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「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:申請中のNPO理事 投稿日:2003/09/13(Sat) 03:34:00 No.2677
(A)「理事会主導型定款」に関しての質問、及び、
(B)「理事長主導型定款」で認証されたNPO法人の実例が有りましたら
   ご照会下さい。        (申請中のNPO法人の理事より)
(A)C’sブックレットシリーズ No.7.「NPO法人定款マニュアル」(品切れ・
改訂版2004年発行予定)を、東京ボランティアセンター・市民活動情報
資料センターで閲覧させていただきました。
「理事会主導型定款例」に関して質問したい事が有りますので宜しくお願い
申し上げます。(現在、申請は総会型です)
「理事会主導型」と思われるNPO団体の定款を参考にして下記のような定款例
(総会と理事会の役割分担の箇所)を想定してみましたが、監督官庁(東京都)
の認証(定款の変更の場合)を得られるかをお尋ねいたしたく、
質問箱に投書いたします。宜しくお願い申し上げます。

(1)(総会の権能)
 第○条 総会は、以下の事項について議決する。
(1)定款の変更
(2)解散及び合併
(3)監事の選任
(4)その他、理事会が総会に付すべき事項として議決した事項
2.総会は、以下の事項について理事会から報告を受ける。
(1)事業計画及び収支予算並びにその変更の報告
(2)事業報告及び決算の報告

(2)(理事会の権能)
 第○条 理事会は、この定款の定めるもののほか、次の事項を議決する。
(1)事業計画及び収支予算の作成並びにその変更
(2)事業報告及び決算
(3)会員の入会の承認
(4)理事の選任又は解任、職務及び報酬
(5)入会金及び会費の額
(6)事務局の組織及び運営
(7)借入金(その事業年度内の収入をもって償還する短期借入金を除く。
         その他新たな義務の負担及び権利の放棄)
(8)その他本会の運営に関する必要な事項
                 
  
(3)(事業計画及び予算)
 第○条 この法人の事業計画及びこれに伴う収支予算は、理事長が作成し、
     毎事業年度開始前に、理事会の議決を経て、総会で報告しなければ
     ならない。
 
(4)(予算の追加及び更正)
 第○条 予算議決後にやむを得ない事由が生じた時は、理事会の議決を経て、
     既定予算の追加又は更正をする事ができる。
 
(5)(事業報告及び決算)
 第○条 この法人の事業報告、収支計算書、貸借対照表及び財産目録等の
     決算に関する書類は、毎事業年度終了後、速やかに、理事長が作成し
     監事の監査を受け、理事会の議決を経て、総会で報告しなければなら
     ない。
   2.決算上剰余金を生じた時は、次事業年度に繰り越すものとする。
 
(6)(臨機の措置)
 第○条 予算をもって定めるもののほか。借入金の借入れその他新たな義務の
     負担をし、又は権利の放棄をしようとするときは、理事会の議決を
     経なければならない。
   
 
(B)「理事長主導型の定款」で、認証された実例が有りましたら、ご照会下さい。

  以上、「理事会主導型定款」の実例を探してみた結果から、「理想的な
  「理事会主導型定款」を目指して、「モデル」を想定してみました。
  これが、厳しい、東京都の認証を勝ち取る事ができるか評価して頂ければ
  と思いまして、質問箱に投稿いたしました。先輩の皆様のご指導をお待ち
  致しております。
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2003/09/19(Fri) 18:51:00 No.2678
申請中のNPO理事さん、

申請中のNPO理事さんがお書きになった定款例ですが、一部だけしか示されていな
いため、これで認証を受けられるか否か、明確に判断することは不可能です。

ただ、ひとつ言えるのは、少なくともお書きになった範囲内には、事業報告や決算に
ついて総会で議決しなければならない、という条文がないため、認証を得るのは困難
だと思います。

示された定款の範囲内だけを見ると、定款変更、解散・合併、監事の選任などについ
て議決する必要がない総会の場合、何も議決することがなくなってしまいます。総会
は、NPO法人の最高意志決定機関ですから、報告を受けるのみではなく、何かを議
決するところです。また、事業報告と決算については総会で議決しなければならない
という、伝統的見解(!)が定着しているという事実があります。
シーズの「定款作成マニュアル」の理事会主導型の定款例でも、第28条で「本会の事
業報告書、収支計算書、財産目録および貸借対照表は、理事長が事業年度終了後に遅
滞なくこれを作成し、監事の監査を経た上、当該事業年度終了後の通常総会の承認を
得なければならない」としています。

お尋ね(B)の「理事長主導型」の定款については、私は知識がありません。もし、
「理事会主導型」定款の事例ということであれば、たとえば、ヘリテイジ・トラスト
というNPO法人が理事会主導型の定款で内閣府の認証を受けています。ただ、東京
都認証のNPO法人のなかには、理事会主導型は少ないように感じています。

ところで、お尋ねになっていることを超えていますが、少し以下を追加させていただ
きます。

ご存知のように、NPO法人になるには所轄庁の「認証」を必要とするのですが、こ
れはひとつの「認可」の形態です。

NPO法第12条は、「所轄庁は、(中略)認証の申請が次の各号に適合すると認め
るときは、その設立を認証しなければならない」と規定しています。

NPO法は、できるだけ役所の裁量権を排除し、要件が揃えば認証を受けられるよう
にしている法律ですが、それでもこの第12条は「(略)適合すると認めるときは、
その設立を認証しなければならない」という表現で、「(略)適合するときは、その
設立を認証しなければならない」という表現と微妙に異なっています。

つまり、適合すると認めるか認めないかの最終判断は、所轄庁が行う、という内容に
なっているのです。
(もちろん、所轄庁が認めないで不認証となった場合に、裁判などで闘うことはできます)
このため、残念なことですが、所轄庁によって判断が異なってしまっていたりします。

ただ、現在の状況を見ていると、私には不要な助言(指導)をしている所轄庁が結構
あるように思えます。もちろん、定款案のなかに矛盾があったりする場合には、その
助言を受け入れれば良いのですが、法律に則っている定款やその他の書類について、
要らない助言を受けて窮屈な定款にしてしまうと、後が大変になることもあります。

シーズブックレットNO.8の「理事会主導型」定款例を、あまり気に入っていない
所轄庁もあるようです。所轄庁が示している定款例は「総会主導型」であり、これと
かなり違いがあるからです。しかし、シーズブックレットNO.8の「理事会主導型」
は、法律に違反しておらず、日本がまっとうな法治国家ならば、所轄庁は不認証には
できないはずです。

シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/09/20(Sat) 08:55:00 No.2679
申請中のNPO理事さん、

轟木さんのお返事に補足します。

> ただ、ひとつ言えるのは、少なくともお書きになった範囲内には、事業報告や決算に
> ついて総会で議決しなければならない、という条文がないため、認証を得るのは困難
> だと思います。

内閣府であれば「事業計画及び予算、決算」を理事会の決議とし「事業報告及び理事、
監事の選任」を社員総会の決議とした定款で認証を得た実例は知っています。

東京都の場合は現在認証申請中で結果はまだわかりませんが、NPO会計税務専門家
ネットワークの定款も上記と同様です。この定款の全文は
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/9123/index.htm
の「最新情報」の中に掲載されていますので参考にしてください。

ただ、私も「理事、監事の選任」と「事業報告」の2点については、総会の権能から
はずした実例は見たことはありませんし、また、個人的には、はずすべきではないと
思っています。

> ただ、現在の状況を見ていると、私には不要な助言(指導)をしている所轄庁が結構
> あるように思えます。もちろん、定款案のなかに矛盾があったりする場合には、その
> 助言を受け入れれば良いのですが、法律に則っている定款やその他の書類について、
> 要らない助言を受けて窮屈な定款にしてしまうと、後が大変になることもあります。

上にご紹介したNPO会計税務専門家ネットワークの申請中の定款は、私の5年間の
経験から、もっともシンプルで機能的な定款と自負しています。

            公認会計士・赤塚和俊
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:申請中のNPO理事 投稿日:2003/09/22(Mon) 01:58:00 No.2680
シーズの轟木洋子様、及び公認会計士の赤塚和俊様、

この度は、お二人の貴重なご意見を頂けました事を御礼申し上げます。
(定款例の一部の提示だけで申し訳有りませんでした。)

お二人のご意見を総合してみますと、
1.「前年度の事業報告」は「社員総会の議決、又は承認を得なければならない」
2.「事業計画、予算及び決算」は「理事会の議決によらなければならない」で可能。
3.「監事の選任」は、「社員総会の議決によらなければならない」
4.「理事の選任、解任、報酬、職務」は、「理事会の議決によらなければならない」
で可能。と、解釈して宜しいでしょうか?

尚、「事業報告及び収支決算の議決は理事会の議決」で可能という定款は、「片麻痺
ネットワーク様の定款」(277re.1)で見つけました。(東京都知事認証)
また、「事業計画及び収支予算並びにその変更の報告」と「事業報告及び収支決算の
報告」を、「総会が理事会から報告を受ける」という定款は、「エンジョイ様の定款」
で見つけました。(内閣府認証)

所轄庁(特に東京都の場合)の最終判断「適合すると認める時は」が、現在の「認証
制度」の下では、一番の問題であると言えますね。「不要な助言(指導)をしている
所轄庁が結構あるように思えます。」には全く同感です。「内閣府の認証」の方が
規制が緩やかと言えるのでしょうか?

赤塚様の、「NPO会計税務専門家ネットワークの定款」は、非常にシンプルで参考に
なりました。有難うございました。

もう一つ、「事業報告が社員総会の議決、又は承認」が得られなかった場合の「理事会
の対応の仕方」に関して、ご助言を頂ければ、と思います。

追伸:9月16日に「東京都知事の認証」が有りました。(申請は、「総会型定款」
(都庁の指示)でした。(それでも、何回か修正が有りました。)「定款の変更」、
「理事会主導型」又は「理事長主導型」(シーズ様の「定款マニュアル」に載っていま
した)を考えていますので、今回のご助言を参考にして、都庁に挑戦してみます。
お二人のご助言に心より感謝申し上げます。(申請中ではなく、認証を受けました理事)
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:横からすいません 投稿日:2003/09/24(Wed) 02:42:00 No.2681
あれ?
シーズのマニュアルでは
監事は総会が選任しなくてはいけませんが、
理事は理事会での選任でいいのではなかったでしたっけ?
(実際に「理事は理事会で選任される」定款で内閣府で認証されている団体をいくつか知っていますが)
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/09/24(Wed) 07:22:00 No.2682
横からすいませんさん

> 理事は理事会での選任でいいのではなかったでしたっけ?
> (実際に「理事は理事会で選任される」定款で内閣府で認証
> されている団体をいくつか知っていますが)

実例については知りませんでした。教えていただいて、ありが
とうございます。
「理事は総会で」というのは、私の個人的な意見とお断りして
います。法的には理事会でもいいというのは、その通りです。

個人的には反対の理由は、理事会以外に決定機関のない財団型
法人(財団法人、社会福祉法人、学校法人等)で、理事会に対
するチェックがないためガバナンスが有効に機能しないという
実例をさんざん見ているからです。

        公認会計士・赤塚和俊
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:横からすいません 投稿日:2003/09/25(Thu) 11:44:00 No.2683
たしかに財団法人、社会福祉法人、学校法人等では、そのような問題が大きいと思います。

逆に、先駆的運動をおこなう任意団体がNPO法人になる際は、理事は理事会で決める方法でないと、うまくいかないと思います。
たとえが適当かどうかわかりませんが、昔のアメリカの南部で黒人開放運動はかなり一般市民意識からすると異端でした。
このような状況でたとえば奴隷解放運動のNPOがあったとすると、誰でも加盟できる一般会員によって理事が選ばれると、
改選のたびに理念のわからない人が理事になってしまいます。
このような団体では、理事は、きちんと、国際的な活動にも参加して理念を学ぶなどしている、理念のわかっている人の中から選らばないとだめです。そのためには、理事会で理事を選ぶ方式がいいと思うのです。

同様に、社会問題に先駆的に取り組む団体は、その理念が国連などで認められた国際的には当然の内容であっても、日本でも地方都市や町村では、住民の平均的意識からすると、かなり異端であるということがあります。
そういう活動を行うNPOは理事は理事会で選ばないとまずいと思います。
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2003/09/26(Fri) 19:36:00 No.2684
横からすいませんさん

> 逆に、先駆的運動をおこなう任意団体がNPO法人になる際は、理事は理事会で
> 決める方法でないと、うまくいかないと思います。
> たとえが適当かどうかわかりませんが、昔のアメリカの南部で黒人解放運動はか
> なり一般市民意識からすると異端でした。
> このような状況でたとえば奴隷解放運動のNPOがあったとすると、誰でも加盟
> できる一般会員によって理事が選ばれると、
> 改選のたびに理念のわからない人が理事になってしまいます。
> このような団体では、理事は、きちんと、国際的な活動にも参加して理念を学ぶ
> などしている、理念のわかっている人の中から選らばないとだめです。そのため
> には、理事会で理事を選ぶ方式がいいと思うのです。
>
> 同様に、社会問題に先駆的に取り組む団体は、その理念が国連などで認められた
> 国際的には当然の内容であっても、日本でも地方都市や町村では、住民の平均的
> 意識からすると、かなり異端であるということがあります。
> そういう活動を行うNPOは理事は理事会で選ばないとまずいと思います。

そう思われる団体がそうされることに関して、口をはさむつもりはありません。で
すから、法律でそれを禁止しなかったことはそれでいいと思っています。少なくと
も、法律や行政が決めることではありません。

でも私が相談を受けたらやはり「理事の選任は総会の権限にした方がいい」と言い
ます。それで法人が乗っ取られたらどうするのですか、という質問に対しては、会
員に理念を伝え切れなかった点は素直に反省して別のNPO法人をまた作りなさい
と言います。そういう面倒くさいことをしたくなかったら最初から法人格をとらず
に任意団体で運動することです。

そのような事態を予防する方法としては、定款の入会の定めにたとえば「理事会は、
前項の申込者が、本法人の目的に沿って第5条の事業に協力できると認める時は、
正当な理由がない限り、これを承認しなければならない。」のような文言を入れま
す。これは内閣府でも東京都でも福岡県でも認証されていますが、ただ、この規定
でも悪意の入会者を完全に防ぐことはできません。

これは余計なことかも知れませんが「その理念が国連などで認められた国際的には
当然の内容であっても、日本でも地方都市や町村では、住民の平均的意識からする
と、かなり異端であるということがあります。」とおっしゃるのには、そういう場
合でも常に国際的な通念が正しくてローカルな価値観が間違っているとは限らない
と言いたいと思います。

また、信念を持った少数者がいくら正しくても、地域の(運動の性格によって地域
の大小の違いはあるにしても)比較多数にそのことを納得してもらえない限り、最
終的な運動の目標の達成は困難ではないかと考えますが、いかがでしょうか。もち
ろん、時間がどれだけかかるかというのはまた別の問題です。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 「理事会主導型定款」例の評価と「理事長主導型定款」例? 投稿者:横からすいません 投稿日:2003/09/28(Sun) 05:55:00 No.2685
>そう思われる団体がそうされることに関して、口をはさむつもりはありません。で
>すから、法律でそれを禁止しなかったことはそれでいいと思っています。少なくと
>も、法律や行政が決めることではありません。

ありがとうございます。
そういうお考えなのでしたか。理解しました。

考え方が違うのは、経験してきた運動の種類が違うのだと思います。
道路公団の例を見るように、私は赤塚さんの主張することを理解します。

 私のほうの考え方を述べさせていただくと、
 やはり、私は、財団法人や特殊法人や、行政から不透明な関係で委託金などが入っている公益法人(NPOを含む)と、完全独立の団体では、理事選出の考え方が違っていていいと思います。
 どんな団体も、年月とともに腐敗したり変節したりという可能性はありますが、その場合は、問題を感じている有志が別な団体を造ればいいとおもいます。
 任意団体と同じように自由に作れるNPO法人ですから、いろいろ違う考え方の団体がたくさん出てくるのはいいことだと思います。
 既存の価値観を変えるための運動がが世の中を変えるまでは、ものすごく時間がかかるものです。ある程度の実績も作らないといけません。
 その途中で当初の理念をわかっていない会員が過半数の総会で理事が変えられてしまうというのは、かなり問題を起こしています。のっとられるということはないまでも、総会対策に必要以上に説明資料作りや、総会を何回も行わなければならなくなるなど、本来の活動の時間がとれずに総会の会員対策ばかりが必要になったりなど、ほとほと困ってしまっている例を私は見てきました。
 立ち上げ時の理事も、成長するには時間がかかります。最初は説明能力も足りません。見守る時間が必要だと思います。
 また、法律や制度が変わるのは、住民の過半数が賛成したときではありません。世界中どこでも共通しますが、ある程度の合理性があるものは、運動体が、行政や議員などに働きかけて制度や法律が代わっていっています。私も含めて、国民は、制度に啓発されるのであって、運動体に啓発されるのではありません。
 たとえば、介護保険は、過半数の人が必要と考えていたのではなく、介護地獄を何とかしなくては・・という市民や行政や議員が作ったものですが、今では国民は介護はある程度は公的に保障されるものと考えるようになってきています。

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