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理事の責任 投稿者:よしだ 投稿日:2005/03/09(Wed) 16:09:00 No.4442
理事の責任について具体的に想定されることを教えてください。

120、4132などを見ると「理事は、法人が行う活動における過失や事故などに対して、通常期待されている程度の抽象的・一般的注意義務が要求されているのです。このことから、定款に書かれた「目的」内の活動についても、事故が発生した場合には、理事は責任を問われる」とあります。
最近もNPO法人によるグループホームでの虐待事件による利用者の死亡事故などが報道されていますが、理事の具体的な責任はどのように及ぶのでしょう。

定款は、内閣府で出した一般的な定款であり、具体的な責任の規定がない場合
①法人主催の事業への参加者(社員又はボランティア)が怪我をして、損害賠償請求され、裁判で法人が敗訴した場合どうなるのか。法人に資産がない場合は、破産、理事が負担、理事と会員が負担、どの処理されるのか。
②グループホーム事件のように、法人スタッフの虐待事件など過失が明らかなケースで、損害賠償請求され、法人が敗訴した場合どうなるのか。法人に資産がない場合は、破産、理事が負担、理事と会員が負担、どの処理されるのか。
③法人が破産した場合、理事の債務負担は全く生じないのか。
Re: 理事の責任 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/03/11(Fri) 20:18:00 No.4443
よしださん、

お尋ねの件、法律の専門家に聞きますので、少しお待ちください。

シーズ・轟木 洋子
Re: 理事の責任 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/03/20(Sun) 16:19:00 No.4444
よしださん、

シーズの運営委員で弁護士の浅野晋さんから、次のような回答をいただきました。
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1、「法人」というのは、それを構成する社員や、法人の機関である理事とは独立
した人格(法人格=権利義務の主体となる法的資格)を持っています。 従って、
法人が法人として行った行為に基づき生じた権利義務は、全て当該法人に帰属する
というのが原則です。
  従って、通常の場合には、当該法人の行った行為(不作為も含む)の結果生じ
た権利義務は、法人の社員や理事には及びません。

2、しかし、法人の行為は機関である役員が法人を代表して行いますし、また、法
人が行う具体的行為の意思決定に理事が関係します。
 このため、法人の行為によって他に損害が生じた場合に、そのような法人の行
為をすることについて、理事に責任があると解される時には、法人の責任と共に理
事も責任を問われる場合があります。

3、例えば、ご質問の中にあるグループホームでの虐待事件について考えてみると、
そのような虐待が行われていることを知りながら、理事として適切な措置を講じな
かったような場合には、理事個人の責任が問われる場合があり得ます。

4、理事が責任を問われる場合、
   (1)「理事がきちんと職責を果たしていたら損害が生じなかったのに、職務
     怠慢だったため法人によって損害を被ってしまった」ということで、損
     害を被った第3者から当該理事に対して責任を追求する場合
   (2)「理事がきちんと職責を果たしていなかったため、法人が損害を被ってし
     まった」ということで、当該法人からその理事に対して責任を追及する
     場合
 の2つがあります。

 ただ、いずれにせよ、理事がきちんと職責を果たしていれば、理事個人の責任は生
じません。
  しかし、どのような場合に理事としての職席を果たしていたと言えるのかは、事
案毎に具体的事情を考慮して判断するしかありません。

5、ご質問の「法人主催の事業への参加者(社員又はボランティア)が怪我をして、
損害賠償請求され、裁判で法人が敗訴した場合」は、そういった怪我は偶発的に生じ
るものでしょうから、一般的には理事がそれを予見して怪我という結果を回避するこ
とは困難と思われますので、理事がその責任を負わされるということはありません。
(会員=社員も同じです)
 ただ、危険が分かっているのにあえてその事業をしたため、参加者が怪我をしたと
いった場合は、理事の責任が生じる場合があります。(この場合にも、単なる構成員
である会員=社員には責任は生じません)

6、また「法人が破産した場合」のことですが、これも上述したことと同じです。
原則的には、理事個人には何らの責任も生じません。
  しかし、理事の乱脈経営のため当該法人が破産したような場合には、破産管財人
が理事の責任を追求することはあり得ます。 

7、「法人」という仕組みは、それを構成する社員や役員とは別の権利義務の主体を
作ることによって、社員や役員の責任を軽減し、法人の活動に参加しやすくするとい
う側面を持っています。
 従って、あくまでも法人の責任は社員や役員には及ばないというのが原則であり、
役員がその職責をきちんと果たしていないときに限って、例外的にその役員の責任が
問われることがあるという風に理解してください。
 そして、役員の責任が問われるときも、法人を構成する社員(会員)の責任は問わ
れることはありません。
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以上、参考になさってください。

シーズ・轟木 洋子

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