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法人の定款について 投稿者:みゆき 投稿日:2004/08/05(Thu) 14:33:00 No.3726
お尋ねしたいのですが、Aという既に運営されているNPO法人が、Bというこれから設立しようとしている
ところに定款や設立趣旨に至るまで、ありとあらゆる提出書類を全て貸し出し、
最近、BはAの書類を全て丸写しで作成し提出しました。(日付・数字・役員、社員名以外全て)
現在、Bは認証待ちの状態です。
こんなことが通るのでしょうか?勿論、たくさんの申請があるわけですから、ひとつひとつ中身までは
チェックされることはないでしょうが、当然のごとく認証されたところの丸写しですので、
Bの書類に不備はありませんでした。このまま認証されるものと思われますが、
これから自分たちが活動しようとしていく中で、自分たちの趣旨なるものが何もなく
ただただ、法人を立ち上げて事業をしたいと考えている、法人があっていいものか疑問です。

認証されればこっちのもの!は、どう考えても許せないのですが・・・
そんなNPO法人がこれから生まれようとしているので、これをどうにか阻止したいと
考えています。行政に実情を話して通るものでしょうか?

尚、AとBの定款・設立趣旨 その他書類の写しはもっています。
Re: 法人の定款について 投稿者:Sammy 投稿日:2004/08/05(Thu) 17:10:00 No.3727
定款はともかくとしても、設立趣旨については、その法人の著作物として考えられる
可能性はあるように思えます。設立趣旨まで丸写しなら著作権侵害にあたるかもしれ
ません。

質問された内容をそのまま、県の担当部署にご相談されてはいかがでしょうか?
Re: 法人の定款について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/08/09(Mon) 13:50:00 No.3728
みゆきさん、

NPO法人を設立する際、認証のための書類を所轄庁に提出してから2ヶ月間、
定款や設立趣旨書、設立総会(発起人会)議事録、役員名簿、事業計画書など
の申請書類は「縦覧」に供されます。つまり、誰でもその書類を所轄庁に行っ
たりして閲覧することができます。(所轄庁によっては、ホームページに掲載
しているところもあります)

この「縦覧」の期間中に、この法人の認証に何か疑問があるとすれば、誰でも
それを所轄庁に言うことができるということです。もちろん、法的に問題がな
ければ、申し立てても認証されますが、もし、みゆきさんが心配されておられ
る団体が、本当は設立総会を開催していないのに、あたかも開催したかのよう
な議事録を作っていたりして、それが証明されれば、偽造文書ということにな
ります。設立趣旨書がまったく同じ、というのもおかしなことですから、それ
についても所轄庁はその団体に問い合わせなどをするのではないかと思います。

シーズ・轟木 洋子
Re: 法人の定款について 投稿者:みゆき 投稿日:2004/08/10(Tue) 00:15:00 No.3729
設立総会に関してですが、総会直後に問題が発生し理事が数名降りました。
そのため、総会じたいが取りやめの形となったのですが、残りの理事だけで
設立総会をしたことにし、議事録を偽造して、元々いた(やめた)理事数名の名前を
書類から一切を削除し、残った理事たちであたかも設立しようとしたことにし、
翌々日には何事もなかったかのような顔をして、提出に至りました。

何が何でも月内提出にこだわった代表理事の意向です。

そして、設立趣旨に至るまで全て他団体の丸写しで、一字一句違いがありません。

このことを、所轄庁に話しました結果、
確認して検討します!という返答でした。
ただ、書類自体に不備がないのなら認証されるでしょう。と。
他団体の丸写しなら、事業計画や報告書に今後いろいろと問題も出てくるでしょうから
そんな団体は、何かしらボロが出てくるはずですから・・・
と、なんともまぁのんきな返事でした。

ちょっと驚きです。

ここで質問なのですが、認証されない団体もあるそうですが、そのような団体とは
どういった団体なのでしょう?
受理されて許可が出ないわけですから、何か基準があるのでしょうか?
Re: 法人の定款について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/08/17(Tue) 10:14:00 No.3730
みゆきさん、

認証されない団体は、NPO法に定める認証のための要件を満たしていない法人です。
1998年12月1日から今年6月末までに認証された法人は17,424法人ですが、不認
証となった団体は86団体とわずかです。不認証の理由としては、たとえば、定款のなか
に矛盾があったなど、書類の不備による不認証などがほとんどです。(ただし、不認証
の理由は該当の団体には知らされますが、公表はされませんので、明確なデータはあり
ません)

NPO法では、設立にあたっては所轄庁の「認証」を必要とすることになっていますが、
これは「許可」でも、いわゆるお上の「お墨付き」でもなく、NPO法の要件を満たし
ていることを所轄庁が認めたという意味でしかありません。

しかし、お尋ねの件は多くの方が関心を持たれる点だと思い、シーズの運営委員で弁護
士の浅野晋さんに聞いてみました。

なお、私が最初にお答えした時に、不用意に「偽造文書」という言葉を使ってしまいま
したが、この「偽造」という言葉については、浅野さんから次のような解説をいただい
ています。

「法律用語としての文書の「偽造」というのは、作成権限を有しない者が、他人の名義
を冒用して、文書を作成することをいいます。(但し、これは最狭義の「偽造」の概念
で、刑法上の各種の文書偽造罪(公文書偽造罪、私文書偽造罪など)における偽造の概
念です。)」

これに続いて、以下のような回答をいただきましたので、ご参考ください。

-------------------------------------

「1、従って、Bの設立発起人がA法人の定款や設立趣旨書の内容を丸写しして作成した
としても、それは偽造ではなく、単に丸写しをしたというだけのことであって、違法な
行為ではありません。

2、そもそも、設立趣旨が全く同じで、かつ全く同じ内容の定款を持つ法人というのが
あっても少しも差し支えありませんし、NPO法はこれを禁じてもいません。
Bの設立発起人が、A法人の設立関係の書類を丸写ししてBの設立関係書類を作成す
ること自体は、何ら問題がないことです。
(もちろん、それは余りに「お粗末」だとの批判は可能ですが、設立が適法か違法かと
いう観点からすると「適法」ですし、「お粗末」なことをするかどうかは当事者の自由
ということになります。)

3、しかし、質問によると「設立総会が取りやめの形になったのに、残りの理事だけで
設立総会をしたことにして議事録を作った」とのことですので、この点は法的に問題に
なり得ます。
すなわち、Bという団体の設立には、その発起人らによって設立総会を開催し、「B
という団体を設立する」旨の意思決定が必要です。このような意思決定があったことを
証明する書類が「設立総会の議事録」ですから、このような意思決定がないにもかかわ
らずその旨の議事録を作ったとしたら(但し、上述したようにこれは「偽造」ではあり
ません)、それは虚偽の内容の議事録ということになります。
従って、そのような議事録の謄本を添付して設立申請した場合、「設立の手続」が法
令の規定に適合していないとして、NPO法第12条1項一号に基づき不認証とされる
可能性があります。

4、ただ、実際問題としては、本当に設立総会を行ったかどうかとか、提出された議事
録謄本に記載されたとおりの議事がなされたかどうか、所轄庁にはわかりません。また
所轄庁には、このようなことを調査する権限もありません。
 従って、所轄庁としては、何らかのの事情によって、提出された議事録が、実際には
設立総会もしていないのに「設立についての意志決定を証する」内容虚偽の議事録であ
ることが判明した場合はともかくとして、提出された議事録の記載をそのまま信用して
認証、不認証の決定をすることになります。

5、なお、質問の案件では、
 (1)設立総会は行われた、
  (2)その後問題が発生したため、理事(というか発起人ですね)のうち何人かが抜けた、
 (3)その後、残った理事(発起人)だけで設立の意志決定があったようにして議事録を作った、
ということですから、少なくとも残った理事(発起人)間では、設立についての意思決定
があったと解されますので、その議事録が直ちに虚偽の内容のものであるとは決めつけ
られないように思います。

6、この質問をされたみゆきさんには、このようないいかげんなことをして設立の認証
を受けることは許せないとのお気持ちがあるようですが、この問題は、NPO法人を含
め「法人格」を取得するということが、社会にとってどのような意味を持つのかという
視点から考える必要があります。
「法人格」というのは、団体が権利義務の主体となる地位のことであり、当該団体が社
会的活動をするための道具です。従って、この道具を使って有益な活動をする団体もあ
れば、悪用する団体もあるわけです。
NPO法人というだけで、その法人が有益な活動をする団体とは限りません。NPO法
人の名前を利用して営利活動や不法な行為をする者も少なくないと思われます。
これは法人制度の「病理現象」ですが、この病理現象を法人設立という入り口のところ
で阻止することは、一般的には不可能ですし、またそうすべきではないように思われま
す。

-----------------------
以上、ご参考になれば幸いです。

シーズ・轟木 洋子

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