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NPOにかかわる公務員について 投稿者:坂野裕悦 投稿日:2003/04/17(Thu) 16:09:00 No.2089
 NPO役員が公務員の場合に、事業中に販売事業があり公務員の職種が監督行政庁である場合に
公務員そのものは販売には、携わらないが他のものが販売をする際に、その職種のものが役員と
いう事を話しながら販売行為を行った場合は如何なものか??
 また、公務員の業務において許認可業務があった時に、同種事業の部分として制約等のかかわり
は出てくるのか?
Re: NPOにかかわる公務員について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/04/23(Wed) 10:29:00 No.2090
坂野裕悦さん、

坂野さんがお尋ねの法人では、公務員がNPO法人の役員を、勤務外の時間にボランテ
ィアでされているのだと推測いたします。それ自体には問題はないと思います。

ご質問は、その法人が販売しているものが、その公務員の方が監督官庁として監督する
物品であり、販売時に「うちの法人の理事は、○○役所の人だから安心ですよ」などと
いって売っているということですね。また、許認可権をもっている公務員が、その許認
可事業を行っている法人の役員をしている場合についてですね。

公務員の場合は「私企業からの隔離」が法律で定められていますが、これは営利企業と
の関係についてであり、非営利の団体との関係については、法律では特に明確な定めは
ないようです。しかしながら、ご存知のように昨今では、一部の特殊法人や公益法人と
役所との癒着が問題になったりしており、大きな社会問題のひとつになっていますから、
倫理上どう考えるかは別問題です。もし、マスコミなどで扱われたりすると、役所側の
責任も問われるような場合もあるでしょう。

また、NPO法人の責任が問われるというよりも、その公務員の方の責任に関すること
ですが、公務員には、法律で信用失墜行為の禁止と秘密を守る義務が課されています。
つまり、許認可などに関わる監督官庁としての地位を利用したり、品物の購入を強要し
たり、インサイダー取引のように職務上知り得た秘密(一般に公表されていない情報)を
利用して事業を行ったりした場合には、これらの規定に触れる場合があるということで
す。

信用失墜行為とは、職員の有する職に対する住民の信頼が損なわれ、あるいは、住民の
公務全体に対する信用が失われるような行為、住民が公務に対して著しい不信の念を抱
くような行為をいうそうです。

地方公務員法では、その第33条に
「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をして
はならない」と定められていますし、第34条には
「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同
様とする」とあります。

よって、注意するに越したことはなさそうです。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: NPOにかかわる公務員について 投稿者:ぱいん 投稿日:2003/04/24(Thu) 08:11:00 No.2091
補足です。

> 坂野さんがお尋ねの法人では、公務員がNPO法人の役員を、勤務外の時間にボランテ
> ィアでされているのだと推測いたします。それ自体には問題はないと思います。

報酬を得る場合は、国家公務員法や地方公務員法で任命権者等の許可が必要になっています。

> ご質問は、その法人が販売しているものが、その公務員の方が監督官庁として監督する
> 物品であり、販売時に「うちの法人の理事は、○○役所の人だから安心ですよ」などと
> いって売っているということですね。
> また、許認可権をもっている公務員が、その許認可事業を行っている法人の
> 役員をしている場合についてですね。

> 公務員の場合は「私企業からの隔離」が法律で定められていますが、これは営利企業と
> の関係についてであり、非営利の団体との関係については、法律では特に明確な定めは
> ないようです。

国家公務員倫理法第3条では「職員が遵守すべき職務に係る倫理原則」を定めており、
1 職員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
3 職員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないと定められています。

つまり、組織のための私的利益を図るための差別的取扱は
営利であろうが、非営利であろうが国家公務員に対して明確に禁止されています。

同法の施行政令である国家公務員倫理規程第1条では、
一 職員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならないこと。
二 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならないこと。
三 職員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないこと。
四 職員は、職務の遂行に当たっては、公共の利益の増進を目指し、全力を挙げてこれに取り組まなければならないこと。
五 職員は、勤務時間外においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならないこと
が定められてます。

同令第3条で、
一 許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等をいう。)をする事務 当該許認可等を受けて事業を行っている事業者等(法第二条第五項 に規定する事業者等及び同条第六項 の規定により事業者等とみなされる者をいう。以下同じ。)、当該許認可等の申請をしている事業者等又は個人(同条第六項 の規定により事業者等とみなされる者を除く。以下「特定個人」という。)及び当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人
二 補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項 に規定する補助金等をいう。)を交付する事務 当該補助金等(当該補助金等を直接にその財源の全部又は一部とする同条第四項第一号 に掲げる間接補助金等を含む。)の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っている事業者等又は特定個人、当該補助金等の交付の申請をしている事業者等又は特定個人及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである事業者等又は特定個人
三 立入検査、監査又は監察(法令の規定に基づき行われるものに限る。以下この号において「検査等」という。)をする事務 当該検査等を受ける事業者等又は特定個人
四 不利益処分(行政手続法第二条第四号 に規定する不利益処分をいう。)をする事務 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の名あて人となるべき事業者等又は特定個人
五 行政指導(行政手続法第二条第六号 に規定する行政指導をいう。)をする事務 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている事業者等又は特定個人
六 内閣府又は各省が所掌する事務のうち事業の発達、改善及び調整に関する事務(前各号に掲げる事務を除く。) 当該事業を行っている事業者等
七 国の支出の原因となる契約に関する事務若しくは会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条 に規定する契約に関する事務又はこれらの契約に相当する特定独立行政法人の業務に係る契約に関する事務 これらの契約を締結している事業者等、これらの契約の申込みをしている事業者等及びこれらの契約の申込みをしようとしていることが明らかである事業者等
八 財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第十八条第一項の規定による必要な調整に関する事務 当該調整を受ける国の機関
九 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第八条第一項 の規定による職務の級の定数の設定又は改定に関する事務 当該設定又は改定を受ける国の機関
十 総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十一号の規定による定員の設置、増減及び廃止に関する審査に関する事務 当該審査を受ける国の機関
といった利害関係者から

一 利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与(せん別、祝儀、香典又は供花その他これらに類するものとしてされるものを含む。)を受けること。
二 利害関係者から金銭の貸付け(業として行われる金銭の貸付けにあっては、無利子のもの又は利子の利率が著しく低いものに限る。)を受けること。
三 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で物品又は不動産の貸付けを受けること。
四 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で役務の提供を受けること。
五 利害関係者から未公開株式(証券取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十一項 に規定する証券取引所に上場されておらず、かつ、同法第七十五条第一項 の店頭売買有価証券登録原簿に登録されていない株式をいう。)を譲り受けること。
六 利害関係者から供応接待を受けること。
七 利害関係者と共に飲食をすること。
八 利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。
九 利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること
は行ってはならないと明確に禁止されています。

また、同令第5条で
利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等通常一般の社交の程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。
職員は、自己が行った物品若しくは不動産の購入若しくは借受け又は役務の受領の対価を、その者が利害関係者であるかどうかにかかわらず、それらの行為が行われた場に居合わせなかった事業者等にその者の負担として支払わせてはならない。

倫理法自体には、罰則はないのですが国家公務員法第82条で
この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項 の規定に基づく訓令及び同条第四項 の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合は、懲戒処分として免職、停職、減給されることがあります。

また 同令第6条では、職員は、利害関係者からの依頼に応じて報酬を受けて、講演、討論、講習若しくは研修における指導若しくは知識の教授、著述、監修、編さん又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送の放送番組への出演(国家公務員法第百四条 の許可を得てするものを除く。以下「講演等」という。)をしようとする場合は、あらかじめ倫理監督官の承認を得なければならない。

なお、地方公共団体によっては、職員倫理条例を制定しているところがあります。

> しかしながら、ご存知のように昨今では、一部の特殊法人や公益法人と
> 役所との癒着が問題になったりしており、大きな社会問題のひとつになっていますから、
> 倫理上どう考えるかは別問題です。

> もし、マスコミなどで扱われたりすると、役所側の
> 責任も問われるような場合もあるでしょう。

> また、NPO法人の責任が問われるというよりも、その公務員の方の責任に関すること
> ですが、公務員には、法律で信用失墜行為の禁止と秘密を守る義務が課されています。
> つまり、許認可などに関わる監督官庁としての地位を利用したり、品物の購入を強要し
> たり、インサイダー取引のように職務上知り得た秘密(一般に公表されていない情報)を
> 利用して事業を行ったりした場合には、これらの規定に触れる場合があるということです。

> 信用失墜行為とは、職員の有する職に対する住民の信頼が損なわれ、あるいは、住民の
> 公務全体に対する信用が失われるような行為、住民が公務に対して著しい不信の念を抱
> くような行為をいうそうです。

> 地方公務員法では、その第33条に
> 「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をして
> はならない」と定められていますし、第34条には
> 「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同
> 様とする」とあります。

守秘義務違反には、1年以下の懲役に処されることがあります。

倫理条例や職員倫理規程のある地方公共団体のおいては、
地方公務員法第32条で職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないと定められています。

守秘義務違反、信用失墜行為、法令遵守義務違反に対しては、地方公務員法第29条の規定で、懲戒処分として免職、停職や減給になることがあります。

ご参考まで。

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