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会計時の外貨の扱い方 投稿者:えとう 投稿日:2005/04/11(Mon) 13:47:00 No.4609
質問をさせてください。

3月末で会計年度が終わり、
ただいま決算作業をしています。

私たちの活動では発展途上国でドルを扱っているのですが、
外貨の会計処理がなかなかうまくいかないです。

現地のドルは
経費は期中平均レート
現/預金は決算時レート
で円に換算するということが調べてわかったのですが
それで間違いないでしょうか?

また、
期中平均レート、決算時レートというのは
どこで調べればよいのでしょうか?
また「中値」というものでよいのでしょうか?

最後にそもそもの話なのですが
日本と現地、両方で本来事業をおこなっているのですが
日本と現地で会計を別にする必要はありますでしょうか?


長くなりましたが
よろしくお願いいたします。
Re: 会計時の外貨の扱い方 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/04/11(Mon) 20:49:00 No.4610
えとうさん

> 私たちの活動では発展途上国でドルを扱っているのですが、
> 外貨の会計処理がなかなかうまくいかないです。
> 現地のドルは
> 経費は期中平均レート
> 現/預金は決算時レート
> で円に換算するということが調べてわかったのですが
> それで間違いないでしょうか?

それで間違いないのですが、NPO法人の場合はそこまで厳密にやる
必要はないと思います。

為替換算レートについて少し説明しておきます。
換算レートには3種類あります。TTB(買い相場=外貨を買う時の相
場)とTTS(売り相場=外貨を売る時の相場)、それにTTM(中値=
TTBとTTSの中間値)です。相場は日刊紙であればたいてい毎日載
っています。決算時レートというのは(3月決算であれば)3月31日(
土日や祝日であればその直前日)の相場のことです。期中平均レート
というのは、事業年度中の毎月の月初と月末の平均のまた平均です。
通常はTTMを使います。上場企業等の場合は取引の種類でTTBと
TTSを使い分けたり、もう少しややこしくなります。

私の知っている限りではNPOの場合は期中取引はその年度中の最
初の両替時のレートもしくは取引のあった月の月初のレートを使うなど
の簡便法を使っています。NPOの場合は圧倒的に支出が多いので
TTMではなくTTBを使うケースも多いようです(両替時レートはTTB
になります)。理論的には収入はTTS、支出はTTBが正しいのです。

決算時に残った外貨の現金や預金は決算時レートのTTMかTTBで
換算します。現金預金以外の外貨建て債権や債務があった場合は、
債権はTTB、債務はTTSが原則ですが、いずれもTTMでも構いま
せん。ただし継続適用(毎年同じやり方)が条件です。帳簿残高との
差異は「為替差益」もしくは「為替差損」で計上します。

> 最後にそもそもの話なのですが
> 日本と現地、両方で本来事業をおこなっているのですが
> 日本と現地で会計を別にする必要はありますでしょうか?

それはケースバイケースです。規模にもよります。スタッフが仮払いを
持参して帰国後に精算するだけのような場合はあえて別会計にする
必要はないと思います。

             公認会計士・赤塚和俊
Re: 会計時の外貨の扱い方 投稿者:えとう 投稿日:2005/04/12(Tue) 10:28:00 No.4611
赤塚さん

ご丁寧かつご迅速な返信、
本当にありがとうございます。

ご回答を受けて、もう少し質問させてください。


> > 最後にそもそもの話なのですが
> > 日本と現地、両方で本来事業をおこなっているのですが
> > 日本と現地で会計を別にする必要はありますでしょうか?
>
> それはケースバイケースです。規模にもよります。スタッフが仮払いを
> 持参して帰国後に精算するだけのような場合はあえて別会計にする
> 必要はないと思います。
>

規模は2ヶ月に一度、数十万円の規模で、
発展途上国現地の銀行に送金しております。

基礎的な質問なのですが
どういった場合には
どういう理由で別会計にした方がいいのか?
義務で別会計にしなくてはいけないのはあるのか?
あるとしたらそれはどういうときか?

という点について整理していただけたら
嬉しいです。


また、以上のような
外国での活動に関係する会計処理について
情報がなくて困っています。
そもそもの情報源か何かありましたら
あわせてお教えください。

よろしくお願いいたします。
Re: 会計時の外貨の扱い方 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/04/12(Tue) 17:16:00 No.4612
えとうさん

> 基礎的な質問なのですがどういった場合にはどういう理由で別会計にした方
> がいいのか?義務で別会計にしなくてはいけないのはあるのか?あるとしたら
> それはどういうときか?という点について整理していただけたら嬉しいです。

義務ではありません。基本はステークホルダー(会員や寄付者その他の関係者)
は何を知りたいのか、あるいはえとうさんの団体は何を知ってほしいのかという
ことです。言い換えればアカウンタビリティー(説明責任)ということです。それに
よって会員や寄付者は納得し引き続き支援するかどうかの判断もできるのです。

> 規模は2ヶ月に一度、数十万円の規模で、発展途上国現地の銀行に送金して
> おります。

そういう意味では規模によるといっても絶対的な規模というものではありません。
相対的なものです。たとえば活動の大半が現地活動であれば別会計にする意味
はほとんどありません。事業報告で説明すればいいのです。収支計算書が合算で
はわかりにくいのであれば現地事業費が明示されていた方がよいということです。

収支計算書の表示に反映させるかどうかは別として、別会計にした方がいい場合
もあります。それは内部管理目的のときです。いったい現地にどれだけのコスト
がかかっているのか、費用対効果の効率はどうかといった管理をするために、別
会計にした方がわかりやすいといったケースはあると思います。

> また、以上のような外国での活動に関係する会計処理について情報がなくて
> 困っています。そもそもの情報源か何かありましたらあわせてお教えください。

私の知る限りではNPOの外貨建ての活動の会計処理について参考になる情報
は、国際協力NGOセンター(JANIC)の「NGOのアカウンタビリティー」の中の
「会計基準(案)」しかありません。( http://www.janic.org/janic/ngonet/ac.html )
この基準案の中に「換算レート」という項目があります。この項目だけでなく他の
項目も参考になると思います。

               公認会計士・赤塚和俊

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