賃金もしくは外注費? 投稿者:
Bobby 投稿日:2004/01/26(Mon) 12:26:00
No.3100
お世話になっております。
当方介護保険事業を行うNPO法人ですが、登録ヘルパーに支払う際の経理処理について教えてください。
以前、労働基準局に問い合わせた時に、当方の登録ヘルパーは労働者とは認められないので
労働保険に加入できないと言われました。
しかしながら、我々経理に疎いので現状の処理はヘルパーに支払う際、
賃金として処理(扶養控除申告書を提出している者については年末調整も行っている)しておりました。
最近ヘルパーの一人から賃金ではおかしいのではと指摘されたのでお伺いしたいのですが、
労働基準局の見解を顧みると本来は外注費等で処理しなければならないのでしょうか?
外注とした場合は、源泉税の処理はどのようにすべきでしょうか?
よろしくお願い申し上げます。
Re: 賃金もしくは外注費? 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/01/26(Mon) 17:54:00
No.3101
Bobbyさん
残念ながら、シーズでも「登録ヘルパー」やいわゆる「業務委任契約」については詳し
い知識を持ち合わせていないため、労働基準監督署などに問い合わせて調べてみました。
以下はその結果です。
労務の提供の種類には「雇用=労働」契約と「委任(委託)」契約、「請負」契約があ
るようです。「雇用・労働」契約はいわゆる従業員として就職して働くこと、一方、
「委任(委託)」契約は特定の業務処理を受けること(分かりやすいところでは弁護士
や税理士など)、「請負」は仕事の完成を目的として特定の業務処理を受けること(例え
ば大工さんなど)のようです。
そして、「雇用=労働」契約の場合には労働関係法規が適用されますが、「委託」や
「請負」の場合には、労働関係法規は適用されません。つまり、最低賃金法や労働基準
法などによって守られる対象の労働者ではないため労働保険などの加入もありません。
働く人が「事業者」として独立して仕事をするからです。労働基準監督署によれば、事
業者(つまりBobbyさんの団体)と登録ヘルパーと利用者との間で業務委任契約を結ぶと
いうことも可能とのことです。Bobbyさんがお尋ねになった労働基準局では、Bobbyさん
の団体と登録ヘルパーさん、そして利用者との契約関係を、この形態であると判断した
のではないでしょうか。
(ただし、業務委任契約とはいっても、労働者性が強く、雇用契約だと判断されるケー
スもあるようなので、Bobbyさんのケースは違うようですが、少し付け加えておきます。
例えば、勤務時間・勤務場所の指定があったり、仕事の依頼や業務従事に対する諾否の
自由がなかったり、業務用器具の提供を受けていたり、報酬が労働事体の対酬であった
りすると、たとえ業務委任契約を交わしていても労働であると判断されるようです。こ
の委任契約についてはさまざまなトラブルも起きているようで、裁判もまま起きている
ようです。労働者性の判断は、個別に見ないと分からないようですが、いくら契約の名
称が委任であっても、実態が雇用関係であれば、労働法規に則って、事業者は雇用主と
しての義務を果たさなければならないということになるようです。)
さて、Bobbyさんの団体では、すでに登録ヘルパーさんの源泉徴収をしていたようですが、
これについては赤塚さんからお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 賃金もしくは外注費? 投稿者:
公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/01/26(Mon) 18:38:00
No.3102
Bobbyさん
源泉徴収についてですが、まず税務署と労働基準監督署の判断は
常に同じであるとは限りませんし、また、税務署は不当な課税逃
れであると判断しない限り基本的に事業者の行った処理を容認す
ると考えてもいいと思います。
つまり、既に給与として処理された昨年度分は(年末調整も含め
て)やり直す必要はないと思います。問題は今後はどう処理する
かということですが、労働基準監督署の見解、轟木さんの回答等
を踏まえて、最終的にはBobbyさんの団体としての判断で決める
ことです。
実際、給与として処理している団体はたくさんありますし、中に
は労働保険に加入している団体があることも事実です。それらの
団体とBobbyさんの団体で勤務実態に相違があるかどうかについて
はわかりませんが、基本的には大きな違いはないのではないかと
思います。
仮に従来通りに処理されるということであれば源泉徴収は給与と
して行って構いませんし、労働基準監督署とも、もう一度交渉の
余地もあるのではないかと思います。今後は「委任」または「請
負」として処理するということであれば源泉徴収は必要ありませ
ん。本人が確定申告することになります。
公認会計士・赤塚和俊