NPO法人には営業権は認められますか? 投稿者:
はる 投稿日:2005/04/01(Fri) 20:02:00
No.4576
現在任意団体(保育所)からNPO法人に移行している最中ですが借りている土地建物が競売にかかってしまいました。もし新しいオーナーが決まり現在の場所を退去命令で出なければならなくなったとき我々は営業権を主張し相等の対価をうけとることができるのでしょうか?
任意団体の時には市、都からの助成金と親からの保育料で成り立っていました。また4月中旬には諸手続きが完了しNPO法人になる予定です
Re: NPO法人には営業権は認められますか? 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/04/07(Thu) 13:42:00
No.4577
はるさん、
お訪ねの件、シーズの運営委員で弁護士の浅野晋さんに聞いてみましたところ、次の
ようなお返事をいただいています。
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1、権利と権利がぶつかり合うとき、どちらの権利が優位に立つかということ
が問題になります。
2、本件は、土地建物を競売により取得した人の「所有権」と、そこを賃借し
ている人(団体)の「賃借権」という二つの権利が対立する場合です。
この場合どちらの権利が優位に立つかは、場合によって異なります。
(1)当該の土地建物に設定されている(根)抵当権の設定登記日より以前に建物
を賃借している場合
→賃借権の方が優位に立ちます(つまり、競売により建物所有権を取得した人に
対し、賃借権の存続を主張できます。これを法律用語では、「賃借人が競落人に
対抗できる」と言ったりします。)
(2)当該の土地建物に設定されている(根)抵当権の設定登記日より以後に建物を
賃借した場合
→競落人の所有権の方が優位に立ちます。従って、賃借人は競落人に対し賃貸借
契約の存在を主張できませんので、競落人から明渡を求められたら、明け渡さな
ければなりません。(これを法律用語では、「賃借人が競落人に対抗できない」
と言ったりします。)
(3)当該建物に(根)抵当権は設定されていなかったが、強制競売により売却され
た場合
→「差押」の登記以前に建物を賃借している場合は、上記①と同じです
→「差押」の登記以後に建物を賃借した」場合は、上記②と同じです
3、「営業権」というのは法律上はっきりした権利ではありません。本件の場
合には、「賃借権」の主張ができないときには「営業権」の主張は出来ませ
ん。
4、上記2で述べました、抵当権の設定登記の日や差押えの日は、建物の登記簿
謄本を見ると分かります。登記簿謄本は法務局(出張所)(いわゆる登記所)で
交付してもらえます(1通1000円)ので、この登記簿謄本によって事実関係
を確認した方がいいと思います。
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以上、どうぞご参考になさってください。
シーズ・轟木 洋子