定款-総会の機能について 投稿者:
じゅんいち 投稿日:2003/01/17(Fri) 03:46:00
No.1764
はじめて質問させていただきます。
所轄庁に定款変更の相談に行ったところ、
事業報告および収支決算が、総会の議決事項になっていなければ、
認証できないと言われました。
(所轄庁内部の、認証のためのチェックリストに書かれているそうです。)
私の理解では、定款変更、解散、合併、(解釈によっては)理事の選任 が、
総会の議決事項としなければならないものだと思うのですが。
事業報告および収支決算を総会の議決事項にするのが
望ましいというのはわかりますが、だからといって
それを理由に認証しないというのは違うと思います。
私の認識は間違っているでしょうか?
また、同じような運用をしている所轄庁があるでしょうか?
よろしくお願いします。
Re: 定款-総会の機能について 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/01/21(Tue) 17:35:00
No.1765
じゅんいちさん
ご投稿ありがとうございます。
書いていらっしゃるように、定款変更、解散、合併の3つは総会の議決事項です。
一方、理事の選任や解任は、定款に何も定めない場合には、民法第63条の適用を
受けて総会決議によって選任することになりますが、定款において、理事会での任
免や、理事長や会長など特定の者が任免する、と定めても良いことになっています。
(ちなみに、同じ役員でも、監事については理事会や理事長が選任してはいけません)
事業報告と収支決算については、確かに総会の議決事項にしなければならないとい
う条文はないのですが、「新版 注釈民法(2)」(有斐閣)には、次のように書
かれています。これは、社団法人の理事は少なくとも毎年一回、社員の通常総会を
開かなければならないとする民法第60条について書かれたものです。
(この第60条は、NPO法の準用条文となっています)
「・・社団法人の社員は平常はその事務の執行を理事に一任しているので、定期的に
理事からその事務執行の報告を受け、また、監事から監査結果の報告を受けるとと
もに、重要事項について決議することによって社団の意思を決定する機会をもつ必要
がある。本条が少なくとも毎年1回は通常総会を開かなければならないとしているの
は、そのためであり、定款によってもこれを変更することは許されない。」
つまり、社員で構成される社団である以上、一年に一回は、社員は事業報告や監査結
果の報告を受け、かつ、重要事項について意思決定に参加しなければならないという
ことで、そのため、一般的には、総会において、事業報告や収支決算を決議すること
で、これらの必要を満足させているとされています。そして、こうした解釈が民法学
者の間では定着しているようです。
そのため、この解釈が正しいかどうかは別として、かなり定着したもののようですか
ら、この解釈に鑑みると、事業報告や収支決算書を総会決議事項としない定款を作る
と、不認証になる可能性が高いと思います。所轄庁が言っているのも、この解釈をふ
まえてのものでしょう。
不認証となった場合は、裁判で争うという方法はあるとは思いますが、勝敗について
は分かりかねます。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 定款-総会の機能について 投稿者:
じゅんいち 投稿日:2003/01/22(Wed) 01:43:00
No.1766
ていねいな回答ありがとうございました。
とてもよくわかりました。
私どもも、総会の議決事項に事業報告・収支決算を入れたくないわけではなく、
そのことで所轄庁と争う気はありません。
ただ「どうしてだめなのか」と担当者に問うたときに、明確な答えが得られず、
とにかく「チェック事項に書いてあるから」と言われて、納得がいかなかったので、
質問させていただきました。
轟木さんのような答えを、所轄庁にしてもらいたかった。。。
(それとも、認証申請する側がもっと勉強しろということでしょうか。)
関連して、もう1つ質問させてください。
それぞれの所轄庁では、認証手続き(特に定款について)のために、
基準とか、チェック事項リストとか、そういうものをつくっていると思うのですが、
そういうものは公開されている例があるでしょうか?
もし、ご存知でしたら、教えてください。
よろしくお願いします。
Re: 定款-総会の機能について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/01/23(Thu) 10:41:00
No.1767
じゅんいちさん
> それぞれの所轄庁では、認証手続き(特に定款について)のために、
> 基準とか、チェック事項リストとか、そういうものをつくっていると思うのですが、
> そういうものは公開されている例があるでしょうか?
所轄庁は法定の事項以外を不認証の理由にはできないはずですから、公表されている
「手引き」類のほかにはチュックリストなどあってはならないものです。しかし、実
際には作られている可能性はあります。確かめる方法としては、情報公開条例に基づ
いて公開請求するという方法があります。
公開請求に対する回答には、「開示」、「非開示(一部非開示を含む)」、「不存在」
の三つがあります。内容的に非開示にする理由はあり得ませんから、仮に「非開示」
であれば「異議申し立て」をします。回答が「不存在」であれば、存在しないチェッ
クリストをもとにチェックすることの不当性を訴えることができます。もちろん、公
開された場合でもその内容に不当なものがあれば断固抗議して下さい。
あるときはオンブズマンの赤塚和俊