NPO法人の収益事業の範囲について 投稿者:
takashi 投稿日:2003/01/29(Wed) 12:01:00
No.1798
初めて投稿させていただきます。
私は、IT系NPO法人の監査を担当している者です。
数字上は問題ないのですが、NPOの収益事業(受託事業)から入ってきた売上と、会費や寄付金などの収益との開きが随分あるのに驚きました。
以前、NPOサポートセンターのパンフレットに会費や寄付金等の何割までは受託事業をしても良いようなことが書いてあったと記憶しているのですが、NPO法人は、NPO定款の趣旨に反しなければ、受託事業でいくら収益をあげても良いのでしょうか?
決算も近く、困惑しています。
お教えいただければ幸いです。
また、決算期における監査担当者のチェック項目みたいなものがあれば教えてください。
よろしく御願いいたします。
Re: NPO法人の収益事業の範囲について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/01/30(Thu) 09:15:00
No.1799
takashiさん
> 数字上は問題ないのですが、NPOの収益事業(受託事業)から入ってきた売上と、
> 会費や寄付金などの収益との開きが随分あるのに驚きました。
> 以前、NPOサポートセンターのパンフレットに会費や寄付金等の何割までは受託
> 事業をしても良いようなことが書いてあったと記憶しているのですが、NPO法人
> は、NPO定款の趣旨に反しなければ、受託事業でいくら収益をあげても良いので
> しょうか?
特定非営利活動促進法では、「特定非営利活動法人」は「特定非営利活動」を行う
ことを「主たる目的」とすること、と規定していますが、その活動の比重を収入で
はかるとは書いてありません。常識的には活動内容は支出で計ることはあっても、
収入で計ることはないと思います。
収入の面を規制するような条文は何もありませんから、仮に収入の100%が受託事業
であっても問題ありません(実際そういうNPO法人はあると思います)。サポート
センターのパンフレットにそれに類することが書かれているとすれば、収入の依存度
の望ましい比率といった目安かも知れません。また、「NPO定款の趣旨に反しなけれ
ば、受託事業でいくら収益をあげても良い」というのは、その通りです。
もう一つつけくわえると、その受託事業がNPO法人の主たる目的に沿った事業で
あれば、活動の100%がその受託事業の遂行であっても「特定非営利活動」を行って
いるわけですから特定非営利活動促進法上は問題ありません。これはその受託事業
が法人税法上の収益事業に該当する場合でも同じです。
> また、決算期における監査担当者のチェック項目みたいなものがあれば教えてください。
監査担当者とは監事のことでしょうか。監事という前提でお答えします。
監事の職務は特定非営利活動促進法第18条に「理事の業務執行の状況を監査すること」
及び「財産の状況を監査すること」と規定されています。
前者は、理事の業務執行が単に法令や定款等に違反していないかというだけでなく、
法人の目的に沿って妥当であるかどうかまで含むものと考えられます。
後者はいわゆる会計監査です。言い換えれば収支計算書や貸借対照表、財産目録が
法人の経営状況や財産の状況を、適正に表示しているかということを監査します。
具体的なチェック項目をすべてあげることは困難ですが、要は決算書に掲載してあ
る項目の実在性(事実であること)と網羅性(すべて掲載してあること)を確かめる
ことです。もちろん、ごく小規模の場合を除けばすべてに目を通すことは不可能で
すから、重要な項目に絞ったり一部を抜き取り検査する等の工夫が必要です。
公認会計士・赤塚和俊