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初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/12(Wed) 18:50:00 No.3476
 赤塚先生,お世話になります。
 初めて税務署に確定申告を行います。その中でちょっとお聞きしたいことが
あります。よろしくお願いします。
 定款には「その他の事業」を明記しておらず,いわゆる収益事業は行って
いないという形にはなっています。しかし,私どものNPO法人の本体事業である
「パソコン教室」事業が税法上の収益事業に当たるということで,この分に
関する事業の収支計算書を出して欲しいとのことです。
 税金を払うことには何の問題もありませんが,この場合,本体事業の収支
計算書の収入に「事業収入」の項目があり,備考に「パソコン教室事業」と
明記しています。
 ただ,支出の事業費の中の「パソコン教室事業」は,事業収入が79万円で
あるのに対して,約23円の支出となっております。
 もちろん,事業収入を他の管理費等にも使っていますので,残りの約56万
円分について,支出した各項目を上げればいいのでしょうか?

 また,この収益事業だけの「貸借対照表」を作成することになっておりますが,
これは,「パソコン教室事業」にかかわるものだけでいいのでしょうか?
本体の「貸借対照表」と照らし合わせなければなりませんが,ちょっと分かりま
せん。
 固定資産としているパソコン関係は,本体の貸借対照表に入れるのか,それとも
パソコン教室事業の貸借対照表に入れるのでしょうか?
 ちょっと混乱して,申し訳ありません。

 どうぞ,よろしくお願いします。
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/05/13(Thu) 07:11:00 No.3477
大谷憲史さん

> 私どものNPO法人の本体事業である「パソコン教室」事業が税法上の
> 収益事業に当たるということで,この分に関する事業の収支計算書を
> 出して欲しいとのことです。

ちょっと待って下さい。そのパソコン教室は受講者から授業料をいただ
いて経営されているのでしょうか。それとも自治体かどこかから委託を
受けて、受講者からは授業料はもらっていないのでしょうか。

もし前者であれば技芸教授業の限定列挙の中にパソコン教室はありま
せんので、そもそも法人税の申告は必要ないということになります。しか
し、後者の場合は請負業として課税される可能性がでてきます。以下は
請負業として課税されるという前提でお答えします。

> ただ,支出の事業費の中の「パソコン教室事業」は,事業収入が79万
> 円であるのに対して,約23円の支出となっております。もちろん,事業
> 収入を他の管理費等にも使っていますので,残りの約56万円分につ
> いて,支出した各項目を上げればいいのでしょうか?

法人税の所得の計算はその収入(益金と言います)を何に使ったかで
はなく、その収入をあげるのにどれだけのコスト(損金といいます)が
かかったかで計算します。益金-損金が課税所得です。

そこでそのコストの計算の仕方ですが、その収入をあげるのに直接か
かった経費(パソコンの減価償却費もコストですから約23円ということは
あり得ないと思います)に、他の業務と共通にかかった経費を按分して
加算します。按分のやり方についてはNo.3705,3706、No.2064,2078等を
参考にして下さい。

> また,この収益事業だけの「貸借対照表」を作成することになっており
> ますが,これは,「パソコン教室事業」にかかわるものだけでいいので
> しょうか?

本来は収益事業だけの貸借対照表を作成するのですが、それが困難
であればその旨を記載した上で全体の貸借対照表を添付しても構い
ません。

> 固定資産としているパソコン関係は,本体の貸借対照表に入れるの
> か,それともパソコン教室事業の貸借対照表に入れるのでしょうか?

誤解があるようです。NPO法では本来事業とその他の事業は区分経理
を行ってそれぞれの収支計算書及び貸借対照表を作成することになっ
ていますが、法人税法では収益事業の貸借対照表か「全体の」貸借対照
表を添付するのであって、収益事業部分を除いた「本体の」貸借対照表
という概念はありません。

パソコンがパソコン教室専用で使われているのであればそれは収益事
業の貸借対照表に計上されると同時に全体の貸借対照表にも計上され
るということです。

               公認会計士・赤塚和俊
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/13(Thu) 23:13:00 No.3478
 赤塚先生,ご回答ありがとうございます。
 パソコン教室事業の取扱につきましては,以前にも赤塚先生から
技芸教授業の限定列挙の中にパソコン教室はないから,法人税の
申告はありません,と言うことをお聞きしました。
 しかし,宮崎税務署(熊本国税局)は,以前から,パソコン教室
事業は課税対象になると言う見解で,今回の申告になっているよう
です。
 宮崎税務署の担当の話では,パソコンを置いてある部屋で定期的に
講座を開いて受講生から受講料を徴収すると言うことは,定期的に
受講料収入があるわけでそれは課税対象になると言う見解です。
 宮崎税務署では,技芸教授業の「学校教育の補修のための学力の
教授(通信教育を含む)等」の「等」にパソコン教室も含まれるとも
言っております。

>それとも自治体かどこかから委託を
>受けて、受講者からは授業料はもらっていないのでしょうか。
>後者の場合は請負業として課税される可能性がでてきます。以下は
>請負業として課税されるという前提でお答えします。

 はい。昨年度は,確かに公民館でのパソコン教室は行いました。
形態も公民館からの委託で行いました。しかし,このパソコン講座
には市からの予算がつかず,予算はありませんでした。また,受講生
からも受講料はとっておりません。ただ,公民館の維持管理費として
公民館が受講生1名あたり1,000円を徴収しておりました。
 受講生は20名でしたので,徴収した20,000円を講座運営費として
公民館から私どものNPOに渡されました。
 この場合は,請負業になるのでしょうか?

 また,本年度は,予算化され,講師謝金が払われるようになりました。
ここでもちょっと問題が起きたのですが,公民館側は講師個人に謝金を
出していると言うことで,源泉徴収された額を提示しました。私どもは
NPO法人に支払われるものと思っておりました。
 このことを税務署にお話しましたら,個人に支払われるものであれば,
NPOには関係ないが,個人に支払われた謝金をNPOにバックするのであれば
個人による寄付になるとのことでした。このような場合は,請負業になるの
でしょうか?
 そもそも,公民館講座は市が予算を組んでいますが,講師を決めたり
派遣依頼をしたりするのは公民館です。その公民館は,これまでほとんど
個人の講師にお願いしてきているので,法人との契約については分からない
とのことでした。NPO法人で契約するのであれば,市との契約になるかとは
思いますが,すでに年度が始まっていますので,本年度は,寄付扱いに
なるのではないかと思います。

 赤塚先生がおっしゃいますように,パソコン教室事業が収益事業の技芸
教授業には当たらないとなると,税務署への確定申告は必要なくなるの
でしょうか?それとも,本来事業の部分で収益が上がっていてもいなくても
申告しなけばならないのでしょうか?
 パソコン教室事業を行っている他のNPO法人さんはどのようにされているので
しょうか?宮崎にはこのような団体は私のところだけなので,ちょっと
困っております。

 長くなって申し訳ありません。
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/05/14(Fri) 08:47:00 No.3479
大谷憲史さん

法人税が課税される収益事業の条件は三つあります。
(1)政令に定める33業種のいずれかを
(2)継続的に
(3)事業場を設けて
営む場合です。

>  宮崎税務署の担当の話では,パソコンを置いてある部屋で定期的に講座を
> 開いて受講生から受講料を徴収すると言うことは,定期的に受講料収入があ
> るわけでそれは課税対象になると言う見解です。

これは上記の(2)と(3)ですね。しかし、上記の3条件は三つ揃って初めて課税
対象になるというものですから、33業種に該当するかどうかの問題です。

>  宮崎税務署では,技芸教授業の「学校教育の補習のための学力の教授(通
> 信教育を含む)等」の「等」にパソコン教室も含まれるとも言っております。

宮崎税務署は33業種のうちの技芸教授業に該当するという見解なのですね。技
芸教授業はさらに二つの規定に分かれていて、一つは「洋裁、和裁等の技芸の
教授」でこれは限定列挙です。この中にパソコン教室に相当するものががない
ことは大谷さんのご存知の通りです。

技芸教授業のもう一つの類型が「学力の教授」であることは確かにそうなのです
が、パソコン教室がこの「学力の教授」に該当するという話は私も初めて聞きま
した。

政令によれば、この「学力の教授」には限定がついていて、「学校の入学者を選
抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための学力の
教授」であれば技芸教授業に該当する、となっています。宮崎税務署はまさかこ
の前者と言っているわけではないでしょうから、後者つまり「学校教育の補習」
に該当すると言っているのでしょうか。

「学校」の定義ですが、学校教育法では、「小学校、中学校、高等学校、大学、
高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園とする。」となっています。
最近では中学校や高等学校の授業にも「情報」という単元があるらしいので、こ
のいずれかの学校の学校教育の補習に該当すれば「技芸教授業」になるのかも
知れません。

しかし、大谷さんのパソコン教室の受講生は上記の「学校」の学生なのでしょう
か。もしそうでなければ「学力の教授」には該当しないと主張するべきだと思いま
す。

> >それとも自治体かどこかから委託を受けて、受講者からは授業料はもらって
> >いないのでしょうか。後者の場合は請負業として課税される可能性がでてき
> >ます。

>  はい。昨年度は,確かに公民館でのパソコン教室は行いました。形態も公民
> 館からの委託で行いました。しかし,このパソコン講座には市からの予算がつ
> かず,予算はありませんでした。また,受講生からも受講料はとっておりません。
> ただ,公民館の維持管理費として公民館が受講生1名あたり1,000円を徴収して
> おりました。受講生は20名でしたので,徴収した20,000円を講座運営費として公
> 民館から私どものNPOに渡されました。この場合は,請負業になるのでしょうか?

確かに形式を見れば請負に当たるかも知れませんが、20,000円では実費にも足
りない金額でしょう。私は実費相当かそれ以下の収入しかない場合は収益事業
には該当しないと思いますが、これもそれを容認する税務署と否定する税務署
があります。あくまで争うとしたらやはり裁判を覚悟する必要があります。

>  また,本年度は,予算化され,講師謝金が払われるようになりました。ここ
> でもちょっと問題が起きたのですが,公民館側は講師個人に謝金を出してい
> ると言うことで,源泉徴収された額を提示しました。私どもはNPO法人に支払
> われるものと思っておりました。

主催者は公民館なのでしょうね。すると公民館が講師を委嘱する相手が個人
なのか、NPO法人なのかという問題になります。まずその点をはっきりさせる
べきでしょう。

>  このことを税務署にお話しましたら,個人に支払われるものであれば,NPO
> には関係ないが,個人に支払われた謝金をNPOにバックするのであれば個
> 人による寄付になるとのことでした。このような場合は,請負業になるので
> しょうか?

個人で公民館から委嘱を受けてその講師料をNPO法人に入れるのであれば、
税務署の言うとおり寄付ですから法人の事業(請負業)とはなりません。しかし、
契約上個人が受けたものであっても、それを法人で受けたものとして処理する
ことは可能です。実際そうしている法人はたくさんあります。ただこの場合は請
負業として法人税の申告をしない限り源泉徴収された税額を回収する手段が
ないという問題があります。

>  そもそも,公民館講座は市が予算を組んでいますが,講師を決めたり派遣
> 依頼をしたりするのは公民館です。その公民館は,これまでほとんど個人の
> 講師にお願いしてきているので,法人との契約については分からないとのこ
> とでした。NPO法人で契約するのであれば,市との契約になるかとは思いま
> すが,すでに年度が始まっていますので,本年度は,寄付扱いになるのでは
> ないかと思います。

それでも構いませんし、公民館側の解釈とはかかわりなくこちらは法人で受け
たものとして処理することも可能です。前述の通りです。

>  赤塚先生がおっしゃいますように,パソコン教室事業が収益事業の技芸
> 教授業には当たらないとなると,税務署への確定申告は必要なくなるの
> でしょうか?それとも,本来事業の部分で収益が上がっていてもいなくても
> 申告しなけばならないのでしょうか?

仮の話ですが、もし私の関与先であれば私は申告しません。それで税務署が
更正の決定をするかどうかです。更正があったら、その時点で更正に従うか
それとも裁判を覚悟するかもう一度考えます。裁判をするとなるとそれなりの
覚悟と体力が必要になりますので、更正に従うかもしれません。

>  パソコン教室事業を行っている他のNPO法人さんはどのようにされている
> のでしょうか?宮崎にはこのような団体は私のところだけなので,ちょっと
> 困っております。

これは私も知りたいところです。以前はこのような事例で申告しているケース
は少なかったと思うのですが、宮崎税務署のように申告を求められることも増
えているようです。皆さんはどう対応されているのでしょうか。

               公認会計士・赤塚和俊
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/14(Fri) 23:57:00 No.3480
 赤塚先生,誠にありがとうございます。
 私の質問に対して1つ1つお答えくださり,大変ありがたいです。
今回の件で,いろいろな方や,また,うちの理事とも話し合っているのですが,
その中で出てきた問題があります。
 それは,NPO法人ではなく,いわゆる民間のパソコン教室です。
 パソコン教室自体が,収益事業の技芸教授業に当たらないのなら,一般の
民間のパソコン教室は,33の収益事業のどんな名目の収益事業にあたる
のでしょうか?
 ちょっとどころか大いに頭が混乱してきました。
 ま,裁判を起こすまでにはいかないとは思いますが,宮崎税務署の判断が
ちょっとあやふやなのがいやですね。

>それで税務署が更正の決定をするかどうかです。更正があったら、その時点
>で更正に従うかそれとも裁判を覚悟するかもう一度考えます。

 更正とは,具体的にはどのようなことでしょうか?たとえば,再申告を行う
と言うことでしょうか?
 裁判を行うような体力はありませんが,日本の税務署によって判断や捉え方が
違うのでしょうかね?裁判のように,具体的な判例とか過去の事例とかで一般化
されたものがあれば,それに照らし合わせて考えることができると思います。
 この前も宮崎税務署に出かけたのですが,私の質問に対して,職員が奥に引っ
込んで他の職員と打ち合わせをしている光景を何度も見ておりますし,職員に
よっては対応が違うこともあります。
 このような状況ですので,管轄の熊本国税局の「税務相談所」に相談に出かけ
てみようかとも考えているところです。
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/05/15(Sat) 09:09:00 No.3481
大谷憲史さん

>  それは,NPO法人ではなく,いわゆる民間のパソコン教室です。
> パソコン教室自体が,収益事業の技芸教授業に当たらないのなら,一般の
> 民間のパソコン教室は,33の収益事業のどんな名目の収益事業にあたる
> のでしょうか?

一般の営利企業は資本金の払込み等の例外はありますが、基本的にすべて
の収入が法人税の課税対象であり、そのコストを差引いた所得に課税されま
す。これを原則課税といいます。

これに対し、NPO法人を含め公益法人は原則非課税です。そうでなければ
会員の会費や寄付金にも課税されるということになってしまいます。例外が
33業種のいずれかを営む場合で、法人税が課税されることになっています。

33業種の定め方が今のままでいいのかという問題はありますが、それは法
律や政令で定めるべきことであって、税務署の窓口が勝手に解釈していいと
いうものではありません(憲法第84条の租税法律主義)。

> >それで税務署が更正の決定をするかどうかです。更正があったら、その
> >時点で更正に従うかそれとも裁判を覚悟するかもう一度考えます。
>
>  更正とは,具体的にはどのようなことでしょうか?たとえば,再申告を行う
> と言うことでしょうか?

違います。簡単に言うと、税務署が申告に誤りがあるとか無申告は誤りであ
ると判断したときに職権で行う課税処分のことです。通常は「修正申告して下
さい」とか、「申告書を提出して下さい」という話が先にあって、それを拒否し
た場合に更正の決定ということになります。

>  裁判を行うような体力はありませんが,日本の税務署によって判断や捉え
> 方が違うのでしょうかね?

それが実は一番困っていることなのです。全国でトラブルが発生しています。

> 裁判のように,具体的な判例とか過去の事例とかで一般化されたものがあ
> れば,それに照らし合わせて考えることができると思います。

判例はあまりありません。NPO法人が訴訟を起こした事例は4月2日に地裁
判決の出た流山訴訟がたぶん唯一の例だと思います。↓
⇒ 行政 : 「ふれあい事業」訴訟全面敗訴

NPO法人の歴史が浅いのとNPO法人の行う事業が法令の想定を超えて多
彩であるというのが現在の混乱の大きな理由だと思います。それにしても、
税務署によって判断が異なるというのは困ったものです。

>  この前も宮崎税務署に出かけたのですが,私の質問に対して,職員が奥
> に引っ込んで他の職員と打ち合わせをしている光景を何度も見ております
> し,職員によっては対応が違うこともあります。

これも皆さんよく経験されているようです。

>  このような状況ですので,管轄の熊本国税局の「税務相談所」に相談に
> 出かけてみようかとも考えているところです。

何でもやってみるのはいいことだと思いますが、国税局(あるいは東京の国
税庁)にはあまり期待しないで下さい。これまでの経験では「実態判断は所
轄の税務署が行いますのでお答えできません」というのが普通です。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/15(Sat) 18:35:00 No.3482
赤塚先生,毎回,丁寧なご回答をありがとうございます。

>33業種の定め方が今のままでいいのかという問題はありますが、それは法
>律や政令で定めるべきことであって、税務署の窓口が勝手に解釈していいと
>いうものではありません(憲法第84条の租税法律主義)。

 と言うことは,この「租税法律主義」を根底に税務署と話を進めるときに,
33業種の限定列挙の中にパソコン教室が明記されていないので,技芸教授業
には当たらないと言うことを双方で確認できればよろしいのでしょうか。
 そうすれば,税務署の窓口の奥で,そのつど職員が話し合い,職員によっ
ては対応が違うと言うこともなくなりますよね。

>それが実は一番困っていることなのです。全国でトラブルが発生しています。

 例えば今回のように,「宮崎の税務署が,33収益事業の限定列挙にない
パソコン教室事業に課税した」と言う事例が発生したら,他県の税務署に
も影響を与えることになるのでしょうか?
 そうなると,私どもが悪い前例をつくってしまうようで,なんとも
恥ずかしいですね。

>これまでの経験では「実態判断は所轄の税務署が行いますのでお答えでき
>ません」というのが普通です。

 分かりました。
 この赤塚先生のお話で思い出したのですが,宮崎県では,高校の売店にも
課税しようと動いています。他県ではいかがでしょうか?高校のPTAの活動
資金を集めるために,収益事業ではなく,いわば,公益(になるのでしょう
か?)の活動のために売店を行っているのですが,このような状況を考えると
NPO法人への課税の風当たりも強いのは当然なのかもしれません。
 この前も書きましたが,裁判を起こすような体力はありませんが,悪しき
前例はつくりたくはないと思います。憲法の第84条の租税法律主義等を
前面に出して,お話をしてみたいと思います。

 ところで,赤塚先生,公認会計士のみなさんは,税務署の職員とは違って
だいたいどこの県でも赤塚先生と同じような考え方でNPO法人の税務に携わって
いらしゃる方は多いのでしょうか?
 そうであれば,税務署ではなく,公認会計士さんと相談したほうが
話は早いかもしれません。

 毎回,長い質問で申し訳ありません。
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/05/16(Sun) 05:13:00 No.3483
大谷憲史さん

>  と言うことは,この「租税法律主義」を根底に税務署と話を進めるときに,
> 33業種の限定列挙の中にパソコン教室が明記されていないので,技芸教授
> 業には当たらないと言うことを双方で確認できればよろしいのでしょうか。

おっしゃる通りなのですが、それがなかなか難しいのです。ただ、今回は宮崎
税務署の言い分が「学力の教授等に該当する」ということなので、比較的反論
が容易ではないかと思います。

前にも書きましたが、この「学力の教授」には限定がついていて、「学校の入学
者を選抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための
学力の教授」が収益事業に該当する、となっています。つまり受験予備校及び
補習塾は収益事業ですが、それ以外の学力の教授は収益事業には該当しま
せん。「学校教育」が「小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、盲
学校、聾学校、養護学校及び幼稚園」を指すことも、前に書いた通りです。

>  例えば今回のように,「宮崎の税務署が,33収益事業の限定列挙にない
> パソコン教室事業に課税した」と言う事例が発生したら,他県の税務署に
> も影響を与えることになるのでしょうか?そうなると,私どもが悪い前例を
> つくってしまうようで,なんとも恥ずかしいですね。

もちろんその可能性は否定できませんが、似たような事例は各地で起きてい
ます。単独で戦うのはたいへんだということはみんなわかっていますからあま
り気にしなくていいと思います。ただ、主張すべきはきちんと主張して下さい。

>  この赤塚先生のお話で思い出したのですが,宮崎県では,高校の売店
> にも課税しようと動いています。他県ではいかがでしょうか?高校のPTA
> の活動資金を集めるために,収益事業ではなく,いわば,公益(になるの
> でしょうか?)の活動のために売店を行っているのですが,

これは違います。法人税を課税するかどうかはその目的が「公益活動」に
充てるかどうかとは全く関係ありません。いいか悪いかの価値判断は別と
して現行の税法は(1)33業種に該当する事業を(2)継続的に(3)事業場
を設けて営む場合は課税する、そうでなければ課税しないとなっています。
その事業を行う目的は関係ないのです。

>  この前も書きましたが,裁判を起こすような体力はありませんが,悪しき
> 前例はつくりたくはないと思います。憲法の第84条の租税法律主義等を
> 前面に出して,お話をしてみたいと思います。

ぜひがんばって下さい。ただ憲法を前面に出すのはいいのですが、それと
同時に具体的に「学力の教授等」には該当しないことを主張すること(逆に
言えばどうして「学力の教授等」に相当するのか税務署側の見解の根拠を
問う、学校教育法でいうどの学校の補習に相当するのかを問う)が大事です。

>  ところで,赤塚先生,公認会計士のみなさんは,税務署の職員とは違って
> だいたいどこの県でも赤塚先生と同じような考え方でNPO法人の税務に携
> わっていらしゃる方は多いのでしょうか?

残念ながらそうではありません。NPO活動に理解のあるあるいは関心のある
専門家自体が非常に少ないというのが実情です。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/16(Sun) 08:25:00 No.3484
赤塚和俊先生,お答えありがとうございます。
 明日の月曜日に,税務署に出かけてお話してみたいと思います。
これまでの赤塚先生とのやりとりで,主張すべき点が明確になりま
したので,きちんとお話してきます。
 お話し合いの結果をお知らせいたします。

 ありがとうございました。

 特定非営利活動法人情報ボランティア事業団
  事務局長  大 谷 憲 史
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/17(Mon) 17:32:00 No.3485
赤塚和俊 先生
 こんにちは。
 本日,出かけました。
現場の法人税課に出向く前に,熊本国税局の税務相談室に出かけてお話をしました。

 ○ 確かに技芸教授業には「パソコン教室」が明記されていないので,NPO法人が
  行う場合は,非課税対象事業(本来事業)になる。
 ○ 市からの委託を受けて公民館講座を行うのであれば,「請負業」として
  収益事業(課税対象事業)になる。

 と言うご判断をいただきました。
 そして,そこの相談室の担当の方と一緒に,法人税課に出向き,再度,確認を
とりました。
 結果としては,今回は確定申告しなくてもよいことになり,これまで収益事業
として「収益事業開始届」を出しておりましたが,担当の方から「収益事業廃止
届」を直に受け取りました。
 どうやら税務署側は,私どもが行っているパソコン教室のすべてを,行政からの
委託契約で行っているものと捉えており,すべて「請負業」として捉えていたよう
です。
 税務署は,NPO法人が行っている事業のほとんどが行政からの委託事業である
との認識のようでした。私が争点にしていました「技芸教授業」については,
税務署は何も考えていなかったようで,今回,私が技芸教授業にパソコン教室が
書かれていないと言うことで,私の指摘に気づいたようです。

 と言うことで,赤塚先生には今回の件でいろいろとご迷惑をおかけしました。
しかし,税務署と話し合う内容を前もって整理して出かけたことで,裁判をしなく
て済みました。

 まことにありがとうございました。

 特定非営利活動法人情報ボランティア事業団
   事務局長  大 谷 憲 史 
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/05/18(Tue) 12:39:00 No.3486
大谷憲史さん

おめでとうございます。申し訳ありませんが、一つ確認です。
「収益事業開始届」の取り下げではなく「収益事業廃止届」ですか?
廃止の日付は「開始届」の開始の日付と同じなのでしょうか。もし開始
届と廃止届の間に日数があれば、形式論としてはその間は収益事業
を行っていたことになり、その間の事業に関する確定申告が必要とい
う理屈になります。この辺は税務署はどう考えているのでしょうか。

              公認会計士・赤塚和俊
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/18(Tue) 23:45:00 No.3487
赤塚和俊先生

>おめでとうございます。

 ありがとうございます。

>「収益事業開始届」の取り下げではなく「収益事業廃止届」ですか?
>この辺は税務署はどう考えているのでしょうか。
 担当の方から書類をいただきました。取り下げもできるのですね。
明日,確認してみます。

 それと,収益事業を行わないと言うことで,いわゆる県と市の法人税
ですが,すでに県の2万円は納税しました。うちの市の市民活動支援
センターで言われたのですが,収益事業がなくなったのであれば,
法人税の免税を行ったほうが良いとのことでした。
 このことについても明日,再度確認を取りたいと思います。
 また報告いたします。
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/05/19(Wed) 09:23:00 No.3488
大谷憲史さん

> >「収益事業開始届」の取り下げではなく「収益事業廃止届」ですか?
> >この辺は税務署はどう考えているのでしょうか。
>  担当の方から書類をいただきました。取り下げもできるのですね。
> 明日,確認してみます。

取り下げがベストですが、それに難色を示されたら開始と廃業を同日に
する等、少なくとも申告の義務がないことだけは確かめて下さい。

>  それと,収益事業を行わないと言うことで,いわゆる県と市の法人税
> ですが,すでに県の2万円は納税しました。うちの市の市民活動支援
> センターで言われたのですが,収益事業がなくなったのであれば,
> 法人税の免税を行ったほうが良いとのことでした。

東京都ですが、収益事業の解釈の誤りに気がついて2年分の法人税の
申告書を取り下げた上、納税済みの均等割も全額還付してもらったと
いう事例があります。ねばり強く交渉して下さい。

             公認会計士・赤塚和俊
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/19(Wed) 14:54:00 No.3489
赤塚和俊先生

 お世話になっております。

>取り下げがベストですが、それに難色を示されたら開始と廃業を同日に
>する等、少なくとも申告の義務がないことだけは確かめて下さい。

 さっそく税務署に出かけました。取り下げと言うことで,同日廃止で
構いません,と言うことでしたので,その場で手続きを取りました。
これで税務署関係は終わりました。

>東京都ですが、収益事業の解釈の誤りに気がついて2年分の法人税の
>申告書を取り下げた上、納税済みの均等割も全額還付してもらったと
>いう事例があります。ねばり強く交渉して下さい。

 はい,ありがとうございます。
県税事務所に出かけ事情を話しましたが,担当者が不在とのことでしたので,
後日,連絡があるとのことでした。今後,粘り強く交渉していきます。

 ありがとうございました。
Re: 初めての確定申告で困っています 投稿者:大谷憲史 投稿日:2004/05/21(Fri) 12:29:00 No.3490
赤塚和俊先生

 お世話になっております。
 以外とすんなりと手続きが終わりました。
県税事務所が税務署に確認をとり、うちのNPO法人が税法上の
収益事業を行っていないことが確定されました。
 ということで、本日、健在事務所に出向き、法人県民税の
免除申請を行いました。すでに期日は過ぎているのですが、
今回はOKとのことでした。

 赤塚先生にはいろいろとお答えいただき、ありがとうございました。
研修等で関東方面に出掛けることがありましたら、一度お会いしたいと
思います。
 ほんとうにありがとうございました。

 特定非営利活動法人情報ボランティア事業団
      事務局長   大谷憲史

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