのうち「役員としての労働の対価への報酬」は無しと定めら
れているそうですが、「職員としての労働の対価への報酬」については、定款の定めなどに基づ
き、別途内部で話し合われて決められてはいかがでしょうか?
なお、「この法人の目的を達成するためのその他の事業」の定款への記載については、認められ
るべきとシーズは考えています。一部の所轄庁では、これをなかなか認証しないようですが、全
く問題なく認証している所轄庁もあります。この事業の予算や計画についても、他と同じように
作成して申請すれば良いと思います。明確に事業内容を書いて提出し、認証を得られるよう頑張
ってください。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 報酬についてお聞きします 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2000/10/18(Wed) 15:10:00
No.166
轟木 さん
赤塚です。轟木さんのご意見に若干疑問がありますので、私の考えを述べさせて頂きます。
> 報酬については、「役員としての労働の対価への報酬」と「職員としての労働の対価への報酬」
> に分けて考えた方が良いでしょう。
分けて考えることは可能でしょうか。おっしゃる意味はわかりますが、現実にはNPO法人には
純粋な役員としての労働はほとんどないと思います。しいて言えば理事会ぐらいでしょう。
> NPO法では「役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること」として
> いますが、これは「役員としての労働の対価への報酬」のことで、営利企業のように、利益分配
> としての報酬ではありません。(役員として何もしないのに報酬を受け取ることはできません)
これはその通りだと思います。
> よって、例えば「役員としての労働の対価への報酬」を役員の三分の一の方が受け取っておられ
> る場合で、その他の役員が職員として働いていて「職員としての労働の対価への報酬」を受け取
> られる、ということは可能です。
これは私は違うと思います。法律が言っているのは、役員としての労働か職員としての労働か区別
なく、三分の一以下の役員しか報酬は受けられないという意味だと思います。
> なお、「この法人の目的を達成するためのその他の事業」の定款への記載については、認められ
> るべきとシーズは考えています。一部の所轄庁では、これをなかなか認証しないようですが、全
> く問題なく認証している所轄庁もあります。この事業の予算や計画についても、他と同じように
> 作成して申請すれば良いと思います。明確に事業内容を書いて提出し、認証を得られるよう頑張
> ってください。
もちろん異論はありませんが、設立初年度や二年目には「その他の事業」をやる予定はないとして
認証申請の時点では本来事業だけの予算や計画だけで申請してもいいのです。
市民オンブズマン福岡ではそれで申請して認証を受けました。
公認会計士・赤塚和俊
Re: 報酬についてお聞きします 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2000/10/26(Thu) 23:26:00
No.167
赤塚さん、ご意見をいただき、本当にありがとうございます。
さて、「役員としての労働の対価への報酬」と「職員としての労働の対価への報酬」の区別に
ついては、立法過程でも検討されたところです。
確かに法律の書き方がわかりにくいと指摘もあるところで、赤塚さんのご意見はもっともです
が、実際にNPO法の立案に関わられた千葉大の橘氏(NPO法立法当時は衆議院法制局でN
PO法を担当)、衆議院法制局の正木氏が書かれた「やさしいNPO法の解説」には、役員が
報酬をもらって良いか、という質問に次のように答えています。
「まず、その受ける報酬の多寡に関係なく、『役員としての報酬』を受けているかどうか、だ
けが問題となるということがポイントです。つまり、ここで問題にされているのは、あくまで
も『役員としての報酬』ですから、役員が同時に職員としての身分をも有する場合には、当該
職員としての職務遂行の対価として受ける給与は、ここでいう『(役員)報酬』には当たりま
せん。」
このように、NPO法では「役員としての報酬」と「職員としての報酬」を分けて考えてい
るのです。
このことから、「役員としての労働の対価への報酬」を役員の三分の一の方が受け取っておら
れる場合で、その他の役員が職員として働いていて「職員としての労働の対価への報酬」を受
け取られる、ということも可能になってきます。
「その他の事業」の予算や計画については、赤塚さんのおっしゃるように、「初年度や2年目
には『その他の事業』をやる予定はないとして認証申請の時点では本来事業だけの予算や計画
だけで申請してもいい」と思います。もし、予算や計画を出される場合には、他の事業と同じ
ように作成して提出するということです。
では、赤塚さん、今後もよろしくお願いいたします。
シーズ事務局・轟木 洋子