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理事任期満了後に新理事が就任しない場合の取扱 投稿者:山口 投稿日:2005/05/31(Tue) 16:27:00 No.4839
私どものNPO法人は、3月末で全役員(理事、監事)の任期が満了しました。
しかしながら、総会で新役員の選任をしたものの、就任承諾がなく新たな役員体制がいまだに発足しておりません。
定款には、「役員は辞任又は任期満了後においても、第○条第1項に定める最小の役員数を欠くときには、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならない。」と規定しています。
一方でNPO法第30条の準用する民法第56条には、「理事の欠けたる場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれある時は、所轄庁は利害関係人の請求により、または、職権をもって仮理事を選任する。」とあります。
この場合、私達前理事は県庁に仮理事の選任を請求し、仮理事による理事会、総会を経て新役員(役員は総会で選任する旨を規定しています)を選任することになるのでしょうか。
この場合、新たな役員のなり手がないと思いますので、解散をその総会で議決しようと思いますが可能でしょうか。
Re: 理事任期満了後に新理事が就任しない場合の取扱 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/06/08(Wed) 18:41:00 No.4840
山口さん、

お待たせしていて申し訳ありません。

山口さんがお書きになっていることに間違いはないと思いますが、念のために
弁護士の方に確認していますので、もう少しお待ちくださいますようお願い
いたします。

シーズ・轟木 洋子
Re: 理事任期満了後に新理事が就任しない場合の取扱 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/06/09(Thu) 17:02:00 No.4841
山口さん、

お尋ねの件、シーズの運営委員で弁護士の浅野晋さんから、以下のようなお返事を
いただきました。

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1、定款に「役員は辞任又は任期満了後においても、第○条第1項に定める最小の
役員数を欠くときには、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならな
い。」との定めがあるとのことですが、この定めはNPO法第24条2項にいう任
期伸長についての定款の定めとは異なります。 

従って、この定款の定めがあるとしても、既に任期が満了した理事の任期が伸長
されるわけではありません。
また仮に、NPO法第24条2項にいう任期伸長についての定款の定めがあった
としても、それは「後任の役員が選任されていない場合に限り」任期の伸長が認め
られるものですから、いったん後任者が選任された以上、たとえ就任承諾がなくて
も後任者が「選任」はされたのですから、やはり前任者の任期の伸長はないことに
なります。

2、従って、所轄庁に仮理事の選任を求めるほかないと思います。
ただ、理事に選任されたが就任承諾をしていない人を、総会を招集するためだけの
目的で臨時的に理事になってほしい旨口説いて就任承諾をしてもらい、その臨時理
事によって理事会の議決等所要の手続きを経て臨時総会を開催し、新たな理事を選
任するという方法もあります。

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以上、参考になれば幸いです。

シーズ・轟木 洋子
Re: 理事任期満了後に新理事が就任しない場合の取扱 投稿者:山口 投稿日:2005/06/10(Fri) 12:05:00 No.4842
 ありがとうございました。
 早速、県庁と話したところ、
 私どものNPO法人は、NPO法第30条の準用する民法第56条の「理事の欠けたる場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれある時」には該当しない(解散を考えるくらいですから、活動は停滞していますが、債務は0です)ので、定款の「役員は辞任又は任期満了後においても、第○条第1項に定める最小の役員数を欠くときには、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならない。」という規定に基づき、前の理事による理事会を経て、臨時総会を開催して、解散を含めて今後の取扱を検討しては、とのことでした。
ということは、前理事長である私が理事会、総会を招集することになるんでしょうか?
 浅野弁護士さんのご助言につきましては、そういう方法がある!と思いましたが、定款上は5名以上の理事が必要なのですが、就任を承諾していただけるのは3名が限度でした。
Re: 理事任期満了後に新理事が就任しない場合の取扱 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2005/06/17(Fri) 09:36:00 No.4843
山口さん、

再質問の件、弁護士の浅野さんから、次のような返事をいただきました。

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1、まず、以前の理事は、現時点では既に理事ではないのですから県庁の見解
は間違っています。この定款の規定に基づき理事会を開いて臨時総会の招集を
することは出来ません。
県庁の解釈のように、この定款の定めに基づき任期切れの「理事」が任期満
了後も理事としての職務が出来るとなると、後任者を選任しないまま、任期切
れの「理事」が「永遠に」理事として居座ることが可能になってしまうという、
極めて不合理な結果をもたらします。

2、しかし、就任の承諾をもらえる方が3人いるのであれば、その3人に理事
になって貰い、3人で理事会を開いて理事長を選任し臨時総会を招集すること
は可能です。
定款上5人以上の理事が必要であるとのことですが、もし理事会の定足数の
定めが「理事の過半数が出席し……」という定めであれば、「3名」というの
は「過半数」ですから、定員割れであってもその3名で理事会を開催すること
が可能です。そして、その3名の理事会で理事長を選任することも、臨時総会
の開催を決議することも可能です。
(但し、定足数が例えば「4人以上出席し……」となっているときは、3人
  では定足数に満たないため、この方法は使えません。)

3、理事が定員割れの状態でも理事会の開催が出来るかどうかについては、今
のところ判例も学説もありませんが、株式会社の取締役会に関する次の先例が
ありますので、NPO法人の場合もこの先例と同じに考えて良いと解されます。

なお、民法や商法の具体的な適用について解釈に疑義がある場合に、地方法務
局等から法務省の民事局にその解釈の是非を照会する制度がありますが、この
(1)(2)は、この制度による照会に対する法務省民事局長からの回答です。この
ような民事局長回答は「先例」として尊重され、法務局等の実務はこれに従っ
た運用がなされています。

(1)昭和35年6月20日民事甲第1520号民事局長回答
定数6名で、1名死亡し欠員の場合において、4名以上の出席があれば取締役
会は有効に決議をすることが出来る。

(2)昭和40年7月13日民事甲第1747号民事局長回答
取締役定数3名の株式会社で、代表取締役たる取締役が死亡したため、残りの
2名で取締役会を開き、後任代表取締役を選任し、新代表取締役から、前任代
表取締役の死亡による退任登記と新代表取締役の就任登記の申請があった場合、
これを受理して差し支えない。

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以上、参考になさってください。

シーズ・轟木 洋子

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