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職員として働く役員の給与と賞与について 投稿者:るーさん 投稿日:2004/12/06(Mon) 23:20:00 No.4177
理事が法人職員として勤務する場合、役員報酬は無しでも、給与としてもらえる
とは聞きましたが、その給与は、固定額で無いといけないのでしょうか?
残業代や役職手当(理事としてではなく、いわゆる部長、課長など)をつけることは
役員報酬と見なされるのでしょうか?
また、賞与の支給や、中小企業退職金共済などへの加入はできるのでしょうか?
理事は良いが理事長はダメとかいうものもあるのでしょうか?
監事はいずれもダメでしょうか?
Re: 職員として働く役員の給与と賞与について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/12/07(Tue) 15:28:00 No.4178
るーさん、

理事としての報酬と、職員としての報酬は分けて考えます。
NPO法第2条には「社員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下で
あること」という規定がありますが、この規定でいう「報酬」とは役員としての報酬
のことです。

理事であっても、職員としても雇用されて実際に業務を行っているのなら、その職員
としての報酬を受けることには何も問題がありませんし、上記の「三分の一」に含め
る必要もありません。

その職員としての報酬が固定給であるのか、あるいは時間給であるのか、には何も制
限がありません。残業をすれば残業代をつけることにも、部長などの役職がつけばそ
の手当てをつけることにも問題はありません。一般の企業などと同様に労働基準法を
遵守することは求められます。

賞与の支給についても、「利益が出たから出す」のではなく、年間の総支給額の一部
を賞与という形で支払うように予めしている場合や、もともとの給与が一般的にみて
も低いために賞与分で調整する、などという場合には問題ありません。ただし、「利
益が出たので、職員で賞与という形で分配する」というのは「非営利」という概念に
反しますからご注意ください。

なお、中小企業退職金共済についてですが、ホームページに「役員であっても、部長
・支店長等従業員として賃金・給与等の支給を受けている場合は加入できます」とあ
ったので、問い合わせてみました。その回答は、次のようなものでした。

「役員であっても、雇用されて働いている場合には、加入可能です。その判断は、そ
の役員が雇用保険に入っているか否かを基準としています」

よって、理事であっても、雇用関係にあり、雇用保険に加入していれば、中小企業退
職金共済への加入も可能ということです。

理事の労働保険については、シーズの次のページをご参照ください。
⇒ 理事が職員を兼ねています。その理事も労働保険や社会保険の被保険者になれますか?

上記のHPにも書いていますが、理事長の場合には難しいと思います。

なお、監事については、NPO法第19条に次のような規定があります。
「監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない」

よって、理事を兼職して理事の報酬を受けることも、職員として雇用されて報酬も受
けることもできません。ただし、監事の仕事をして、その監事の仕事への報酬を支払
うことは問題ありません。この監事に対してその仕事に報酬を支払う場合は、上述し
た「役員総数の三分の一」の中に含まれます。

シーズ・轟木 洋子
Re: 職員として働く役員の給与と賞与について 投稿者:る~さん 投稿日:2004/12/07(Tue) 16:55:00 No.4179
轟木 様

早速、詳しい回答を頂き、ありがとうございました。
兼職理事長の給与と雇用契約について 投稿者:るーさん 投稿日:2004/12/08(Wed) 01:29:00 No.4180
轟木様

ひとつ確認です。
理事が兼職して給与をもらえることはわかりましたが、
理事長も同様に可能なのでしょうか?

可能な場合、理事長はどのような雇用契約を交わすのでしょうか?
Re: 兼職理事長の給与と雇用契約について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2004/12/10(Fri) 15:56:00 No.4181
るーさん、

理事長で職員を兼ねることも可能で、実際にそういう例はあります。

そういう場合の雇用契約書ですが、東京労働基準局本局にも聞いてみたところ、ずっと
考え込んでいらっしゃいました。しかし、次の2つの方法を聞くことができました。

1.雇用者、労働者とも、理事長本人の名前で雇用契約書を作成する
2.理事会に「労務担当理事」を置き、その労務担当理事が雇用者、実際に職員となる
理事長が労働者として、雇用契約書を作成する

なお、上記のうちでは「2」の方がお勧めのようです。

ただし、雇用契約書を結んでいたとしても、前の回答にも書きましたように(「よくあ
る質問」にも書いていますが)、理事長の場合には雇用保険に入るのは困難だと思いま
す。

シーズ・轟木 洋子

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