認可が下りたばかりのNPOの職場で働くことになりました。 投稿者:
通りすがりの人 投稿日:2003/05/13(Tue) 20:55:00
No.2191
初めまして、今週から認可の下りたばかりのNPO団体の事務職員として勤務することに
なりました。
月~金までの午後の1時から5時の間の4時間で月17500円と聞き、
「もしかして最低賃金法に触れるのでは」と気になり、理事長に尋ねたところ、
NPOにはそういう法律は適用されないと言われました。
ところが認可後に頂いた資料を見た時、やはり最低賃金は守るようにという記載
がされているのを見ました。よく下調べもせずに了承してしまった側にも問題で
しょうが、仲間うちですし、出来立ての組織で資金もおぼつかないのではと思う
と言い出しづらいところです。
最低賃金について 投稿者:
ぱいん 投稿日:2003/05/13(Tue) 23:53:00
No.2192
通りすがりの人様
> 初めまして、今週から認可の下りたばかりのNPO団体の事務職員として勤務することに
> なりました。
> 月~金までの午後の1時から5時の間の4時間で月17500円と聞き、
> 「もしかして最低賃金法に触れるのでは」と気になり、理事長に尋ねたところ、
> NPOにはそういう法律は適用されないと言われました。
最低賃金法第5条第1項では、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者は、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないことになっています。
このため最低賃金は、臨時・パートタイマー・アルバイト等を含むすべての労働者に適用されます。
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とされます。
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限られます。
具体的には、基本給と諸手当(ただし、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを除きます。営業手当などは含まれます。)が対象となります。逆に、以下の賃金は最低賃金の対象から除外されます。
この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定めがされたものとみなされます。
賃金は、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうことになっていますので、事務職員として勤務する以上、最低賃金法が適用されない余地は、
事業所がある都道府県の労働局ごとに、1時間単位の地域別最低賃金が決まっています。
最低賃金法第19条により、最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見易い場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならないので、適用事業所の使用者が当該事業所が適用事業所でないと偽ることは違法です。
> ところが認可後に頂いた資料を見た時、やはり最低賃金は守るようにという
> 記載がされているのを見ました。
> よく下調べもせずに了承してしまった側にも問題でしょうが、
> 仲間うちですし、出来立ての組織で資金もおぼつかないのではと思う
> と言い出しづらいところです。
最低賃金法第44条で、労働者に、最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、最低賃金の周知を怠ったときは、1万円(罰金登臨時措置法第2条により実際には2万円)以下の罰金に処される犯罪行為です。
なお、より詳しくは、各都道府県の労働局もしくは最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。
Re: 認可が下りたばかりのNPOの職場で働くことになりました。 投稿者:
nogami 投稿日:2003/05/14(Wed) 11:23:00
No.2193
> 月~金までの午後の1時から5時の間の4時間で月17500円と聞き、
> 「もしかして最低賃金法に触れるのでは」と気になり、理事長に尋ねたところ、
> NPOにはそういう法律は適用されないと言われました。
2003.5.13の朝日新聞夕刊の「自立への実験室 2.パートナー」
で埼玉県志木市の行政パートナー,群馬県太田市の行政サポーターズ
が紹介されていましたが,太田市の場合は時給580円で,最低賃金を
下回るため,市は「雇用ではなく,ボランティアへの謝礼」と説明し
ている,とのことです。
雇用の場合は,雇用契約が必要で,労災保険の義務づけがあり,週20
時間を超えると雇用保険が必要と聞きましたが,雇用でなく謝金であ
れば適用されないとハローワーク・労働局で以前に聞きました。
NPOであるかどうかは関係ないとのことでした。
Re: 認可が下りたばかりのNPOの職場で働くことになりました。 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/05/15(Thu) 21:01:00
No.2194
ぱいんさん、いつもありがとうございます。
nogamiさん、貴重な情報をありがとうございます。
通りすがりの人さん、法的には、ぱいんさんが書かれているとおりです。NPO法人
だからといって、最低賃金法を守らなくて良い、ということはありません。
ご質問に書かれていることだけでは実態が分かりかねますが、困った問題ですね。
17500円分だけは労働者として、あとはボランティアと割り切って仕事をされる
のなら別ですが、そうでなければ労働基準監督署や労働局に相談されることをおすす
めいたします。
nogamiさんが書いていらっしゃるように、NPOや自治体のなかには、有償ボランテ
ィアという制度を設けていて、ボランティアに若干の「謝礼」を渡しているところも
ありますが、これは賃金ではなく、謝礼と言っているようです。しかし、実態とし
ては、謝礼というより労賃と考えられるものも多いようです。
また、この有償ボランティアという表現のために、NPOは人を安く雇用できるとこ
ろ、という勘違いもあるようです。この問題について、大阪ボランティア協会のホー
ムページの「VOICE」コーナーに関連した記事が掲載されていますので、よろしければ
読んでみてください。アドレスは以下のとおりです。
http://cw1.zaq.ne.jp/osakavol/npoc/voice/index.htmlシーズ事務局・轟木 洋子
Re: 認可が下りたばかりのNPOの職場で働くことになりました。 投稿者:
nogami 投稿日:2003/05/17(Sat) 13:40:00
No.2195
> また、この有償ボランティアという表現のために、NPOは人を安く雇用でき
> るところ、という勘違いもあるようです。
大阪ボラ協の文も含め,これは少し違うように思います。
本会では,交通費等実費の支払いを条件に,何人かのボランティアに手伝いをお
願いしています。従って来ていただける方は,退職後の方か主婦の方がほとんど
です。生活がかかっている人は無理と思います。
「安く人を雇用している」とは本会は全く考えていません。ボランティアの方々
も手伝うことによって何か得るところもあって協力が続いているのでしょうし,
本会も社会的需要のある事業を進めることが出来ていると思っています。
営利事業を行っているNPOは別かもしれませんが,そうでないNPOは多くが
手弁当+ボランティアで行っているのではないでしょうか。NPO法が出来た原
点はそうではなかったのでしょうか。営利でない,行政が及ばない,しかし社会
的需要がある分野を埋めるためにNPO活動が存在し,これからもそうだろうと
私は理解しています。
出来たてのNPO団体の常勤者の給金について 投稿者:
通りすがりの人 投稿日:2003/05/17(Sat) 17:52:00
No.2196
ぱいんさん、nonamiさん、轟木 洋子さん、
ご質問にお答えいただきまして、ありがとうございました。
やはり、法律上、最低賃金は遵守しないといけなかったのですね。
好きなジャンルでかかわっていけるため、安く雇われているといった、
意識は薄いです。
理事長もいずれ賛助会員を増えていけばそれだけ給金も上げることも可能と言いました。
タイミングが合えば問いただしてみます。
それよりも発足させたばかりのNPO団体って資金等がおぼつかない所もあるのではないかと
推測します。別のスレを立てて聞いてみたい程ですが、NPO団体は認可が下りると必ず事務
所を構えなくてはいけないと聞いています。そのため、問い合わせがあった時に対応できるよ
うに常勤するスタッフが必要と聞きましたが、他のNPO法人でも出来たては資金繰りが厳し
くて、最低賃金以下のボランティア同然の給金で雇われている人達がいればお話を伺いたいと
ころですね。
Re: 出来たてのNPO団体の常勤者の給金について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/05/18(Sun) 05:53:00
No.2197
通りすがりの人さん
> やはり、法律上、最低賃金は遵守しないといけなかったのですね。
> 好きなジャンルでかかわっていけるため、安く雇われているといった、
> 意識は薄いです。
雇用関係が成立すれば最低賃金の遵守は当然です。一方、ボランティア
が無報酬でかかわることもあります。どちらなのかはっきりしていれば
問題ないのですが、その中間形態(無報酬ではないが最低賃金以下)の
場合は、お互いの合意が十分になされていないといけないと思います。
> 理事長もいずれ賛助会員を増えていけばそれだけ給金も上げることも
> 可能と言いました。タイミングが合えば問いただしてみます。
本当は最初にそういう話をされるべきだったのでしょう。つまり、雇用
関係なのかボランティアなのか、そのどちらでもないのであればお互い
のどういう了解のもとに仕事をするのかということです。
> それよりも発足させたばかりのNPO団体って資金等がおぼつかない
> 所もあるのではないかと推測します。別のスレを立てて聞いてみたい
> 程ですが、NPO団体は認可が下りると必ず事務所を構えなくてはい
> けないと聞いています。
そんなことはありません。代表者や事務局をする人の自宅を所在地とし
ている団体もたくさんあります。
> そのため、問い合わせがあった時に対応できるように常勤するスタッ
> フが必要と聞きましたが、
携帯電話を連絡先にしている団体もありますし、留守番電話とメールだ
けで応対している団体もあります。
> 他のNPO法人でも出来たては資金繰りが厳しくて、最低賃金以下の
> ボランティア同然の給金で雇われている人達がいればお話を伺いたい
> ところですね。
まず、最低賃金以下であればそれは雇用関係ではないと考えるべきです。
つまり雇われているのではないのです。100%ボランティアではない
にしても、本人の自発的な意思があってその団体の活動を自分の責任で
行っているのです。
公認会計士・赤塚和俊
NPO団体の労働関係 投稿者:
ぱいん 投稿日:2003/05/19(Mon) 05:38:00
No.2198
公認会計士・赤塚和俊様
> 雇用関係が成立すれば最低賃金の遵守は当然です。
> 一方、ボランティアが無報酬でかかわることもあります。
> どちらなのかはっきりしていれば問題ないのですが、
> その中間形態(無報酬ではないが最低賃金以下)の場合は、
> お互いの合意が十分になされていないといけないと思います。
>> 理事長もいずれ賛助会員を増えていけばそれだけ給金も上げることも
>> 可能と言いました。タイミングが合えば問いただしてみます。
> 本当は最初にそういう話をされるべきだったのでしょう。
> つまり、雇用関係なのかボランティアなのか、
> そのどちらでもないのであればお互いのどういう了解のもとに
> 仕事をするのかということです。
> まず、最低賃金以下であればそれは雇用関係ではないと考えるべきです。
> つまり雇われているのではないのです。
> 100%ボランティアではないにしても、本人の自発的な意思があって
> その団体の活動を自分の責任行っているのです。
労働も、労働者本人の自発的意思により、業務を自己の責任で行うのが基本です。
雇用関係は使用従属関係にあるかどうかで判断するので、賃金が最低賃金以下か
どうかで雇用関係を判断するのは本末転倒です。
労働法では当事者間の合意も使用者に対して、労働者は立場が弱いので、
たとえ当事者間にどのような合意があっても、守るべき最低基準を
定めるために制定されたものなのです。
この意味では、当事者間の合意は、この基準以上でなければならず、
従事者が一度は納得したんだからという議論は全く無意味です。
おおむね、これまでの判例などから、あらかじめ一定の時間を約束し、
代表者などの指示に従いながら、業務に従事して、その対価を受けていれば、
「使用従属関係」がありますし、「労働者」になりますし、
業務従事の対価である以上 「賃金」と考えるべきです。
労働基準法第13条では、当事者間の約束があっても、労働基準法違反の契約は
当該違反した部分に限り無効になることになっています。
この場合は、労働基準法どおりの基準が適用されます。
最低賃金法第5条でも、使用者は労働者に最低賃金以上の賃金を支払わなければならず、
当事者間の約束も最低賃金以下の賃金部分だけが無効となり、最低賃金が約束された
賃金の額となります。
民法上は賃金も債権なので、団体側は、最低賃金の額に至るまでの賃金を
未払い賃金として支払いを請求されるおそれがあります。
ただ、これは紛争化したときの場合の想定です。
有償ボランティアについては、ボラティア側から
労働者として最低賃金を保障せよ。
雇用を保障せよ。
という要求が出ていないだけで、労働争議として噴出すると
大変なことになるという自覚は団体側に持っていただく必要があるでしょう。
Re: NPO団体の労働関係 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/05/19(Mon) 07:20:00
No.2199
ぱいんさん
> 労働も、労働者本人の自発的意思により、業務を自己の責任で行うのが基本です。
> 雇用関係は使用従属関係にあるかどうかで判断するので、賃金が最低賃金以下か
> どうかで雇用関係を判断するのは本末転倒です。
> 労働法では当事者間の合意も使用者に対して、労働者は立場が弱いので、
> たとえ当事者間にどのような合意があっても、守るべき最低基準を
> 定めるために制定されたものなのです。
確かにそうですね。重要なご指摘ありがとうございます。ただ、私も舌足らずでは
ありましたが、最低賃金以下のいわゆる有償ボランティアの場合は使用従属関係に
ないと考えざるを得ないということを言いたかったのです。
> この意味では、当事者間の合意は、この基準以上でなければならず、
> 従事者が一度は納得したんだからという議論は全く無意味です。
>
> おおむね、これまでの判例などから、あらかじめ一定の時間を約束し、
> 代表者などの指示に従いながら、業務に従事して、その対価を受けていれば、
> 「使用従属関係」がありますし、「労働者」になりますし、
> 業務従事の対価である以上 「賃金」と考えるべきです。
>
> ただ、これは紛争化したときの場合の想定です。
>
> 有償ボランティアについては、ボラティア側から
> 労働者として最低賃金を保障せよ。
> 雇用を保障せよ。
> という要求が出ていないだけで、労働争議として噴出すると
> 大変なことになるという自覚は団体側に持っていただく必要があるでしょう。
このへんについては一般的にNPO運営者側の認識が甘いことは事実ですね。
「あらかじめ一定の時間を約束し、代表者などの指示に従いながら、業務に
従事して、その対価を受け」というあたりがポイントでしょうか。
公認会計士・赤塚和俊
Re: NPO団体の労働関係 投稿者:
ぱいん 投稿日:2003/05/19(Mon) 10:05:00
No.2200
赤塚和俊さん
> 最低賃金以下のいわゆる有償ボランティアの場合は使用従属関係に
> ないと考えざるを得ないということを言いたかったのです。
> このへんについては一般的にNPO運営者側の認識が甘いことは事実ですね。
> 「あらかじめ一定の時間を約束し、代表者などの指示に従いながら、業務に
> 従事して、その対価を受け」というあたりがポイントでしょうか。
実はとても難しい問題なのです。
有償ボランティアが直ちに「使用従属関係」にないという判断は無理だと思います。
結局、実態で判断しないといけないように思います。
判例では、実態を監察して判断するものであって、当事者の認識には拘束されないと判示しています。
私は、この場合では、労働者性を否認することは難しいだろうという事例をお示ししました。
当然、事例には合致しないけれども、実態から労働者だという事例も見られます。
「謝金」でも対償性があれば、労働法上は「賃金」になります。
逆に、交通費と材料の実費などしか 支払わないのであれば、実質的には無償で、
労働の対償を受けているわけではないので賃金ではないと思います。
もし、シーズで判例や行政実例をご存じでしたら御教示ください。
Re: 認可が下りたばかりのNPOの職場で働くことになりました。 投稿者:
元同じ境遇の人 投稿日:2003/05/19(Mon) 22:49:00
No.2201
興味がある分野との事、どうしてもに気になるなら、完全ボランティアで交通費だけもらって手伝えばすっきりしていいのではないでしょうか。
ひょっとしてボランティアでやらざるを得ない財政状況の中、理事長は善意で、苦労していくばくか出せるようにと努力しているのかもしれません。
ここの掲示板に相談するのもいいですが、この掲示板で回答する方は、その団体の実態を知りません。
有効な相談は期待しないでください。
理事長ときちんと話して、お互い納得したほうがいいのではありませんか。
少しでも納得しないなら、交通費・食費だけもらう、完全ボランティアでやったほうがいいですよ。
そのほうが、自由に自分の意思で休みたいときに休めるなど、自由にできます。
一方、あなたが、そのNPOの活動に理念が共感し、責任をもって自主的にきちんとかかわりたいということでしたら、給与のことも理事長とじっくり話して、あなたもそのNPOにきちんと収入が入る方法を一緒に考えて実行してはいかがですか。
また、折衷案として、週1日は給与としてもらって、職員として責任を持って働き、あとの4日はボランティアとして気軽にかかわってもいいのではないかとも思います。
ボランティアだったら遅刻も自由ですし、やりたくない仕事はやらなくてもいいです。
いずれにしても、話し合いが足りないのではないかと思います。
私は昔、立ち上げ3年目の(理念は高いが)たいした仕事をできていない任意団体の事務局ボランティア職員として志願して1年働き、その団体を大きくして、会員を増やし、2年目には週1回だけ有給にして(月4万円)、3年目には私の働きでいろんな助成金もとれ月20万の給与が取れるように団体を大きくしました。
理念が一致したからできたことですが、大変苦しい2年間でした。あなたがどの程度そのNPOに責任を持ってかかわろうとしているかわかりませんが、多くの団体は、私が経験した団体と大体同じです。
理事長とよーく(何度も)話し合って、決めればいいのではないでしょうか。
中途半端に不満を持ってはじめられるのは、かえって周りの迷惑になるかもしれません。
とにかく、話し合いを面倒くさがらずにきちんとすることです。
金のない団体は、労働基準法なんて、持ち出したってしょうがないですよ!
(金がなければ、業務命令で定時に出勤する職員も確保できないし、いやなめんどくさい仕事を業務命令で命じてやらせることのできる職員も確保できないだけです。金がなければ、みな、無償ボランティアでやりたいことをやる職員が集まるだけです。
やりたくない雑用は「理事長」&「その団体の理念が共有できる方」が歯を食いしばってやるのです)
応援いたします!