破産についてお尋ねします 投稿者:
弘末 投稿日:2003/05/27(Tue) 20:56:00
No.2278
NPO法第40条では、NPO法人の解散に関して
民法第70条を準用するよう規定しています。
従って、NPO法人が債務超過に陥ったときは
理事は破産宣告の請求をし、解散しなければ
ならないと読み取れますが、債務超過を
「資産-負債<0」と定義した場合、この要件に
該当するNPO法人は多数存在すると思われます。
この規定をどのように解釈すべきかご教示下さい。
Re: 破産についてお尋ねします 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/05/29(Thu) 15:45:00
No.2279
弘末さん、ご投稿ありがとうございました。
NPO法コンメンタール(日本評論社)見ても、確かにNPO法人は「支払い不能と債
務超過を破産原因として」おり、「いずれかの原因があるときには、・・・(略)・・
・破産の申し立てにより、裁判所は破産宣告をなす」とあります。
また、第2項により、債務超過の場合には「(理事は)債務超過のときには、その重要
性に鑑みて、さらに、破産申し立ての義務も負わされた」とあります。また、この条項
に違反した時には過料に課されるともあります。
そこで、弁護士さんに聞いてみました。以下は、そのお答えです。
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解釈上は「負債の方が資産より多い(債務超過)ときは理事は破産の請求をしなければ
ならない」ということで間違いありません。
実際には、計算上は債務超過であっても立派に運営を続けている法人もあるかとは思い
ますが、民法の解釈上は上記の通りです。
そこでどうつじつまを合わせるかということですが、
(1)「資産の評価にはかなりの幅がある」という面がありま
すから、これを念頭に置いて資産評価をして、むりやり
債務超過とはならないと考える。
(2)債務超過でも裁判所が破産宣告をしない限り破産とは
ならない。
→誰かが破産の申し立てをしない限り裁判所は破産
宣告しない
→破産の申し立ては債権者でも出来るが、実際には
わざわざお金をかけて(法人の破産申し立てには
結構な額の予納金を裁判所に納めなければなら
ない)そんなことをする人はいない。
→また、実際には理事が破産の申し立てをしないか
らといって、過料を課せられることはほとんど(皆
無といっていいほど)ない。
→そこで「民法70条のことなんてぐちゃぐちゃ考えて
いて、NOP活動なんかできるもんか!!」とケツ
をまくって放っておく。
ということのどちらかになりそうです。
なお、過料の額は平成11年に改正され、現在は「50万円以下」となっております。
また、「過料」というのは刑罰ではなく行政上のペナルティーですから、警察で取り調
べなんてこともありませんし、「前科」にもなりません。また、過料を課せられても、
法人の方は破産の申し立てをしない限り破産にはなりませんから、万一の場合でも、
(悔しいかもしれませんが)“安心して”過料をお支払い下さい。
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なんだか変な気もしますが、以上、参考になれば幸いです。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 破産についてお尋ねします 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/05/29(Thu) 16:55:00
No.2280
赤塚です。
一言付け加えますと、資産の総額の登記は純資産の額
ですが、債務超過でも登記は可能です。
正確な記憶ではありませんが、資産の総額はゼロとし
て、債務超過額を付記してあったと思います。
ただし、これは既存の法人が債務超過に陥った場合の
ことです。設立当初の登記が債務超過でも可能かどう
かについてはわかりません。どなたかご存知でしたら
教えてください。
公認会計士・赤塚和俊
Re: 破産についてお尋ねします 投稿者:
弘末 投稿日:2003/05/29(Thu) 19:43:00
No.2281
轟木さん、赤塚先生、ご回答ありがとうございました。
また、お手数をお掛けしました。
法務局にも確認をとったところ、実務的には資産の
総額がマイナスであっても問題は無いということでした。
逆にそれを登記しない方が、NPO法人の公開制からは
問題だとも。
大変勉強になりました。と共に、安心(?)しました。
弘末
Re: 破産についてお尋ねします 投稿者:
松原(シーズ) 投稿日:2003/05/30(Fri) 21:39:00
No.2282
シーズの松原です。
参考までに、法務省の今までの公式見解を以下に紹介します。
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■資産総額の変更登記について
昭和54年2月10日、法務省民事局が、登記所からの質問に答えた回答があります。
(昭和54年2月10日民四発第838号民事局第四課長回答)
質問;財団法人の資産総額の変更登記について
財団法人の資産の総額をマイナスに変更する登記申請がありましたが、資産を絶対的
成立要件とする財団法人の性格からして債務超過の状態は登記すべきでないと考えます
が、積極意見もあり、いささか決しかねますので何分のご回示をお願いいたします。
なお、登記できるとした場合、登記の方法について併せてご指示をお願いいたします。
回答;客年12月4日付け登第37号をもって照会のあった標記の件については、受理
して差し支えないものと考えます。おって、登記簿等の記載は、資産の総額として「金
○円(債務超過額金何円)」の振り合いとするのが相当と思料します。
■社団法人の設立登記について
昭和42年10月12日、法務省民事局が、登記所からの質問に答えた回答があります。
(昭和42年10月12日民事四発第802号民事局第四課長回答)
質問;社団法人の出資の総額について資産の総額の記載のない設立登記申請は受理すべ
きでないが、資産総額をゼロとして記載してあれば受理してさしつかえないむねの昭和
33年10月18日付民事四発178号民事局第四課長心得回答は、積極財産より消極
財産の額が多い社団法人が資産総額をゼロと記載した場合にも受理してさしつかえない
趣旨であると解してよいか、目下、さいかかった事件でありますので至急電信にて御回
示願います。
答え;6日の電照の件は、受理すべきでない。なお、紹介文に引用の先例は、社団法人
が債務超過の場合まで含む趣旨ではないから念のため。
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法人があれば、債務超過であっても、資産変更の登記はできるということですね。
ですから、債務超過であっても、必ずしも理事に過料が発生するというものではない
ようです。(法文がどうであれ)
ただし、法人設立時は、債務超過であると設立登記はダメなようですね。
現在、企業の決算期ですが、三井鉱山のように債務超過の企業もどんどん出てくるよ
うになりました。
それでも、破産させられる法人は、それほどありません。支払い不能にならない限り、
債務超過くらいでは企業はつぶれないのでしょう。
それで、何か罰を受けた法人というのも聞きません。
NPO法人も、債務超過の団体は有ると思いますが、もともと経費がかからない法人の場
合、債務超過くらいではつぶれないものです。