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公務員が社員になれるか? 投稿者:いわ 投稿日:2000/01/18(Tue) 16:55:00 No.23
公務員(国家公務員や地方公務員)がNPOの社員や役員になれるでしょうか?
報酬や労働時間などに関して制約や条件はあるのでしょうか?
独立行政法人化された後ではまた変わるでしょうが、現在のところいかがでしょうか?
Re: 公務員が社員になれるか? 投稿者:磯崎 剛 投稿日:2000/01/18(Tue) 21:42:00 No.24
磯崎@しずおかエムエスオウです。
私どもには公務員が3名います。理事に2名、監事に1名。
理事の二人は国家公務員ですがなにもありませんでした。
監事の一人は特別地方公務員いわゆる議員さんですが、無報酬
なのでいいと思うがよくもないという事務局長さんの見解だった
そうです。
しかし依頼したある地方公務員は兼業の禁止とかという独自の
自治体の規程でだめという回答をえました。職務専念の義務
を追う事になっている公務員の役員就任はなかなかです。
でも社員になるのはなにもないのではないでしょうか。
Re: 公務員が社員になれるか? 投稿者:轟木 洋子 投稿日:2000/01/21(Fri) 19:24:00 No.25
シーズ事務局の轟木です。

公務員法を調べてみました。

まず、国家公務員法ですが、その第104条(他の事業又は事務の関与制限)
には次のようにあります。

「職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員
の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総
理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する」

なので、報酬を得なければ団体の役員になることができます。しずおかエムエ
スオウさんの役員になっておられる公務員お二人は無報酬なのだと思います。
また、報酬を得て役員になる場合は、内閣総理大臣とその職員の務める所轄庁
の長の許可が必要ですから、結構ややこしそうですね。また、団体の社員にな
ることについては、何も法で制限されていませんので自由です。ただし、政治
的行為の制限や、私企業からは隔離されていなければならず、これらについて
は他の条項に定めてあります。


次に地方公務員ですが、地方公務員法の第38条(営利企業等の従事制限)に
は次のように書いてあります。

「職員は、任命権者の許可をうけなければ、営利を目的とする私企業を営むこ
とを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を
置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、
若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若
しくは事務にも従事してはならない。」

しかし、この条文のなかの「その他の団体」というのは営利を目的とするとい
うものと解釈できます。地方公務員法には、国家公務員法のように営利企業以
外の団体についての定めはないようです。

シーズでは以前、地方公務員がNPO法人の役員になれるかどうか、自治省の方に
尋ねたことがあります。その時のお返事は、以下のようなものでした。
「無償で役員になるのは問題ありません。任命権者の許可も不要。有償の場合は、
任命権者の許可があれば役員になれます。地方公務員には職務専念義務があり
ますが、それは、勤務中は職務に専念しなさい、ということなので、勤務中以外
にNPO法人の役員をすることはこれにはあてはまりません」

以上から、国家公務員でも地方公務員でも、社員はもちろん、役員になることも
無報酬であれば許可なくできます。

ただ、自治体によっては、地方公務員法以外に、規程を設けているところもある
ように聞きました。これについて、何か情報を持っている方があれば、どうかお
教えください。
Re: 公務員が社員になれるか? 投稿者:いわ 投稿日:2000/01/24(Mon) 22:05:00 No.26
早速、詳しい情報どうもありがとうございました.
元気づけられました.どうもありがとうございます.
引き続き、自治体毎の制約等ご存じでしたら、
よろしくお願いいたします.
Re: 公務員が社員になれるか? 投稿者:磯崎 剛 投稿日:2000/01/29(Sat) 07:18:00 No.27
磯崎@しずおかエムエスオウです。私どもの例で紹介しました地方公務員
から届いたメールの一部ですが紹介します。
「職場の上司に市条例上の規定はないかという確認をしました。
その結果、○○市には「財産区」というある種前近代的な制度
を持っているため、公益法人(など)の理事・監事就任について
はいくつか取り決めがあり、NPO法人についても今の文言であ
れば抵触してしまうとのことでした。
 扱いとしては公務員兼職禁止の条項を厳格に解釈している
ようなのですが、いずれにしても手段としてはいまの時点で
人事課の決裁をもらって解決する、という方法しかなかった
のですが、これは「お役所」の体質から考えても不可能です」
ということです。
条例に明確に規定しているところは数少ないと思いますが。
無報酬とは? 投稿者:いわ 投稿日:2000/02/15(Tue) 18:54:00 No.28
轟木(シーズ事務局)さま、みなさま:
いろいろとありがとうございます.

条件付きで、
> 国家公務員でも地方公務員でも、社員はもちろん、役員になることも
> 無報酬であれば許可なくできます。
ということで勇気づけられたのですが、
無報酬とはどの程度までのことをいうのでしょうか?

例えば、NPO事業や主催の講演会で講師を務めたときに、交通費は受けていいのか?
どこからの交通費でどのように換算するのか?
弁当代や講演謝礼はどうなのか?
NPO事業での介助をした場合の報酬はどうなのか?
いくらまでならいいのか?
など、よろしくお願いします.
Re: 無報酬とは? 投稿者:シーズ事務局(轟木) 投稿日:2000/03/17(Fri) 10:55:00 No.29
いわさん、公務員の無報酬の範囲について、お答えがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありま
せん。

以下は、総務庁人事局職員第一係と人事院職員局職員課に電話でインタビューして得られた答え
です。

基本的に、報酬の定義とは「働いたことへの対価」のことだそうで、「役員報酬」ではない実費
弁償分はそれに含まれない、とのことでした。よって、公務員が休日など勤務時間外に、NPOの
役員という立場で講師を務めるとき、実費交通費はそれに含まれず、弁当代も無報酬の範囲と考
えられるそうです。

しかし、電車賃が500円のところ、1万円を交通費として受け取ってしまうと、無報酬の範囲と
は考えにくい、とのお答えでした。この場合、特に「いくら以上なら問題」、といった基準とな
る額はなく「常識の範囲で」ということだそうです。また、講演謝礼は「働いたことへの対価」
であると見なされる可能性があるそうです。

また、公務員が介護サービスなどに勤務時間外に従事し、その報酬を受ける場合は「働いたこと
への対価」となりますから、任命権者の許可が必要です。これは、公務員の兼職を制限する条項
に係わってきます。インタビューでは、「すべて報酬を受けてはいけないということではなく、
あらかじめ許可が必要ということです」とのお答えでした。

また、人事院の方は「確かに国家公務員は、報酬を受けなければNPO法人の役員を務めるにあた
って、特に許可を取る必要はないですが、その場合であっても後のトラブルを避けるために、
所属の役所の人事部などに確認を取っておいた方が良い」とおっしゃっていました。

また、さらにご質問があれば、どうぞお寄せくださいませ。

シーズ事務局 轟木 洋子
Re: 独立行政法人の職員の件 投稿者:轟木 洋子 投稿日:2000/01/28(Fri) 17:51:00 No.30
いわさん、独立行政法人の場合についてのお答えが遅くなりすみません。
でも、独立行政法人の件の前に、教育公務員の特例法について少し調べましたので、それから
お伝えしようと思います。

公務員法には、教育公務員特例法という別段の規程があります。その第21条には次のように
あります。

「教育に関する他の職を兼ね、または教育に関する他の事業もしくは事務に従事することが、
本務の遂行に支障がないと任命権者が認める場合には、給与の有無にかかわらず、人事院、地
方公務員たる教育公務員の場合は人事委員会の承認を得ないで、それらの仕事に従事すること
ができる」

ということで、教育に関する職の場合には報酬があってもなくても任命権者が認めればOKのよ
うです。ただし、それは「教育に関する職、他の事業、若しくは事務」に限定されています。
また、逆に読めば、報酬をもらわなくても任命権者がダメと言えば、それらの仕事に従事する
ことができない、ということになるようです。

そういえば、NPOではなく営利企業のケースですが、最近、一橋大学の中谷巌教授がソニーの
社外取締役に就任するにあたって、国立大学教官と民間企業役員の兼職の容認を求めたところ、
人事院がこれを認めず、大きな話題となりましたね。
このケースは結局、中谷教授が大学教授を辞任されたようです。そもそも国家公務員法は、憲
法15条第二項の「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とい
うものを基礎としているようですから、その流れでしばりが作られているのでしょう。

さて、ここから独立行政法人の話になりますが、なにぶん独立行政法人通則法は昨年7月に公
布されたばかりで、私たちにもまだよく分からないというのが実状です。
とりあえず首相官邸のホームページの官報から「独立行政法人通則法」(平成11年7月16日公布、
法律103号)を拾ってみました。

それによれば、独立行政法人には2つの種類があって、「特定独立行政法人」と、特定ではない
「独立行政法人」があるようです。
このうち、「特定独立行政法人」とは、次のようなものを言うそうです。

「その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められる
ものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に
国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるものをいう」
(第2条第2項)

 そして、第51条には「特定独立行政法人の役員及び職員は、国家公務員とする」とあり
ます。ということは、国家公務員法が適用されるということですから、報酬を得なければ許
可がなくともNPO法人の役員になることは問題ないと思います。でも、報酬を得る場合は、
内閣総理大臣とその職員の務める所轄庁の長の許可が必要なので、やっかいですね。
 
 さて一方、「特定」ではない独立行政法人については、その法人の「役員」については、
次のように第61条に書いてあります。

「在任中、任命権者の承認のある場合を除くほか、営利を目的とする団体の役員となり、
又は自ら営利事業に従事してはならない」

 この独立行政法人通則法には、非営利である団体の役員となることに関しては何も定めて
ありません。よって、「特定」ではない独立行政法人の役員はNPO法人の社員にも役員にもな
ることができると考えられます。また、役員ではない職員については何も書いてありません。
そこで、中央省庁等改革推進本部の事務局に問い合わせたところ、これについては、それぞれ
の法人で持つ就業規則などによって決められる、とのお答えでした。
したがって、現段階では、はっきりしたことは未だ分からないというのが正直なところです。
この件に関して、どなたかご存じの方がおられましたら、ぜひお教えください。

ところで、どういうところが「特定」で、どういうところがそうでないものになるのかについ
ては、首相官邸の次のホームページに掲載されている「中央省庁等改革の推進に関する方針」
の「第2」というところに詳しくかかれています。

http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/990427honbu/housin.html
Re: 独立行政法人の職員の件 投稿者:小坂雄二 投稿日:2000/02/03(Thu) 21:10:00 No.31
国公立大学の役員兼任については、研究の事業化なら良いこととする記事が、2月3日の朝日新
聞にでておりました。

企業と大学の「産学協同」で日本の産業競争力を高めることを狙ったところの、「産業技術力強化
法案」の概要が出ました。

これは国公立大学が企業からの委託研究費などを弾力的に使えるようにするほか、教官に企業の
役員を兼任する道を開くものです。

国公立大学教官などが企業の役員を兼業する問題については、研究成果を事業化する事を目的と
した場合の取締役と、社外監査役に限って、一定の条件のもとで認めるようです。

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