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言葉のあや 投稿者:あややん 投稿日:2005/03/14(Mon) 18:05:00 No.4463
くだらないことかもしれませんが、定款の例で報酬等の項目に「役員には、その職務を執行するために要した費用を『弁償』することができる」ってありますけど、なぜ、「弁償」という言葉を使うのでしょうか?この言葉に何の意味があるのでしょうか?
別に悪いことをしているワケじゃないのに、『補填』とかそういう言葉は使えないのでしょうか?
Re: 言葉のあや 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/03/16(Wed) 16:01:00 No.4464
あややんさん、

確かに、法令などに出てくる用語というのは、なかなか難しいものです。
定款を法令用語で書かなければならないという決まりはないのですが、法令に準ずる
ものということで、法令用語で書くのが慣習となっているようです。

シーズの事務所には、法令用語の辞典が何冊かありますので、それらに書かれている
などをご紹介します。

さて、なぜ法令用語が、こうした日常的に使いなれない言葉で書かれているかですが、
学陽書房の法令用語辞典では「はしがき」に佐藤達夫氏が次のように説明しています。
ご参考ください。

「法令がわれわれの日常生活に使いなれたことばのみでつづられていて、特別の法令
用語などは必要でないということが理想であろう。しかし、他面、法令は複雑な権利
義務の関係をあらわすものであるから、その用語は、できるだけ厳密・正確なものと
ならざるを得ない。(中略)表現の正確を期するために、用語上の一定の約束に従っ
て、ことばの特別な使い分けをすることも特に必要となってくる。たとえば、給与の
『降給』と『減給』、予算の『移用』と『流用』というようなことばは、一般にはそ
れほど区別のあるものとは考えられないであろうが、法令上は、それぞれいくらずつ
異なった内容をあらわすものとされているし、また『推定する』と『みなす』、『又
は』と『若しくは』というようなことばも、法令用語として用いられるときは、一定
の約束に従って、厳重に使い分けられているのである。」

なお、同辞典によれば、「弁償」とは次の意味です。

「費用又は損害を償うために金銭を支払うことをいう。法令上においては、大体にお
いて2つの場合に用いられる。
 その1つは、職務を行ううえなどに要した費用を償うために金銭を支払うという場
合で、通例、『費用の弁償』、『実費の弁償』などと用いられる。
 その2は、国、公共団体等において金銭、物品の出納保管その他経理事務に従事す
る職員が、その責任を怠ってその保管に係る金銭、物品等を亡失き損し、又は故意若
しくは重大な過失により、法令に違反して予算をし移出したこと等により、その職員
の勤務する国、公共団体等に損害を与えたときに、その損害を償わせる場合である。
(略)」

あややんさんの定款に書かれている「弁償」は、上記の「1」の方の意味で使われて
います。

なお、「補填」という言葉は、どの法律用語の辞典にも存在していませんでした。
ただし、広辞苑によれば、補填とは「不足をうずめおぎなうこと」という解説があり
ましたから、あややんさんの定款には、この意味ではぴったりしないと思います。
やはり、弁償という言葉になると思われます。

シーズ・轟木 洋子

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