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その他の事業を別法人に移行 投稿者:naka 投稿日:2005/01/25(Tue) 17:20:00 No.4290
現在、障害者支援を主な活動目的としている
NPO法人を運営しています。
その他の事業(収益事業)としてヘルパー派遣と
ディサービスを行っています。
今般その部門を新規に有限を設立し移行する計画があります。
有限代表にはNPO法人の理事が就任し、
資本は全て個人が賄う予定です。

NPO法人が有する施設の一部(ディサービス用)を有限に賃貸し
有限はそれまでの登録ヘルパー、ディサービス職員を
再雇用し運営していきます。

この場合NPO法上何か問題になる部分はあるのでしょうか?

又現在認識しているデメリットは、
1.地方税、法人所得税が結果的に増える。
2.NPOの収益が激減する。(赤字決算にはなりません)

メリットは、
1.NPO法人の代表が障害当事者であり年収のほぼ全てを年金で賄っている
非納税者である。そのために金融機関等の責任、保証能力の審査で
問題があった部分を改善できる。
2.税務処理が明確になる。

他にメリット、デメリット、それぞれお気づきの点があれば、
ご教示お願いします。
Re: その他の事業を別法人に移行 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/01/25(Tue) 18:06:00 No.4291
nakaさん

いくつかわからないことがあります。

> 現在、障害者支援を主な活動目的としているNPO法人を運営
> しています。その他の事業(収益事業)としてヘルパー派遣と
> ディサービスを行っています。

まずここです。ヘルパー派遣とディサービスは確かに法人税法
上は収益事業として課税されますが、NPO法上は「その他の
事業」ではなく特定非営利活動です。

> 今般その部門を新規に有限を設立し移行する計画がありま
> す。有限代表にはNPO法人の理事が就任し、資本は全て個
> 人が賄う予定です。NPO法人が有する施設の一部(ディサー
> ビス用)を有限に賃貸し有限はそれまでの登録ヘルパー、
> ディサービス職員を再雇用し運営していきます。

法律上は可能ですがどうしてそうする必要があるのか、わかり
ません。メリット・デメリットということで後述します。

> 又現在認識しているデメリットは、
> 1.地方税、法人所得税が結果的に増える。

そうでしょうか。事業内容が現在と同じであれば税負担も現在
と同じです。有限会社の方が税金が高いということはありませ
ん。法人住民税均等割も収益事業部分を切り離せばNPO法
人の方は免除になるはずです。

> 2.NPOの収益が激減する。(赤字決算にはなりません)

赤字にならないのであれば特に大きなデメリットではないでしょう。

> メリットは、
> 1.NPO法人の代表が障害当事者であり年収のほぼ全てを年
> 金で賄っている非納税者である。そのために金融機関等の
> 責任、保証能力の審査で問題があった部分を改善できる。

これもわかりません。代表者が年金生活者だから信用がない
というのであれば、それはNPO法人であろうと有限会社で
あろうと同じことです。

> 2.税務処理が明確になる。

そうでしょうか。法人が二つになる分、かえって面倒なことに
なりませんか。いずれにせよ法人税の申告書は作成しなけ
ればならないわけですし、決算作業等は倍になります。法人
間取引があったりしたら倍以上になります。

> 他にメリット、デメリット、それぞれお気づきの点があれば、
> ご教示お願いします。

課税事業しかやらないのだから全面的に有限会社に移行する
というのであればわからないこともありませんが、引き続き
NPO法人も活動するというのであれば、あえて法人を二つ
にしなければいけないという理由がどうしてもわかりません。

            公認会計士・赤塚和俊
Re: その他の事業を別法人に移行 投稿者:naka 投稿日:2005/01/25(Tue) 23:45:00 No.4292
早速の返信ありがとうございます。

> いくつかわからないことがあります。
> まずここです。ヘルパー派遣とディサービスは確かに法人税法
> 上は収益事業として課税されますが、NPO法上は「その他の
> 事業」ではなく特定非営利活動です。

すいません。下書きの際は収益事業と記載していたのですが、
直前にNPO法改正のFAQ を読み、収益事業→その他の事業と
記載するほうが適切なのかな?との安易な判断で変更しました。
収益事業の意味です。

> > 又現在認識しているデメリットは、
> > 1.地方税、法人所得税が結果的に増える。
>
> そうでしょうか。事業内容が現在と同じであれば税負担も現在
> と同じです。有限会社の方が税金が高いということはありませ
> ん。法人住民税均等割も収益事業部分を切り離せばNPO法
> 人の方は免除になるはずです。

言葉足らずでした。
例えば有限の売上が100万あったとします。
当然そこから地方税、法人所得税を支払います。
又同時に賃貸借契約の賃料を有限からNPO に支払います。
NPO では賃料は所得となるわけですから、
そこで新たに所得税が発生しますよね?
全体とすれば、同じ100万の売上であっても税額は増える。
そんな意味で記載しました。


> > メリットは、
> > 1.NPO法人の代表が障害当事者であり年収のほぼ全てを年
> > 金で賄っている非納税者である。そのために金融機関等の
> > 責任、保証能力の審査で問題があった部分を改善できる。

> これもわかりません。代表者が年金生活者だから信用がない
> というのであれば、それはNPO法人であろうと有限会社で
> あろうと同じことです。

有限の代表にはNPO の代表とは別の理事(健常者)が就任予定です。

NPO の代表は役員報酬も受けていませんし、
非常勤の職員として、僅かな給与を受けているだけです。
NPO の経済状態からすれば充分役員報酬も、
常勤職員としての報酬も支払う事は可能です。
しかし障害者であるがゆえ、所得が一定の金額を越えると
医療費の免除等を受ける事が出来なくなります。
その金額も含んだ所得にするには実質無理な部分もあり
現状では所得を押さえている状態です。

実際収益事業での融資や契約でも代表者が保証人になるケースは多く、
所得の面から他に連帯保証人を求められる事が多いです。


> > 2.税務処理が明確になる。
>
> そうでしょうか。法人が二つになる分、かえって面倒なことに
> なりませんか。いずれにせよ法人税の申告書は作成しなけ
> ればならないわけですし、決算作業等は倍になります。法人
> 間取引があったりしたら倍以上になります。

日々の経理作業は、収益事業に関するものがほとんどです。
全体で考えれば確かに作業は増えますが、
決して2倍には、なりません。


> 課税事業しかやらないのだから全面的に有限会社に移行する
> というのであればわからないこともありませんが、引き続き
> NPO法人も活動するというのであれば、あえて法人を二つ
> にしなければいけないという理由がどうしてもわかりません。

代表者としての責任部分が一番大きな要素です。
おかげさまで介護事業(収益事業)は安定し、
年々利用者も増えています。
それに伴い代表としての業務も多くなっています。
健常者であれば簡単にこなせる仕事量であっても、
障害当事者であれば困難な事もあります。
仮に全てをこなせても所得面で社会的には、
代表者としての責任を負えないと判断される場合もあります。

当NPO 法人として一番重要視している障害当事者の声を直接聞き、
その声を反映させるための活動に専念させたい想いがあります。
収益事業の多忙が原因で、段々時間が取れなくなっている現状です。
もちろん有限にもその声は直接反映させて行くのは当然ですが。

もし他に良い方法があれば、変更する余裕は持ち得ております。
現在は別法人設立、収益部門の移行を念頭に、
色々と調べている段階ですので、引き続きご教示お願い致します。
Re: その他の事業を別法人に移行 投稿者:公認会計士・岩永清滋 投稿日:2005/01/28(Fri) 10:21:00 No.4293
がある記事なので、横から意見を言わせてもらいます。
 私もあえて別法人にする必要性はないのではないかと思います。

 最大のデメリットは別法人にすると一体とした運営ができなくなるからです。同じ法人
であれば、介護事業の剰余を他の(赤字傾向の)事業に充当することは自由です。しかし
別法人であればそれは不可能になります。多くの支援費事業者が、支援費で得た剰余を
他の支援費の枠組みではできない独自事業にまわしています。実は支援費をNPOが
行う最大の理由です。今後有限会社とNPOが実際には話し合って一体として運営してい
くとしても、法律上は全く別人格となり手続的にもややこしくなります。
 
 代表者の信用の問題とおっしゃいますが、金融機関などの信用が少ないのは障害者だから
ではなく、所得が少ないからです。仮にNPOから他の健常者がもらう程度の合理的な
給与をとれば、確かに生活保護は打ち切られるでしょう。しかし年金や医療費や支援費の
自己負担など、削られる部分はそれぞれ所得限度が違います。NPOから給料をもらう
ということは、障害者の就労とも言えます。他の健常者スタッフと負けないぐらい働いて
おられるのなら、堂々と生保を返上して給料をもらい、所得証明をとって信用を得ていく
という方向性もあるのではないでしょうか。障害者だから給料を多く取れないということ
をあまりに前提にしないで、そこから再度議論をした方がいいのではないでしょうか
Re: その他の事業を別法人に移行 投稿者:naka 投稿日:2005/01/30(Sun) 21:05:00 No.4294
>  代表者の信用の問題とおっしゃいますが、
> 金融機関などの信用が少ないのは障害者だからではなく、
> 所得が少ないからです。

この部分については、先に
> > 仮に全てをこなせても所得面で社会的には、
> > 代表者としての責任を負えないと判断される場合もあります。
と記載しましたので、所得が原因である事は理解しております。


> 仮にNPOから他の健常者がもらう程度の合理的な給与をとれば、
> 確かに生活保護は打ち切られるでしょう。
> しかし年金や医療費や支援費の自己負担など、
> 削られる部分はそれぞれ所得限度が違います。

医療費が一番大きい問題です。
障害者と言っても大きく幅がありますので、
一概に語る事は難しいのが現状でもあります。

> NPOから給料をもらうということは、障害者の就労とも言えます。

これはまさしくその通りであり、就労の場を提供する事も
活動の中で大きな意味を持っています。
次回の総会では、
【十五 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動】を、
定款に追加するよう議題提出する予定です。


> 他の健常者スタッフと負けないぐらい働いておられるのなら、
> 堂々と生保を返上して給料をもらい、所得証明をとって
> 信用を得ていくという方向性もあるのではないでしょうか。

「堂々」って言葉には少し違和感を感じますが、
医療費の問題が解決できるのであれば、当然そのつもりです。
しかし現状では解決できない部分も多々あるのも現状です。

> 障害者だから給料を多く取れないということをあまりに前提にしないで、
> そこから再度議論をした方がいいのではないでしょうか

ん~~~。
正当な対価であれば当然、障害者、健常者って分け方で
給与に違いをつけるつもりは無いです。
又、障害者だから~って部分を前提にしているつもりも無いです。
その辺りについては、板の主旨とは離れてしまうのでこれ以上記載しませんが、
有限設立については、もう少し調べ、話し合ってみます。
ありがとうございました。
Re: その他の事業を別法人に移行 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/01/29(Sat) 11:23:00 No.4295
nakaさん

> 例えば有限の売上が100万あったとします。当然そこから地方税、
> 法人所得税を支払います。又同時に賃貸借契約の賃料を有限か
> らNPO に支払います。NPO では賃料は所得となるわけですから、
> そこで新たに所得税が発生しますよね?全体とすれば、同じ100万
> の売上であっても税額は増える。そんな意味で記載しました。

そんなことはありません。100万の売上に対して事業の経費をA、家
賃をB、家賃分のコストをCとします。法人を分けずに一体として
運営した場合の課税所得は(100万-A-C)です。

これに対して法人を分けた場合の課税所得は、有限が(100万-A-B)、
NPOが(B-C)ですから、トータルの課税所得は同じです。
法人住民税均等割を二重に払う分だけ税負担は増えます。
なお、消費税のことは考慮していません。

以下、所得と信用のことに関しては岩永さんの意見に賛成です。

            公認会計士・赤塚和俊

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