辞任に関する定款の効力 投稿者:
とにっく 投稿日:2004/02/05(Thu) 14:44:00
No.3154
現在NPO法人の理事を務めています。
任期は2年で後14ヶ月残っています。
役員定数は3人以上10人以内で現在理事は7人です。
この条件(定数を満たし、任期途中)で辞任を申し出た場合
定款に掲げられている次の条項は効力があるのでしょうか?
役員は、辞任又は任期満了後においても、後任者が就任するまでは、
その職務を行わなければならない
Re: 辞任に関する定款の効力 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/02/12(Thu) 14:16:00
No.3155
とにっくさん、
回答をお待たせしておりますが、現在、弁護士さんに確認をしていますので、もう
少しお待ちいただければ幸いです。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 辞任に関する定款の効力 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/02/16(Mon) 11:27:00
No.3156
とにっくさん、
類似の質問が「3320」であり、「3329」でお答えしておりますので、これも
ご参照いただければと思います。
そこでは、定款に「・・・新任の理事が就任するまでは職務を行わなければならない」
という規定がある時に、この職務は第三者への責任も含まれるか」という趣旨の質問
でしたが、これに弁護士の浅野晋さんは、次のように答えています。
「(この)ような趣旨の定款があるとすれば、このような定款の内容を承認して理事
となったのですから、これに当てはまる場合には辞任後も理事として職務を遂行する
責任があります。この場合、辞任はその旨の意思表示をしたときではなく、新理事の
就任を停止条件として効力が発生すると考えることになります。従って、辞任の意思
表示後であっても、その職務遂行によって生じる責任は、辞任の意思表示前と同じよ
うに生じることになります。」
上記の答えから、とにっくさんの場合にも、新理事が就任するまでは、理事としての
職務を遂行しなければならないと考えられます。
もちろん、定款の「役員任期」に「最小の役員定数を欠く場合には、新任の理事が就
任するまでは・・・」という具合に、定数割れした場合のみ、という条件でしたら、
この場合はその必要はないのですが、とにっくさんの法人の定款はそうなっていない
ということですね。
この件について、浅野弁護士にも再度確認しており、次のようなお返事をもらってい
ます。
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「法人の定款は、当該法人の団体を規律する規範ですが、理事に就任することを承諾
するということは、その団体の規律に服することを承諾して理事になるということで
す。このため、当該理事と当該団体との間には定款の定めを前提とした法律関係が生
じます。
このことは、例えば当該法人に入会した一般の会員(社員)が、入会することによ
って定款の定めに従って会費を払う義務が生ずることを考えると分かりやすいと思わ
れます。
従って、定款で『役員は、辞任または任期満了後においても、後任者が就任するま
では、その職務を行わなければならない。』と定められているのであれば、その通り
の義務があることになります。
このことは、辞任することにより法律上理事を補充する必要が生ずるかどうかとは
関係がありません。
従って、それなりの責任があることを自覚した上で役員になる心構えが必要です。
ただ、責任といっても、実際の場面ではあまり問題にならないことが多いかもしれ
ません。
例えば、当該理事が、当該法人の事務において何らかの具体的役割を分担していた
場合に、いきなりその人が『やーめた』と言って職務を放棄してしまい、当該事務執
行に支障がでるような場合は、やはり責任問題(場合によっては損害賠償責任)が生
じると思われますが、部外理事であって理事会に出て意見を述べる程度の役割しかな
い理事の場合には、責任問題はほとんど生じないと思われます。(理事会に出席しな
いというのは、理事として責任を果たしていないことになりますが、それによって法
人に損害が生ずることはあまり考えられないので、具体的な責任追及の問題は生じな
いということです。)
法人の役員というのは、当該団体の運営に重要な役割を担う人ですから、定款の定
めに従い責任を果たす覚悟で就任する必要があります。
ただ、そのような定款の定めが『重い』ということであれば、『軽い』定めに定款
変更をすればいいわけです。」
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以上、ご参考になさってみてください。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 辞任に関する定款の効力 投稿者:
とにっく 投稿日:2004/02/16(Mon) 13:41:00
No.3157
レスありがとうございます。
引き続き質問させていただきます。
浅野先生が仰る事はもっともですし、当方も定款の意味を理解し
理事職についたつもりでおりました。
その上で記載される文言によりどちらとも解釈できる部分があり
質問させていただきます。
役員任期については、
役員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2補欠のため、又は増員によって就任した役員の任期は、それぞれの前任者又は現任者の任期の残存期間とする。
3役員は、辞任又は任期満了後においても、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならない。
欠員補充については
理事又は監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。
これが定款に記載されている該当部分全文です。
「定数割れした場合のみ」との記載はありません。
また辞任については、後任者の補充も「遅滞なく」とは記されておりません。
この場合「後任者・適任者が見つからない」を理由に
辞任の決定と職務遂行によって生じる責任の停止を
法人側が意図的に先送りする事が可能なのかどうか。
またそれに対して遅滞なく後任者の補充を行われるように
要望を提出する事は可能なのかどうか。
上記2点について再度ご教示お願いします。
Re: 辞任に関する定款の効力 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/02/25(Wed) 18:29:00
No.3158
とにっくさん
ご質問について、弁護士の浅野さんから下記のような回答をもらいました。
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①「この場合『後任者・適任者が見つからない』を理由に辞任の決定と職務遂行に
よって生じる責任の停止を法人側が意図的に先送りする事が可能なのかどうか。」
②「またそれに対して遅滞なく後任者の補充を行われるように要望を提出する事は
可能なのかどうか。」
まず①の点ですが、可能です。なお、「辞任の決定」とありますが、総会であっ
ても理事会であっても定款にその旨の定めがないと(普通はそんな定めはありません)
「辞任の決定」をする権限はありません。理事の選任を総会でする場合であっても
理事会、評議委員会等で選任する場合であっても、選任には定款に定められた然る
べき手続きが必要です。従って、後任の理事の選任手続きを何のかんのと理由をつ
けて先送りすることが出来るわけです。そしてその場合、退任できない理事は当然
その責任が継続することになってしまいます。
次に②の点ですが、これは可能です。ただ、これは「要望の提出」というお願い
にしかすぎませんので、法的な拘束力はありません。このような要望が提出された
としても法人はその要望を無視することができるわけです。
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以上、参考になさってください。
シーズ事務局・轟木 洋子
Re: 辞任に関する定款の効力 投稿者:
とにっく 投稿日:2004/02/26(Thu) 10:14:00
No.3159
再三に渡るご教示 ありがとうございました。