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同一法人内での車両賃貸借契約 投稿者:naka 投稿日:2003/03/10(Mon) 15:31:00 No.1969
現在「障害者支援」を活動目的としてNPO法人を運営しています。
先般、日本財団から助成を受け、車椅子対応の福祉車両を導入いたしました。

NPO法人として使用する以外に主立っては収益事業である、
介護保険事業所が登録会員限定の移送サービスに使用しています。
収益、非収益は区分経理を行っている為、
車両使用に伴う諸経費を明確に区分する目的で、
下記の賃貸借契約書を締結しようと思いました。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

福祉車両賃貸借契約書
 
特定非営利活動法人 ***(以下、甲という)は、介護保険事業所***(以下、乙という)に、
甲が所有する福祉車両***号を 乙に貸与することに対し、
以下に示す契約条件に基づき甲乙双方が合意したため、これらを明確にするため、
この契約書2通に記名捺印し、甲乙各自が各1通を所持するものとする。
 
契約条件
1.月額使用料を 金5万円及び別途消費税とする。
2.燃料及び適宜必要となる消耗品については乙が負担するものとする。
3.車両に関わる保険料及び車検費用並びに税金は所有者である甲が負担するものとする。
4.万一事故等が起こった場合、乙は甲に遅滞無く報告し、双方協力して事態の収拾に努める。
5.上記に示さない条件については、その都度甲乙協議の上決めることとする。
 
平成14年**月**日

貸主(甲)住所
     氏名             印
借主(乙)住所
     氏名             印
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


ところが顧問税理士から
「同一法人内でのリース契約自体認められない、
(厳密にはリース業の認定を受けていませんので、あくまで賃貸借契約です。)
あからさまな経費参入とみなされ 
かえって痛くない腹をもつつかれかねないですよ」
と指導を受けました。

しかしどの法律を根拠にそう言われるのかわからず、
当方の経理担当者は顧問税理士との関係悪化を危惧し
先に自分達で法規等を調べる事になりました。

そこで質問させてください。
1.収益、非収益の間で車両の賃貸借契約は行えないのでしょうか。
2.行えないのであれば、それは税法上、NPO法上、
あるいはどの法規に違反するのでしょうか。
3.やはりあからさまな経費参入となるのでしょうか。

具体的に法規をご提示頂き、ご教示頂けないでしょうか。
宜しくお願いします。
Re: 同一法人内での車両賃貸借契約 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/03/10(Mon) 16:49:00 No.1970
nakaさん

> 1.収益、非収益の間で車両の賃貸借契約は行えないのでしょうか。

仮に契約を結んだとしても、それはあくまで内部取引であり、対外的
には意味がありません。

> 2.行えないのであれば、それは税法上、NPO法上、
> あるいはどの法規に違反するのでしょうか。

具体的にどの条文ということではなく、法人税法は本来、法人を一体
のものとして課税することになっています。事業部制をとっているか
らといって、事業部ごとに税金の計算をしたりしません。
ただ、NPO法人を含め公益法人については原則非課税とし、特定の
33業種だけ課税することになっています。そこで課税所得が明確に
なるように収益、非収益の区分経理を求めているわけです。
ここでいう区分経理は収益部門と非収益部門をあたかも別法人のよう
に扱うという意味ではなく、全体の収支の中から、収益事業に係わる
収支だけを抜き出すという意味です。
双方に共通して発生する経費は、合理的な按分基準で配賦することに
なります。nakaさんのケースでは車両の減価償却費を配賦するわけで
す。毎月定額のリース料がその減価償却費の月割り配賦額として適切
なものであれば問題ありません。また、減価償却が定額法であれば毎
年同額でいいわけですが、定率法であれば毎年見直しが必要です。

> 3.やはりあからさまな経費参入となるのでしょうか。

上記のように、減価償却費の配賦額として合理的な金額を超えている
場合には、それは経費の過大計上ということになります。

              公認会計士・赤塚和俊
Re: 同一法人内での車両賃貸借契約 投稿者:naka 投稿日:2003/03/10(Mon) 17:48:00 No.1971
赤塚和俊様
早速のご教示ありがとうございます。
不明点がありますので続けて質問させて頂きます。

> 仮に契約を結んだとしても、それはあくまで内部取引であり、対外的
> には意味がありません。

申告、税務調査の際に按分基準に付いての明確な数値を提示する為に
契約という形を考えました。
もちろん対外的にとは考えておりません。
この場合は「覚え書」程度の方が実情に即しているのでしょうか?


> 双方に共通して発生する経費は、合理的な按分基準で配賦することになります。

この「合理的な按分基準で配賦する」事についてですが、
ガソリン代等はレンタカーの使用のように、
走行後は満タン返しにするようにし、
それぞれで処理する事が一番明確だと考えています。

> nakaさんのケースでは車両の減価償却費を配賦するわけで
> す。毎月定額のリース料がその減価償却費の月割り配賦額として適切
> なものであれば問題ありません。また、減価償却が定額法であれば毎
> 年同額でいいわけですが、定率法であれば毎年見直しが必要です。

車両取得時に300万の資産として計上されています。
5年での原価償却を考えれば60/300=50000/月となります。
実際の車両使用は、良くあって5:95ぐらいの比率で
介護保険事業所が使用します。
登録諸費用、保険、車検等は登録者であるNPO法人の負担としますので、
50000/月は適切な範囲であると考えますが、いかがでしょうか?
Re: 同一法人内での車両賃貸借契約 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/03/10(Mon) 18:51:00 No.1972
nakaさん

> 申告、税務調査の際に按分基準に付いての明確な数値を提示する為に
> 契約という形を考えました。
> もちろん対外的にとは考えておりません。
> この場合は「覚え書」程度の方が実情に即しているのでしょうか?

もちろん内部書類ですからタイトルは何でも構いません。要は収益事業
へ配賦する基準として合理的な計算根拠を明らかにする書類であればい
いということです。

> > 双方に共通して発生する経費は、合理的な按分基準で配賦することになります。
>
> この「合理的な按分基準で配賦する」事についてですが、
> ガソリン代等はレンタカーの使用のように、
> 走行後は満タン返しにするようにし、
> それぞれで処理する事が一番明確だと考えています。

それならば問題ありません。

> > nakaさんのケースでは車両の減価償却費を配賦するわけで
> > す。毎月定額のリース料がその減価償却費の月割り配賦額として適切
> > なものであれば問題ありません。また、減価償却が定額法であれば毎
> > 年同額でいいわけですが、定率法であれば毎年見直しが必要です。
>
> 車両取得時に300万の資産として計上されています。
> 5年での原価償却を考えれば60/300=50000/月となります。
> 実際の車両使用は、良くあって5:95ぐらいの比率で
> 介護保険事業所が使用します。
> 登録諸費用、保険、車検等は登録者であるNPO法人の負担としますので、
> 50000/月は適切な範囲であると考えますが、いかがでしょうか?

税務署に減価償却法を定額法で届けてあるのであればそれで結構です。届
出がなければ定率法とみなされることになっています。また、減価償却は
残存価額10%を残すことになっていますので、5年で償却できるのは、
270万円です。
登録諸費用、保険、車検等を合わせて月当たり5万は妥当かも知れません
が、法人税法ではこれらの費用を見積もり計上することは認められていま
せん。実際に支出した年度の経費となります。
減価償却相当額として(定額法が前提ですが)月45000円を計上し、
その他の経費は支出のつど按分した方がいいと思います。

蛇足ですが、こういう場合の減価償却費は、合理的に配賦した金額が収益
事業の経費になるわけですが、購入原資となった助成金は収益事業の収入
には含まれません。念のため。

            公認会計士・赤塚和俊
Re: 同一法人内での車両賃貸借契約 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/03/10(Mon) 21:11:00 No.1973
nakaさん

赤塚和俊> 減価償却相当額として(定額法が前提ですが)月45000円を計上し、
赤塚和俊> その他の経費は支出のつど按分した方がいいと思います。

すみません。間違えました。月当たり45000円の減価償却費を按分する
わけですから、仮に95:5だとすれば、42750円が収益事業分の経費
になります。


           公認会計士・赤塚和俊
Re: 同一法人内での車両賃貸借契約 投稿者:naka 投稿日:2003/03/11(Tue) 02:11:00 No.1974
> 赤塚和俊様
親切丁寧にご教示いただき、ありがとうございました。

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