本来事業と収益事業の区別 投稿者:
百野 投稿日:2001/05/07(Mon) 16:13:00
No.356
本来事業と収益事業の区別についてご質問します。
NPOの活動をする上で、関係各所から、
「収益活動をしているときは、資料を提出してください」と言われます。
定款には本来事業としての活動のみ謳ってありますが、活動規模が少しずつ大きくなり、
1年に何千万円規模の運営になった現在、本来事業で続けるべきかわからなくなりました。
例えば、NPOで風呂屋を運営した場合、目的はコミュニティ施設で人々の心が豊かに
なるようにとの願いで活動しておりますが、
1回の入浴料500円をご利用される方から頂き、そのお金が施設の運転資金になります。
ほとんど費用でなくなり、職員の給与も十分なものではありませんが、
運営する総額が大きいだけに、法人の本来の目的である本来事業として続けられるのか、
法律上認められているのか、
本来事業と収益事業の区別する基準で悩むようになりました。
どうかご指導いただけますよう、お願い申し上げます。
Re: 本来事業と収益事業の区別 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2001/05/09(Wed) 13:36:00
No.357
百野さん、
ご投稿ありがとうございます。
百野さんのNPOは、すでに法人化されているのだと思われますが、その法人の定款に
「目的」や「特定非営利活動にかかる事業」「収益を目的とする事業」がどのように記
載されているかを、まずはしっかりとご確認されることをおすすめします。
その中で、例えばですが、風呂屋が、「特定非営利活動に係る事業」とされているかど
うかが、まずポイントです。
文面からすると、百野さんのNPO法人は、風呂屋を法人の本来の目的である「特定非
営利活動に係る事業」として運営してらっしゃるのだと思われますので、ここではそれ
を前提にお答えいたします。
百野さんは、「規模が大きくなってきたので、本来事業ではなく収益事業とすべきでは
ないか」と悩んでおられるようですが、NPO法上では本来の目的である特定非営利活
動の規模に制限はありません。
また、利用料を取る取らないとか、利益が上がる上がらないによってよって、「特定非
営利活動に係る事業」か、「収益事業」かを、分けなければならないというものではあ
りません。
特定非営利活動である限り、風呂屋の事業規模が大きくなったからといって、それを理
由に収益事業に変更する必要もありません。
「特定非営利活動に係る事業」は、法人の目的を達成するために行われる事業であれば
よく、違法な事業でないなどの条件を満たせば、どんな事業でも可能です。
風呂屋でも、コミュニティのふれあいの場の一貫として行い、法人の目的がコミュニテ
ィの構築にあるような場合は、立派な「特定非営利活動に係る事業」です。
ただし、「収益事業」については、NPO法人の場合は混乱が生じがちなので、念のた
めに、以下、法人税法上での収益事業とNPO法上の収益事業を簡単に整理しておきま
す。
NPO法上では、法人の目的(特定非営利活動)を達成するために行う事業を「特定非
営利活動に係る事業」とし、目的を達成するためではないが、目的達成のための資金を
稼ぐための事業を「収益事業」としています。
一方、法人税法上では、NPO法人の目的などに係わらず、税法上33の限定された事
業を行えば、自動的に「収益事業」となり、その利益に課税されます。利益が出るかど
うかは、基本的には関係ありません。
この場合は、「収益事業」とするかどうかの判断は、法律で自動的に行われるので、法
人側で判断する必要はありません。
このように、「収益事業」といっても、NPO法と税法上は違う意味であることに注意
する必要があります。
風呂屋の例でいいますと、法人の目的を達成するために「特定非営利活動に係る事業」
としておこなっていても、税法上課税対象となる33の業種には「浴場業」は含まれて
いますので、法人税法上は「収益事業」となるわけです。
そこで、所轄庁への報告を出す場合には、NPO法に則って報告を出しますから、風呂
屋の事業は、「特定非営利活動に係る事業」として区分して報告します。一方、税務署
や自治体の税事務所に報告や申告する場合には、「収益事業」として扱う必要があると
いう切り分けをしなければなりません。
『NPOの活動をする上で、関係各所から、「収益活動をしているときは、資料を提出
してください」と言われます。』とのことですが、この関係各所が、NPO法に関連し
て言っているのか、税法に関係して言っているのかをご確認ください。
規模によって悩む必要はないということをご理解ください。
では、またご質問がありましたらお寄せください。
シーズ事務局・松原 明/轟木 洋子