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収益事業、特に請負業について 投稿者:法人化検討中の者 投稿日:2004/02/09(Mon) 20:04:00 No.3167
私達は現在任意団体として活動しています。
活動の内容が収益事業(課税対象)になるか教えていただきたく、よろしくお願いいたします。
また、私の浅知恵では、請負業が一番可能性があるのではないかと思っているのですが、
請負業というものの詳細を教えてください。

活動内容

1、トライアスロンなどの水泳競技中の事故を未然に防ぐための監視と
  事故があった場合の救助活動
大会の規模、必要人数に応じて10~30万円程度を私達の団体がもらい、謝金として
監視に入った人一人あたり5000円程度を支払う。不定期であるが年間7回くらい行なう。
毎年同じ大会の依頼を受けることが多い。

2、海水浴場の事故を未然に防ぐための監視と事故があった場合の救助活動
主に夏季期間中の土日およびお盆休みで10~20日程度。一夏10万円から20万円の
金額を役場や観光協会からいただき、謝金として監視に入った人一人あたり3000円~
5000円を支払う。必要な器材、消耗品なども購入。

3、人工の海水浴場の事故を未然に防ぐための監視と事故があった場合の救助活動
7月1日から8月31日までの62日間。一夏160万円程度の金額を人工浜の管理会社からいただき、
謝金として一人5000円程度を支払う。2ヶ月間借りるアパートの部屋の家賃や光熱費も
この中から支払う。必要な器材、消耗品なども購入。

4、子供向けの水辺の安全教室の実施
夏期に海水浴場などで2時間を20回程度実施。参加者からはお金を取っていないが、
今後実費などを徴収する可能性もある。現在はスポンサーがついており、教室を
10~20回程度行なうことを約束し、40万円をいただいている。
毎回終了後のスポンサーの旗を持って写真撮影し、夏季期間終了後に報告書を提出。

5、資格講習会の実施
上位団体(NPO法人)が規定している資格講習会を実施し、資格取得希望者からお金を
集め、資格認定料、講師料等を上位団体へ納付。また、講師以外の手伝いの人への謝金、
昼食代などにも使用する。

以上、ながながとすいません。
どうぞよろしくお願いいたします。
Re: 収益事業、特に請負業について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/02/12(Thu) 12:56:00 No.3168
法人化検討中の者さん

請負業は法人税法上の収益事業33業種の中でも最もあいまいで
税務署を含め現場の判断が混乱を極めているところです。最近
は拡大解釈される事例が多く憂慮されます。請負業を拡大解釈
するとあらゆるサービスの提供が収益事業とされることになり
33業種を限定列挙している意味がなくなるからです。対価を得
る事業はすべて物品の販売か、さもなくばサービスの提供です。

請負の定義としては「請負は当事者の一方がある仕事を完成さ
せることを約し相手方がその仕事の結果に対して之に報酬を与
ふることを約するに因りて其効力を生す」(民法第632条)があり、
法人税法基本通達では「国や地方公共団体から委託を受けた調
査、研究等も含まれる」とされています。

また最近の国税不服審判所裁決事例では「依頼者からの注文、
指図がなければ(一般的な管理業務は)請負契約とは言えず、
請負業を拡大解釈してはならない」というものがあります。

以上を踏まえて法人化検討中の者さんのご質問を検討したいと
思います。

> 1、トライアスロンなどの水泳競技中の事故を未然に防ぐた
>   めの監視と事故があった場合の救助活動
> 大会の規模、必要人数に応じて10~30万円程度を私達の団体
> がもらい、謝金として監視に入った人一人あたり5000円程度
> を支払う。不定期であるが年間7回くらい行なう。
>   
> 2、海水浴場の事故を未然に防ぐための監視と事故があった
>   場合の救助活動
> 主に夏季期間中の土日およびお盆休みで10~20日程度。一夏
> 10万円から20万円の金額を役場や観光協会からいただき、謝
> 金として監視に入った人一人あたり3000円~5000円を支払う。
>
> 3、人工の海水浴場の事故を未然に防ぐための監視と事故が
>   あった場合の救助活動
> 7月1日から8月31日までの62日間。一夏160万円程度の金額を
> 人工浜の管理会社からいただき、謝金として一人5000円程度
> を支払う。

以上、1から3はすべて事業の性格は同じものと思われます。
つまり請負業であればすべてそうですし、該当しない場合は、
すべて該当しないということになります。

私の見解では、いずれも仕事の完成、結果に対する報酬という
関係が成立していないので請負業には該当しないと思われます。

> 4、子供向けの水辺の安全教室の実施
> 夏期に海水浴場などで2時間を20回程度実施。参加者からはお
> 金を取っていないが、今後実費などを徴収する可能性もある。

技芸教授業の中に安全教室に相当するものは挙げられていませ
んので、これは収益事業ではありません。また、「仕事の完成
を求める発注者」がいませんので請負業でもありません。最近
保育園などで課税される事例が増えています。この場合税務署
は親が発注者だと称していますが、これがおかしいことは先に
書いた通りです。

> 現在はスポンサーがついており、教室を10~20回程度行なうこ
> とを約束し、40万円をいただいている。毎回終了後のスポンサ
> ーの旗を持って写真撮影し、夏季期間終了後に報告書を提出。

受講者から受講料を取るのではなくスポンサーがいて報告の義務
があると、仕事の完成、結果に対する報酬の支払いという関係が
成立している、つまり請負業ではないかと考えられます。

> 5、資格講習会の実施
> 上位団体(NPO法人)が規定している資格講習会を実施し、資
> 格取得希望者からお金を集め、資格認定料、講師料等を上位団
> 体へ納付。また、講師以外の手伝いの人への謝金、昼食代など
> にも使用する。

これは上位団体との契約関係や実態をもう少し詳しく教えていた
だかないと判断できません。講習会の実質的な主催者は上位団体
なのか実施する団体なのか、実施する団体には何が義務付けられ
ていて何に対して報酬が支払われるのか等です。たとえば資格認
定料は預かるだけでそっくりそのまま上位団体に渡すのであれば
少なくとも資格認定料に関しては収益事業には該当しないのでは
ないかと思われます。

           公認会計士・赤塚和俊
Re: 収益事業、特に請負業について 投稿者:法人化検討中の者 投稿日:2004/02/13(Fri) 21:13:00 No.3169
赤塚様

ご回答ありがとうございます。


「5、資格講習会の実施」につきまして、詳細を説明いたします。
主催者は私達の団体です。講義や運営など全て私達の団体がやります。
ただし受講生から集めた受講料の一部は、上位団体に教材の費用と
資格発行のための代金として払い、講習会の結果(合否の判断)を伝え、
資格を発行してもらいます。
上位団体への入金は他にはありません。
その他、全ての人件費や運営費は受講生から集めた受講料を
使って、私達の団体が直接負担します。合否の判断ができる上位団体の
講師資格を持った者の講師料は上位団体により決められていますが、
その他は全て自由に設定できます。

以上ですが、これで説明できていますでしょうか。


それから「4、子供向け安全教室」に関連して再度質問させてください。
現状のスポンサーとの関係は請負業と考えられるということですが、
私達はこれは「助成金」と考え、非課税なのかと思っていました。
(そもそも「助成金」というものが非課税なのか分かりませんが、、。)
「助成金」には何か定義があるのでしょうか。

(以下、「助成金」が非課税であると仮定して、、)
例えば、私達の団体がもともとこの子供向け教室を開く団体であり、
その事業(子供向け教室)に賛同した方がお金を出し、その方に対して
報告書(年報のようなもの)を提出する場合には「仕事の完成を求める
発注者がいない」と考えていいのでしょうか。
または一部の事業でなく、団体の全ての活動に賛同してもらう必要が
あるのでしょうか。

的外れな質問かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
Re: 収益事業、特に請負業について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/02/14(Sat) 09:41:00 No.3170
法人化検討中の者さん

的はずれではありません。非常に重要な質問です。

「4、子供向け安全教室」の方からお答えします。「助成金」は非課税
です。その例外として、収益事業の経費に充てる場合に課税される
収入となります。
この場合、スポンサーからの収入が助成金であれば、他に収入がないの
ですから「対価を得て行う事業」は存在せず、当然、収益事業には該当
しないことになります。

問題はスポンサーからの収入が「助成金」なのか「事業の対価」なのかと
いうことです。最初のご質問では「教室を10~20回程度行うことを約束」
の部分に私が引っ掛ったようです。
収入が「教室を10~20回程度行う」にはとても足りない金額であれば明ら
かに助成金だと思うのですがその点はいかがでしょう。また別の側面か
らでもスポンサーが発注者ではないことが明白であれば、やはり請負業
ではないと言っていいと思います。
スポンサーに報告書を提出するだけでは「仕事の完成を求められる請負」と
はならないことはおっしゃる通りです。

次に、「5、資格講習会の実施」です。
最初に私がお答えできなかったのは、これも上位団体から実施の依頼を
受けたものであれば「請負業」の可能性があるからです。しかし、おっ
しゃるような内容であれば「請負業」ではありません。(依頼を受けて行
うのであれば、依頼の内容、費用の負担方法、精算方法等を検討します)

資格に関する講習や認定は「技芸教授業」に該当するかどうかも検討し
なければなりませんが、これも「ライフセービング」に関わる資格であ
れば、限定列挙の技芸に該当するものがありませんので非課税です。

             公認会計士・赤塚和俊
Re: 収益事業、特に請負業について 投稿者:法人化検討中の者 投稿日:2004/02/18(Wed) 17:06:00 No.3171
赤塚様

ご回答ありがとうございました。
いただいた回答により、いろいろなことが以前よりも
はっきりとしてきました。

今後も他の方の質問と回答を参考にしながら、
また、分からないことが出てきましたら質問させていただきたい
と思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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