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情報公開 投稿者:はい 投稿日:2004/09/21(Tue) 15:20:00 No.3872
情報公開請求はどのような手続きで来るのでしょうか?またその時の対処方法はどうすればよいでしょうか
例えば理事会の議事録等は
Re: 情報公開 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/09/29(Wed) 18:03:00 No.3873
はいさん、

お尋ねは、NPO法人が事業報告書などの閲覧を求められた時の対処方法、
ということでしょうか。

NPO法人の情報の閲覧については、NPO法第28条第2項にその定めがあり
ます。
NPO法人は、社員、その他の利害関係人から情報提供を求められた際には、
情報を閲覧しますが、その閲覧対象となる書類は、次のものです。

・前事業年度の事業報告書
・財産目録
・貸借対照表
・収支計算書
・役員名簿(前事業年度において役員であったことがある者全員の氏名と住所または居所)
・社員のうち10人以上の者の名簿(氏名、住所または居所)
・定款
・認証書の写し
・登記簿謄本の写し

ご覧になってお分かりになるように、閲覧対象の書類のなかには、理事会の議
事録は含まれていません。法人で特に何か定めている場合以外には、理事会の
議事録を閲覧させる義務はありません。

ちなみに、所轄庁においても、上記のうち登記簿謄本以外は、一般から閲覧の
請求があった場合には閲覧させます。

NPO法人への閲覧の「請求の手続き」については、特に定まったものはない
のですが、いくつかのポイントについて、シーズの運営委員で弁護士の浅野さ
んに以下のように教えていただきましたので、ご参考になさってください。

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(1)法人側で「閲覧請求の手続き規定」のようなものを作り、これにしたがってもらう可能か?

 特定非営利活動促進法第28条2項には、確かに「……これを閲覧させなければ
ならない。」とありますが、その前に「正当な理由がある場合を除いて」との留
保がなされております。
 この「正当な理由」の中には、当該NPO法人の事務上の都合も当然含まれます。
閲覧させる際には、その場所を確保しなければなりませんし、また書類の持ち去りや
改変、毀損等を防ぐために、職員の立ち会いを必要とする場合もあります。また、事
務所の勤務時間もありますし、繁忙のときに長時間費やされるのも事務の阻塞を生じ
ます。
 従って、合理的な範囲で、事務上の都合をも考慮して閲覧の方法等について一定の
規制をすることは、上記の「正当な理由」に含まれると解することが出来ます。
 従って、これを予め「閲覧請求の手続き規定」の形で作っておくことも差し支えあ
りません。
「突然事務所にきて口頭で『見たい』という人」に対しては、それが事務処理上困る
のであればその旨説明をし、その後の適当な日を決めて再度来てもらうことにすれば
何らの問題もありません。

(2)その他、閲覧請求への対応において注意しておいた方が良い点について
「閲覧」には「写の交付請求」は含まれません。(最高裁平成7年2月24日判決、
最高裁民事判例集49巻2号517頁)
 従って、「コピーを下さい」といわれても、それを断わることは差し支えありません。

 なお、特定非営利活動促進法第28条2項では、閲覧請求が出来るのは「社員その他
の利害関係人」となっていますが、この「利害関係人」が誰を指すのかについては明文
がありません。
 これを広く解すると際限がなくなりますので、この「利害関係人」というのは、当該
NPO法人に何らかの法律上の利害関係を有する者であり、事実上の利害関係を有する
者は含まないと解されます。
従って、例えば当該NPO法人に対し債権を有する者は法律上の利害関係があります
からここでいう「利害関係人」に当たりますが、当該NPO法人と競合関係にある他の
法人等は単に事実上の利害関係を有するだけですので、ここにいう「利害関係人」とは
ならず閲覧請求は出来ません。
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以上です。

シーズ・轟木 洋子
Re: 情報公開 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2004/09/30(Thu) 11:08:00 No.3874
はいさん、轟木さん

いくつか、別の観点から付け加えたいと思います。

> ご覧になってお分かりになるように、閲覧対象の書類のなかには、理事会の議
> 事録は含まれていません。法人で特に何か定めている場合以外には、理事会の
> 議事録を閲覧させる義務はありません。

義務はありませんが、積極的に開示することを禁止するものでもありません。

> (2)その他、閲覧請求への対応において注意しておいた方が良い点について
> 「閲覧」には「写の交付請求」は含まれません。(最高裁平成7年2月24日判決、
> 最高裁民事判例集49巻2号517頁)
>  従って、「コピーを下さい」といわれても、それを断わることは差し支えありません。

法律的には確かにそうですが、書写までは禁止できませんし、所轄庁に情報公開
請求を行えばコピーを入手することもできます。ということは、コピーを拒否するこ
とは単なるいやがらせに過ぎません。平成7年の最高裁判例に対してはこの二つ
の観点から市民オンブズマンは厳しく批判しています。もちろんコピー実費を請求
するのは構いません。

>  なお、特定非営利活動促進法第28条2項では、閲覧請求が出来るのは「社員その他
> の利害関係人」となっていますが、この「利害関係人」が誰を指すのかについては明文
> がありません。
>  これを広く解すると際限がなくなりますので、この「利害関係人」というのは、当該
> NPO法人に何らかの法律上の利害関係を有する者であり、事実上の利害関係を有する
> 者は含まないと解されます。
> 従って、例えば当該NPO法人に対し債権を有する者は法律上の利害関係があります
> からここでいう「利害関係人」に当たりますが、当該NPO法人と競合関係にある他の
> 法人等は単に事実上の利害関係を有するだけですので、ここにいう「利害関係人」とは
> ならず閲覧請求は出来ません。

これも法律的にはその通りなのですが、所轄庁に行けば誰でも閲覧できますし、
情報公開請求をすればコピーも入手できるわけですから、相手に悪意が認めら
れず事務的にも支障がなければ積極的に情報公開するべきであると考えます。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 情報公開 投稿者:ぱいん 投稿日:2005/05/15(Sun) 13:52:00 No.3875
シーズ・轟木 洋子さま
> ちなみに、所轄庁においても、上記のうち登記簿謄本以外は、一般から閲覧の
> 請求があった場合には閲覧させます。

所轄庁では登記簿謄本の公開請求があった場合は開示しています。
登記簿に記載された事項は、法律上「公示のための情報」であり、
「提出されたときの登記簿の謄本」でしかないと了承されるなら、
登記簿謄本に記載された情報については不開示理由がないためです。

ただし、提出された住民票の写しや外国人登録済証明書は当然不開示にしています。

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