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協賛金と他のNPOへの支払い 投稿者:潜道隆 投稿日:2004/04/02(Fri) 22:31:00 No.3341
潜道と申します。「協賛金」という概念と、それの複数NPOとの関係について質問します。

学習障害に関する認知を高めるEDGEというNPOのお手伝いをしています。

ご自身も同様の病歴を持つ英国の画家が賛同をしてくれ、自らの作品を提供し、その展示販売の収益の一部を提供してくれるということで準備をしています。ただし、この画家の関心は、狭い意味での学習障害だけでなく、『追い詰められた子供たちに愛の手を』という趣旨なので、通常のEDGEの活動の範囲を超えた活動の受け皿を求められています。

本来のEDGEの対象範囲を超えた活動をグラス・ルーツで始めるのも大変なので、この当該NPOおよび、趣旨に合ったいくつかのNPOの特定の事業(セミナーなどのイベント)を、この提供された収益の受け皿とし、この全体を『子供たちに愛の手キャンペーン』と呼んでいくことを考えています。

お金の流れとしては、以下のように考えています。

まず、協力してくれている画廊が展示販売を行います。この展示販売には、EDGEおよび、事業支援を受けるNPOも、協賛とし、動員に協力します。展示販売終了時、事前に作った覚書などに従い、『協賛金』、『販売報奨金』の形で、キャンペーン会計に入れ、経費(事務局など何か実際にあれば)を引き、EDGEおよび、
収益を受けるNPOに分配します。

前置きが長くなりましたが質問です。

1:EDGEは認定NPOをないため、画廊側は「協賛金」というかたちで経費として処理をしたいが、これは正しい選択か?
2:この会計の管理はEDGEの中で受けるのがいいのか、別途任意法人を作り行うべきか?
3:協賛金は一度EGEが受けて、他のNPOに支払うのがいいか、それとも画廊が直接各NPOへ払うのがいいのか?
4:前者の場合当該NPOから他のNPOへの支払いは、どのような名目が妥当なのか?

やや個別的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。
Re: 協賛金と他のNPOへの支払い 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/04/03(Sat) 12:22:00 No.3342
潜道隆さん

逆に質問です。
『子供たちに愛の手キャンペーン』実行委員会(以下、「実行委員会」と言います)が
あるものとして、作品を販売するのは画廊なのですかそれとも実行委員会なのですか。

作品の提供を受けるのは実行委員会ですから販売は実行委員会が行い画廊には通
常の展覧会のように会場費を支払うだけの方がすっきりすると思いますが。実行委員
会にはスタッフがいないので販売事務も画廊に代行してもらうという場合であっても、そ
れは委託販売であって、画廊へは会場費のほかに販売手数料を支払えばいいことです。

もちろん、販売の主体を実行委員会としても課税の問題は残りますが、少なくとも画廊
に迷惑をかけるという心配はありません。画廊が販売するという前提で考えた場合に
「協賛金」や「販売報奨金」を経費とするのはかなり無理があると思いますし、仮に経費
としても、今度は受け取ったNPO側に「請負業」として課税されるという問題が生じるで
しょう(請負ではないと主張すると画廊が経費とする理由がありません)。

実行委員会の作り方としては二つの方法が考えられます。

一つはEDGEの内部に実行委員会を作る方法です。この場合は販売収益はいったん
EDGEに帰属し、EDGEが画廊へ会場費や販売手数料を支払います。実行委員会の
事務経費があればそれも差し引きます。残りをEDGEの本会計及び他のNPOに分配
することになります。

会計処理としては実行委員会特別会計を作ってもあくまでEDGE内部の組織ですか
ら、取引はすべてEDGEの行う取引ということになります。物品販売業として法人税も
課税されます。実行委員会から他のNPOへの分配は寄付金ですから他のNPOには
課税の問題は生じません。

もう一つの方法はEDGEの外部に実行委員会を作るという方法です。今後も継続して
同様のことがあるのでなければ法人格を持つ必要はないでしょう。この場合は任意団
体としての実行委員会に対して法人税が課税されることになります。利点は課税が実
行委員会で完結するということです。納税後の利益をEDGE及び他のNPOに寄付して
実行委員会は解散します。もちろん受け取る側には課税はありません。

結論としては、どういう方法をとっても課税は免れないということです。それが画廊なの
かEDGEなのか任意団体なのかという違いだけです。任意団体(外部の実行委員会)
方式がいいというのは、画廊やEDGEのように他の事業も行っている場合はこのキャン
ペーン固有の税負担がいくらなのか正確に算出するのが困難だからです。

理不尽と思われるかも知れません。私も理不尽だと思います。この問題で悩んでいる
団体はたくさんあります。使用済切手やカードあるいは牛乳パックの回収をしている
等々です。商品仕入を行う場合は別として一般のバザーも同様です。原則として現金
で寄付を受けても課税されないのに物品で寄付を受けるとその物品を換金するという
行為に課税されるわけです。根本的な解決法は国税庁に「物品販売業」の定義を見な
おしてもらうか、あるいは法改正しかありません。

              公認会計士・赤塚和俊
Re: 協賛金と他のNPOへの支払い 投稿者:潜道隆 投稿日:2004/04/05(Mon) 11:44:00 No.3343
赤塚さん
ご回答ありがとうございます。大変参考になりました。NPAATPNのMLも入れていただ
いているので参考にさせていただいています。
さて質問いただいた件ですが:
>『子供たちに愛の手キャンペーン』実行委員会(以下、「実行委員会」と言いま
す)があるものとして、作品を販売するのは画廊なのですかそれとも実行委員会なの
ですか。』
という点ですが、もともとEDGEに関係なく画廊さんが日本での独占販売権を持ってい
るというのが経緯です。日本で展示・即売会を画家来日に伴い行うに際し、EDGEなどの活動へのサポートが要請されています。画家側からそのための作品の追加提供、価格面などのサポートを受けることになっています。
したがって課税リスクが画廊さんに発生するものの、画廊としてはこの形があくまで基本形との考えがあります。

ここが固定されていると、受け取る側としてはEDGEで受け取っても、任意法人でも変わらないとの印象を受けましたが、そのとおりでしょうか?

潜道
Re: 協賛金と他のNPOへの支払い 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/04/08(Thu) 07:39:00 No.3344
潜道隆さん

>> 『子供たちに愛の手キャンペーン』実行委員会(以下、「実行委員会」と言います)があ
>> るものとして、作品を販売するのは画廊なのですかそれとも実行委員会なのですか。』
> という点ですが、もともとEDGEに関係なく画廊さんが日本での独占販売権を持っている
> というのが経緯です。日本で展示・即売会を画家来日に伴い行うに際し、EDGEなどの活
> 動へのサポートが要請されています。画家側からそのための作品の追加提供、価格面
> などのサポートを受けることになっています。したがって課税リスクが画廊さんに発生す
> るものの、画廊としてはこの形があくまで基本形との考えがあります。
> ここが固定されていると、受け取る側としてはEDGEで受け取っても、任意法人でも変わ
> らないとの印象を受けましたが、そのとおりでしょうか?

そういう事情だったのですね。NPO会計税務専門家ネットワークでちょっと相談して
みますので、しばらくお待ち下さい。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 協賛金と他のNPOへの支払い 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/04/25(Sun) 10:11:00 No.3345
潜道隆さん

お返事がたいへん遅くなりました。NPOATPNのMLにも参加されている
ということなので議論の経過はご覧になったと思いますが、他の読者
のために結論だけ申し上げると
(1)画廊が寄付をする=画廊が課税される
(2)作品の購入者が寄付をする(寄付を購入の条件にする)=寄付
   部分も対価とみなされる可能性が高い、結果(1)と同様か?
(3)通常の販売の後、画家が寄付をする=画家の申告納税する国の
   税制にもよるが、一般的に外国での寄付は控除対象とならない。
いずれの場合でもどこかで課税されることは避けられないのではない
かということです。

今回は画廊の販売権がネックですが、私はその問題がなければ(2)、
つまり実行委員会を組織してチャリティーオークションを行なう(画家に
オークションに作品を提供してもらう)という方法が有効なのではない
かと思います。

             公認会計士・赤塚和俊

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