認証前に集めた会費の処理について 投稿者:
タナカ 投稿日:2001/02/07(Wed) 10:54:00
No.271
いつも質問に答えていただきありがとうございます。さて私共では8ヶ月間個人事業所として
活動した後、NPO法人となりました。個人事業所の確定申告を出す時期となったのですが、
NPO法人認証前に集めた会費をNPO法人会計に含めることは可能でしょうか。
会費を払ってくれた人はNPO法人に払ったつもりでいると思うので、出来れば法人会計に
組み込みたいのですが、どうでしょうか。
Re: 認証前に集めた会費の処理について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2001/02/07(Wed) 11:22:00
No.272
タナカ様
まず、8ヶ月間の個人事業のスタートはいつからでしょうか。も
し去年(2000年)の1月以降であれば、次の条件に合えば個人の
確定申告は行わずに、その8ヶ月間の活動も含め(税務上は)すべ
てNPO法人の活動とみなすことも可能です。
1.それ以前に個人として類似の事業を行っていなかったこと。
2.その8ヶ月間の活動が法人化を前提として行われ、その活動内
容が法人化後の活動と全く同じ活動及び法人化のための準備作
業に限定されていること。
3.会費を納めた会員が、個人事業所とNPO法人を実質的に同じ
もの(8ヶ月間は認証前の先行活動)だと認識していること。
上記の条件のどれか一つが欠けていれば、8ヶ月間はやはり個人
事業ということになります。ただし、法人化の時期、及び会費規定
の定め方(特に会費の年度帰属の問題)にもよりますが、会費を納
めた会員が法人化後の会費という認識を持っているのであれば、個
人事業においては預り金とみなして、認証後の法人に引き渡したと
いう解釈も可能です。
この場合は、8ヶ月間の活動の原資(収入源)が会費以外にあっ
たのかどうかという点も問題になります。他に活動に見合う収入源
がなかったのであれば、その会費を使って活動したことになります
ので、預り金という解釈は難しいと思います。
公認会計士・赤塚和俊
Re: 認証前に集めた会費の処理について 投稿者:
タナカ 投稿日:2001/02/08(Thu) 13:53:00
No.273
ご回答いただきありがとうございます。書かれていた1から3の条件にはあては
まるのですが、少し具体的に申しますと、NPO法人の現在の理事長が個人事業
者として4月1日より活動を開始し、事業主借100万円からスタート、11月
に法人設立されるまでの8ヶ月間で会費収入18万円、寄付金講座開催、会員の
利用料収入が65万円、支出は専従1人の給与、法定福利費、ボランティアへの
謝礼等で合計170万円ほどありました。
(事業主借100万+会費18万+活動で得た収入65万)-170万円で申告
しようかと考えていたのですが、会費を預かり金と考えると収入には組み込めず
収支がマイナスになってしまい、NPO法人への繰越金がマイナスになるという
問題点が出ます。
もう1点、事業主借の100万円はNPO法人化した後、負債として引き
継がれるのでしょうか。
税務署に個人の確定申告を出さなくてもいいのではという話はいつ頃までに
文書あるいは口頭で行うべきなのでしょうか。
経理について不案内で頭を悩ませています。よろしくお願いします。
Re: 認証前に集めた会費の処理について 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2001/02/10(Sat) 08:50:00
No.274
"タナカさん
4月から11月までの事業を仮に申告するとしたら
収入83万円(事業主借は収入ではありません)に対
し支出170万円で、87万円の赤字になります。
通常はこんな事業はボランティア活動であって、
税務署に申告するような事業ではありません。文書
でも口頭でも何もする必要はないのです。
ただし、4月に事業開始届を提出しているのであ
れば別です。確定申告の必要があります。もっとも
赤字申告ですから実質的に意味はありません。
NPO法人は個人から負債のみを引き継ぐことは
できません。もし事業主借の100万円を引き継ぐと
すれば、同時に100万円以上の資産を引き継ぎ、少
なくとも""0""か資産の方が多いことが条件です。
NPO法人の設立にあたっては、個人もしくは任
意団体からの繰越という概念はありません。あくま
で新規の人格の創設ですから、ゼロまたは設立時の
寄付財産からスタートします。
唯一の便法が、前回書いた実質的には認証前の4
月からNPO法人の活動が始まったとみなす方法で
す。たとえば、設立前から会費収入を受け取ったの
であれば、誰かに預っていてもらったと考えて、法
人設立後にその現金を受け取り、法人の会費収入と
するわけです。
支出についても、たとえば設立準備費用は当然誰
かが立て替えているわけですから、法人設立後に法
人の負担とすることになります。具体的には、立て
替えてもらった人に支払って、設立初年度の法人の
経費にします。この中にプレ活動が含まれても、基
本的には構わないでしょう。
ただこれも程度しだいで、タナカさんのケースの
ように人件費まで発生しているのであれば、そのプ
レ活動が法人に帰属することが設立総会で承認され
ている等の条件が必要だと思います。
また、NPO法人に資産がなく、すぐには支払え
ない場合でも、それは立て替えた個人に対する未払
金の発生であって、負債の継承ではありません。
公認会計士・赤塚和俊
"
Re: 認証前に集めた会費の処理について 投稿者:
タナカ 投稿日:2001/02/20(Tue) 15:28:00
No.275
ありがとうございました。お礼が遅くなって申し訳ありません。
先日、行政関係団体主催のNPO法人向け税務相談会があり、その会場に
いらっしゃった税理士さんのご意見としては、個人事業主だった現理事長に
会費を預けていたと考えて、その分のお金をNPO法人から請求することが
できるという話がありました。
しかしながら、現理事長は無給で毎日NPO法人の活動に関わり、個人的にも
法人に対して金銭的な援助もしていますので、それ以上を求めるのは酷かと
思われます。
従って、法人設立前に集めた会費収入は個人事業者の収入として扱うことに
しようと理事会に提案しようかと考えています。