イヨさん、
まず、イヨさんは「果たして個人がNPO立学校を立ち上げることが可能か」と問われ
ていますが、明確にしておくために、NPOというのは非営利の「団体」であって、個
人ではない、ということをお伝えしておきます。NPO法人ということになれば、NP
Oのなかでも、一定の要件を満たして所轄庁から認証を受け、登記をした法人であり、
個人ではありません。
構造改革特区のなかでの学校づくりということだと、NPO法人としての認証が必要に
なります。
首相官邸の構造改革特別区域推進本部に問い合わせたところ、現在のところはまだNP
O法人の小中学校の運営で特区の認定を受けているところはないそうです。
ただ、学校教育法第2条による規制の特定措置として、構造改革特別区域法第13条によっ
て、NPO法人の学校設置については、おおよそ次のように定められています。
(条文自体はもっと長く複雑なものです)
「地方公共団体が不登校児童生徒等に対する教育について特別なニーズがあると認める
場合には、不登校児童生徒等の教育を行うNPO法人で一定の実績等を有するものの学
校設置を認める。その際、情報公開・第三者評価の実施、セーフティネットの構築を図
る。認定を受けた地方公共団体が市町村である場合、当該学校の設置認可については、
当該市町村の長が、当該市町村に置かれる審議会の意見を聴いて、認可を行うこととす
る」
上記については、次のホームページからさらに詳しく読むことができます。このページ
の「817」をご覧ください。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/hourei/030929/030929tokurei.htmlこの条文によると、NPO法人でも学校設置が可能であるが、その対象は不登校児童生
徒、学習障害、発達障害などを持つ児童生徒となっています。しかし、推進本部の方に
よると、かなり柔軟に読める条文でもあるそうで、どこまで範囲になるかは「曖昧」な
のだそうです。
そのため、推進本部の方は、あらかじめ文部科学省や、あるいは推進本部と相談された
方がよいだろう、とおっしゃっていました。
なお、NPO法人の認証を取得するには、申請書類などを自分たちで作成する場合は、
お金はほとんどかかりません。せいぜいコピー代や、役員の住民票を取る手数料程度で
す。資本金は要りません。設立時の財産はゼロでかまいません。
ただし、NPO法人は、理事を3人以上、監事を1名以上、社員を10人以上持ち(社
員というのは総会で議決権を持つ、いわゆる正会員のことで、従業員という意味ではあ
りません)、一年に一回は最高決定機関である社員総会を開かなくてはなりませんし、
所轄庁への報告、情報公開なども義務付けられています。
NPO法人設立に関しては、現在いろいろな本が出版されていますし、シーズのホーム
ページのトップページ(www.npoweb.jp)から「よくある質問」コーナーにアクセスし
て「NPO法人になるには」などを参考にされるのも良いと思います。
ただ、構造改革特別区域法第13条では、「一定の実績等」を有するNPO法人と定めて
いますから、NPO法人を新しく設立したばかりであると、難しいかとは思います。
構造改革特区は、地方公共団体との連携がかなり必要とされるようですので、市ともよく
お話をされた方がよいと思います。
シーズ事務局・轟木 洋子