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ボランティア団体の活動の問題と会計処理について 投稿者:ぼる 投稿日:2005/05/05(Thu) 20:25:00 No.4720
ボランティア団体(任意団体)の活動の問題と会計処理について教えてください。

所属する団体が「会員が集めた寄付金」の会計処理を下記のように行うことを決めました。

1 会員がボランティア活動時にそれぞれ集めた
  「我々の活動に対する寄付金」を会の口座に入金。
2 1の寄付金収入から会員相互の親睦交流費、研修費を支出。
3 2の支出後の残金のうち数十%を会の口座にいれ、残りの%を、
  会員が集めた「寄付金額の割合に応じて」会員に
  「収入活動に報いる活動費」として支給する
  (ボランティア活動を行っていても寄付金を集めなかった会員には無支給)
※会費等は全て会の運営の為に支出し残高は会の口座にて管理する。

団体の名称には「ボランティア」が含まれているのですが
上記の3の活動はボランティアの定義の「無償性」、
また非営利団体としては「利益を会員に分配しない」という部分に抵触していな
いかよくわからないので教えてください。

また3で支給された「活動費」は個人所得税の対象にならないのでしょうか?
それと「任意団体」では団体としての課税はありえないのでしょうか?

また認定NPO団体になる条件を満たされるのかどうかも教えてください。
以上勉強不足で申し訳ございませんがどうぞよろしくお願いいたします。
Re: ボランティア団体の活動の問題と会計処理について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/05/05(Thu) 21:27:00 No.4721
ぼるさん

少し疑問があります。それは寄付金の趣旨です。「我々の活動に
対する寄付金」ということですが、寄付した人は、その寄付金が、
「会員相互の親睦交流費、研修費」や、まして会員に「収入活動
に報いる活動費」として支給されるということを承知しているので
しょうか。そこから根本的に間違っているような気がします。

とりあえずご質問にお答えします。有償ボランティアという言い方
があるように、ボランティアが100%無償でなければならないかど
うかは意見の分かれるところですが、ご質問の団体は任意団体
ということですので、法的な規制はほとんどありません。つまり自
主的にルールを決めさえすればそれで構わないということです。
利益を分配することも禁止されているわけではありません。「利益
を会員に分配しない」というのは法人化するときの条件です。

ただし、当然ですが税法の網はかかります。任意団体であっても
NPO法人と同様に法人税法上の収益事業を行えば法人税が課
税されますし、利益の分配があれば所得税も課税されます。また、
団体としての実体がないとみなされればすべての収益が個人の
所得として所得税が課税される可能性もあります。

最後に認定NPO法人の要件ですが、このホームページの「よく
ある質問」コーナーに「NPO支援税制」としてまとめてありますの
でそちらをご覧になって下さい。ただし、認定を受けるためには
NPO法人としての2事業年度の実績が必要です。

            公認会計士・赤塚和俊
Re: ボランティア団体の活動の問題と会計処理について 投稿者:ぼる 投稿日:2005/05/05(Thu) 22:26:00 No.4722
赤塚先生

早速お返事ありがとうございます。
大変恐縮ですが再度質問させてください。

> 少し疑問があります。それは寄付金の趣旨です

詳しい使途については寄付者に一切説明していません。
先生と同じ疑問を私も持っているのですが
団体の運営者は「会員相互の親睦交流費、研修費」や
「収入活動に報いる活動費」の支出も活動の一部と考えて寄付金の使途として
問題ないと考えているようです。

> ただし、当然ですが税法の網はかかります。任意団体であっても
> NPO法人と同様に法人税法上の収益事業を行えば法人税が課
> 税されますし、利益の分配があれば所得税も課税されます。
>
理解が悪く申し訳ないのですが再度確認させてください。

この団体が実体のある団体とみなされれば

この団体の寄付金収入は「法人税法上の収益事業」
そして会員が得る活動費は「個人所得税法上の
報酬(所得)」にあたるということでよろしいのでしょうか?
その場合この団体は支払調書の作成の義務もあるということでしょうか?

> 団体としての実体がないとみなされればすべての収益が個人の
> 所得として所得税が課税される可能性もあります。

団体として実体があるかないかは
定款、役員、定期総会、会計報告等の有無で判断されるのでしょうか?

また、実体がないとみなされた場合は
団体の代表者の所得と見なされるということでしょうか?


以上よろしくお願いいたします。
Re: ボランティア団体の活動の問題と会計処理について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2005/05/05(Thu) 23:40:00 No.4723
ぼるさん

> 詳しい使途については寄付者に一切説明していません。
> 先生と同じ疑問を私も持っているのですが団体の運営者
> は「会員相互の親睦交流費、研修費」や「収入活動に報
> いる活動費」の支出も活動の一部と考えて寄付金の使途
> として問題ないと考えているようです。

あくまで団体が自主的に判断することですが、そういう決定
のルールはどうなっているのでしょうか。「団体の運営者」の
独断でそういう決定がなされているのであれば団体としての
実体があると言えるのか疑問ですね。

> > ただし、当然ですが税法の網はかかります。任意団体であっても
> > NPO法人と同様に法人税法上の収益事業を行えば法人税が課
> > 税されますし、利益の分配があれば所得税も課税されます。
>
> この団体が実体のある団体とみなされればこの団体の寄
> 付金収入は「法人税法上の収益事業」そして会員が得る
> 活動費は「個人所得税法上の報酬(所得)」にあたると
> いうことでよろしいのでしょうか?

NPO法人であれ任意団体であれ、寄付金収入は基本的に
事業を行うことによる収入ではありませんから法人税の課
税対象になることはありません。

個人の所得に関しては、実態判断が必要です。つまり雇用
関係があるということであれば給与所得、必要経費の支弁
であれば非課税、いずれでもなければ雑所得ではないかと
思われます。

> その場合この団体は支払調書の作成の義務もあるという
> ことでしょうか?

給与であれば源泉徴収票や給与支払報告書、報酬であれ
ば支払調書の作成が必要になります。

> > 団体としての実体がないとみなされればすべての収益が
> > 個人の所得として所得税が課税される可能性もあります。
>
> 団体として実体があるかないかは定款、役員、定期総会、
> 会計報告等の有無で判断されるのでしょうか?

そう考えていただいて構いません。

> また、実体がないとみなされた場合は
> 団体の代表者の所得と見なされるということでしょうか?

そういう可能性はあります。また、メンバーの共同事業と
みなされて、各人の取り分に応じて各人に課税される可能
性もあります。ただ、あくまで実態判断ですので一概には
言えません。

          公認会計士・赤塚和俊
Re: ボランティア団体の活動の問題と会計処理について 投稿者:ぼる 投稿日:2005/05/07(Sat) 20:40:00 No.4724
赤塚先生再度ご回答ありがとうございます。

> あくまで団体が自主的に判断することですが、そういう決定
> のルールはどうなっているのでしょうか。「団体の運営者」の
> 独断でそういう決定がなされているのであれば団体としての
> 実体があると言えるのか疑問ですね。

「団体の実体がある」ための条件は一応満たしているのですが
正式な規約を配布されていなかったので請求したところ、
規約の中に「協会の会議に付議する事項は急を要する場合は
役員会承認を得て処理できるものとする」という一文があり
3人しかいない役員会で全てを決めることができるように
作られていました。
この条項を適用し役員会で会計基準を決めたようです。

入会前にこれらのことを確認しておくべきだったと
反省しています。

色々教えてくださってありがとうございました。

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