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運転資金 投稿者:さくら 投稿日:2005/03/08(Tue) 00:43:00 No.4425
赤塚先生、よろしくお願いいたします。

私たちは設立三年目のNPOです。
今年度で何とか借入金も返済できそうなのですが、
来年度以降、余剰金を少しでも、ストックしたいと
考えているのですがご意見を頂きたいのです。

本来事業に充当するのは十分承知していますが
例え賃金がなくても、少しでも蓄えて、自転車操業の
忙しさや、不安に備えたいと思っています。 
不安というのは、ミッションがある程度達成された
あかつきには、次のミッションの運転資金が必要である
ことや、次の世代に引き継ぐまでの運転資金等が
不安という意味です。
また借入金をしなくてはなりませんので。

拠点も老朽化してきていること、賃貸であり
大家さんからいつ退去依頼があるかもしれず
そんな際にも備えたい希望があります。

いったん賃金(最低賃金以下の謝金程度ですが)
で支払い、その中から預貯金をするべきか
或いは、修繕積み立て等でストックするべきか
悩んでいます。
また、公明なストックとしては、修繕積立のほかに
どのような費目があるのかもご指南頂ければ幸いです。

この件につきましては、団体全員の考えです。

どうぞよろしくお願いいたします。
Re: 運転資金 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/03/08(Tue) 08:56:00 No.4426
さくらさん

さくらさんのおっしゃることは当然です。NPO法人であっても、
リスクへの備えや将来の新規事業の展開のために、一定の
内部留保は必要です。それでなくても、数カ月分くらいは運転
資金もほしいものです。

その内部留保をどうやって作るかについては二つの側面から
考える必要があります。まず、収支面ですが、最も単純なのは
黒字分をそのまま残すということです。これまで借入金を返し
てきたということは、返済が終わればその分は資金としても
残るはずです。

ご質問からは法人税法上の収益事業をされているのかどうか
わかりませんが、いったん賃金で支払ってから積み立てると
いう理由は経費で計上した上で留保するという趣旨でしょう
か。源泉徴収等を行って本人の所得にした上で任意の寄付と
して改めて法人の収入にするのであればそれでも構いません。

次に貸借対照表の側面です。内部留保というのは貸方概念
ですから、NPO法人の場合は正味財産のことです。しかし、
事業の黒字部分にせよ寄付金にせよ、実質的に資金として
残さなければ意味がありませんね。
預貯金や修繕積み立てとおっしゃっているのはそのことだと
思います。これは借方概念です。貸方の正味財産をどのよう
な資産で保持しているかと考えてもいいです。

積立金という科目は貸方概念で正味財産の内訳で使うことも
ありますから、借方概念で通常の支払資金と区別して積み立
てるときは、「特定預金」という科目の方が適切です。
特定預金の名称は自由につけて構いません。例示すれば「修
繕引当特定預金」、「新事業準備特定預金」、「設備投資引当
特定預金」等々です。経常的な経費の支払いに充てる資金は
特定預金にはしません。

このような特定預金を積むときはたとえば理事会で承認する
といった手続きは必要だと思います。仕訳は単に、
(借方)特定預金/(貸方)現金預金
となります。資金収支であれば、
(借方)特定預金繰入額/(貸方)現金預金
でもいいのですが、これは経費処理とは違います。
この場合は、正味財産増減計算の部で、
(借方)特定預金/(貸方)特定預金増加額
という仕訳も必要になります。正味財産増減計算の部は省略
しても構いません。そのときは貸借対照表に直接特定預金を
計上します。

さくらさんが「修繕積み立て等」と言われているのは、収支
計算上も経費として計上したいという意味でしょうか。そう
であれば、貸方に「積立金」という科目を計上します。
仕訳で示せば、
(借方)修繕積立金繰入額/(貸方)修繕積立金
という具合です。この場合の「積立金」は負債の部になりま
すし、「積立金繰入額」は資金収支ではありませんので、
正味財産増減計算の部に表示します。また、決算上は経費と
しても法人税法上は経費とはなりません。損金不算入です。

            公認会計士・赤塚和俊
Re: 運転資金 投稿者:さくら 投稿日:2005/03/11(Fri) 16:52:00 No.4427
赤塚先生、ありがとうございました。

付け加えてお聞きしたいのですが

>「修繕引当特定預金」、「新事業準備特定預金」、「設備投資引当特定預金」

ですが、常識の範囲、或いは規定等、あるのでしょうか?といいますのは
どの程度の金額まで、それに充当できるのかが知りたいのです。

さしあたっての、希望ですが将来的に場所を換えたいことと、常勤者
を一人置きたいと考えています。

不動産は、都市部では敷金礼金等相当の金額がいりますし
また、常勤者を一人位数年は抱えて、事務局をしっかり確立したい
のです。


それと、他にもうひとつお聞きしたいのですが
いくつか事業を併設して行っているのですが、そのうちのひとつで
行政から委託を受けて実施している事業の場合
予め見積もりに出してある人件費と内部で規定している人件費
に開きがある場合の処理について悩んでいます。

例えば、委託事業では人件費が1時間当たり700円
内部の別の自主事業では人件費が1時間当たり200円ということがあります。
限られた人員で交替で複数の事業を実施しているのですが
委託事業で得た収益も、内部事業で得た収益も、一度一緒にすると
人件費は変わってきます。
そういった使い方は、結局は委託費を他に利用したという
ことになってしまうのでしょうか?
今、書いていて、そう解釈されるのだろうな、と改めて感じましたが・・

委託の仕様書に反するという結果になってしまうのでしょうね。
訳のわからない話で恐縮ですが、ご助言を頂けましたら助かります。

よろしくお願いいたします。
Re: 運転資金 投稿者:ぴぴ 投稿日:2005/03/11(Fri) 17:49:00 No.4428
>例えば、委託事業では人件費が1時間当たり700円
>内部の別の自主事業では人件費が1時間当たり200円ということがあります。
>限られた人員で交替で複数の事業を実施しているのですが
>委託事業で得た収益も、内部事業で得た収益も、一度一緒にすると
>人件費は変わってきます。

団体によって扱いが違うように思いますが、結局職員さんの身体を分割できないし、
あまり気にすることはないように思いますが・・・。

その辺りは柔軟にやっているNPOも多いと思いますけどね。
あんまり参考にならず、すみません。
Re: 運転資金 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/03/12(Sat) 15:35:00 No.4429
さくらさん

> >「修繕引当特定預金」、「新事業準備特定預金」、「設備投資引当特定預金」
>
> ですが、常識の範囲、或いは規定等、あるのでしょうか?といいますのは
> どの程度の金額まで、それに充当できるのかが知りたいのです。

これはその団体の実態に応じてとしかいいようがありません。
つまり実際に1億円の設備投資の予定があれば「設備投資引
当特定預金」が何千万円かあってもおかしくないということです。

問題は計画にどれだけ具体性があるか、見積もり金額には根拠
があるかということになります。しかしこれも結局は理事会や
総会で判断されることであって、客観的な基準があるわけでは
ありません。

ご質問の後段についてですが、私もぴぴさんの書かれているよ
うに、ある程度は柔軟に考えていいのではないかと思います。

            公認会計士・赤塚和俊
Re: 運転資金 投稿者:さくら 投稿日:2005/03/14(Mon) 03:15:00 No.4430
赤塚先生、ぴぴさん、ありがとうございます。

いつも迷うのは、法人代表で最も実働が多い私自身と数名が無償ボラで
あるためです。私自身が実働した分は、一度収入としてから寄付する
以外の処理はないだろうか・・・・・と悩みます。

無償ボラであることに今はこだわりたいのです。

無償ボラでNPOで実働されている方は、たくさんいらっしゃると
思うのですが、そういった場合
外部から委託や助成を受けている事業に従事した場合
団体内でどのように処理されているのでしょうか?

外部、特に行政からの委託等では、見積もりの人件費及び
その事業終了の決算で人件費使途を記載しますが、皆さんは
どのように処理されているのか
ご助言を頂けましたら、たいへん助かります。

赤塚先生、恐縮ですが、専門家のお立場からご助言を頂き
たく思います。よろしくお願いいたします。
Re: 運転資金 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/03/14(Mon) 10:46:00 No.4431
さくらさん

> いつも迷うのは、法人代表で最も実働が多い私自身と数名が無償ボラで
> あるためです。私自身が実働した分は、一度収入としてから寄付する
> 以外の処理はないだろうか・・・・・と悩みます。

無償ボラであれば、確かにそれ以外の方法はないように思います。

> 無償ボラであることに今はこだわりたいのです。

お気持は良くわかりますが。。。

             公認会計士・赤塚和俊
Re: 運転資金 投稿者:さくら 投稿日:2005/03/15(Tue) 00:48:00 No.4432
赤塚先生 ありがとうございました。

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