NPO法整備のきっかけとなった具体的事例 投稿者:
さいとー@まつやま 投稿日:2003/05/26(Mon) 21:11:00
No.2272
今度、地域活性化のためのイベントが行われるのですが、その中で、NPOについて、また法整備がなされた背景について説明することになりました。
ただ、NPOについての知識が少ない人たちを対象とするので、なるべく具体的な事例を示しながらしようと思っています。
そこで、きっかけとなった阪神大震災の時のことについてお伺いしますが、たとえば、ボランティアが集まり過ぎて混乱が起きた、登記する必要性が出てきた等、直接の理由となる具体的なケースがあればご教示願いたいと思います。
よろしくお願いします。
Re: NPO法整備のきっかけとなった具体的事例 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/05/27(Tue) 12:41:00
No.2273
さいとー@まつやまさん、
市民活動団体が、簡易に法人格を持つことができる制度をつくろう、という動きは19
90年代の前半からありました。NPO法ができる前までは、法人になるには財団また
は社団になるしか選択肢はなく、財団には数億円の基金が必要でしたし、社団であって
も設立許可は役人の裁量に任されていました。そして、許可の基準が何なのか全く不透
明で、市民が集まってつくった団体が許可を得るのは大変なことでした。「公益性」の
判断は、法律に書かれたものではなく、役人が自分の裁量で決めていたのです。なかに
は、十年以上に渡って役所と交渉している団体もありました。
一定程度の活動実績のある団体であっても、事務所を借りたり、車両を持ったりなど、
さまざまな契約の時に団体名では契約ができず、代表者個人の名前で契約書を作るしか
なかったという不都合もありました。また、国際協力を行っている団体などは、海外の
政府のなかには法人格を有しないと、救援物資にまでも課税されるなど、さまざまな不
都合がありました。
こうした背景から、透明で、はっきりした基準を満たせば簡易に法人格が取れるような、
しかも情報公開性も盛り込まれた法律が必要だという声が93年前後頃から大きくなっ
ていっていたのです。
阪神・淡路大震災は、この動きを確かに加速させましたが、これがあったから法律がで
きたとはいえないと思います。この時のボランティアの活動によって、市民活動の重要
性が広く認識され、それによって市民活動団体のための法律に関しての議論が活発化し
たということです。
阪神・淡路大震災の時に、「ボランティアが集まりすぎて混乱が起きた」ということで
すが、確かにボランティアのコーディネートの重要性は深く認識されましたが、それが
NPO法という法律づくりのスタートになっていたということではないと思います。
手前味噌で恐縮ですが、シーズのブックレットシリーズNO.2「解説・NPO法案
その経緯と争点」に、法律が作られていく際の詳細が書かれていますので、よろしけれ
ばお読みいただければと思います。
シーズ事務局・轟木 洋子