NPOWEB

事業の拡大に伴い、経理業務にかかるスタッフの負担増が問題になってきています。
管理部分の日常業務をなんとか合理化し、本来事業に労力と時間を割けるようにして
いきたいと思い、ご相談させていただきます。

現状は経理経験の無い専従スタッフが、経理の分かる理事に相談しながらパソコン会計
（PCAのNPO会計ソフト）を導入して日常業務を行っていますが、知識が乏しいため、
その都度調べながらの作業になり、時間がかかってしまいます。また間違いによる修正
処理などのロスもあります。

①経理処理のために経験のあるスタッフを雇う、または会計事務所等の専門家にアウト
ソーシングすることを検討していますが、一般的に経理処理に人件費をかけるよりも
アウトソーシングのほうがメリットがあるのでしょうか？
②入力作業から決算処理までを依頼する場合、契約料の相場は、NPOの場合いくら位い
が標準的な金額でしょうか？
③アウトソーシングする際の注意点やアドバイスがあれば、教えてください。
④NPOを支援するNPOの中に、そのような経理のアウトソーシングを請け負っている団体
はありますか？

以上、どうかよろしくお願いいたします。

NORIさん

> ①経理処理のために経験のあるスタッフを雇う、または会計事務所等の専門家に
> アウトソーシングすることを検討していますが、一般的に経理処理に人件費をかけ
> るよりもアウトソーシングのほうがメリットがあるのでしょうか？

ＮＰＯ法人の場合、経理事務のアウトソーシングはあまりうまくいきません。その理由
は次の通りです。アウトソーシングがうまくいくためには依頼する相手が経理に詳し
いのは当然として、その法人の業務に通じていること、百歩譲ってもＮＰＯに関する
知識があること、というのが条件になります。これが営利企業であれば、企業会計に
通じた人はいくらでもいますしその中から適当な相手を探すのはそれほど難しいこと
ではありません。しかしＮＰＯ法人の場合はまずＮＰＯのことがわかっていて経理に
も強い人を捜すのがまずたいへんです。

会計事務所等の専門家の中には、ＮＰＯのことがわかっている人が少しずつ増えて
きてはいますが、法人税の申告や相談業務には対応しますが、日常業務の代行を
引き受ける事務所はまずないと思って下さい。もちろん、それなりの報酬を払えば
引き受けるところはあると思いますが、そういう事務所がＮＰＯのことに理解がある
という保証はありません。むしろＮＰＯのことがわかっている専門家であればアウト
ソーシングはやめた方がよいというアドバイスをすると思います。

なぜだと思いますか。経理事務にとって経理の知識とその法人の業務に通じている
ことと、どちらが大事かというと業務に通じていることの方なのです。ＮＰＯ法人には
それほど高度な経理の知識は要りません。経理を知らないＮＰＯの人に経理の基本
を覚えてもらう方が経理のプロにＮＰＯのことを理解してもらうより効率的なのです。

> ②入力作業から決算処理までを依頼する場合、契約料の相場は、NPOの場合、
> いくら位いが標準的な金額でしょうか？

これはお答えのしようがありません。ミッションに共鳴すればボランティアでやる人も
いますし、商業ベースで考えれば営利企業よりも（知らないことを勉強するという意味
で）かえってコストはかかりますから、かなり高くなることもあります。もちろん、ＮＰＯ
に理解のある人であれば商業ベースより安く引き受けてくれる人はいますが、これも
規模や業務の難易度（と共鳴度）によってかなり違いますので一概には言えません。

> ③アウトソーシングする際の注意点やアドバイスがあれば、教えてください。

上記の通りです。とにかくＮＰＯに理解のある人、理想はNORIさんの団体のミッション
に共鳴する人を捜すことです。それが無理であればアウトソーシングはやめて内部で
誰かが経理を勉強した方がよいと思います。

> ④NPOを支援するNPOの中に、そのような経理のアウトソーシングを請け負っている
> 団体はありますか？

ＮＰＯの会計支援をする団体はだいぶ増えてきました（リストは下記）が、
http://npoatpro.org/shiendantai/list.html
日常業務のアウトソーシングを請け負うところはないと思います。

　　　　　　　　　　　　　　　　　公認会計士・赤塚和俊

　私の税理士事務所では、NPO法人税務・会計のきちっと理解をしている職員さんがNPO法人
の有償で支援をしています。(現在約20件）先月末にも、あるNPO法人から見積書のご依頼が
あり、見積書を提出しています。
　ただ、ボランティアスタッフに比べると、会計事務所は給料を支払って雇用して
いますので、それなりの費用はかかります。
　②については、ＮＰＯでも一般企業でも基本的には変わりありません。私の事務所で
は、月次巡回監査をしています。　月1度会計事務所の職員<きちんとNPO法人の事を教育
しています>が月に1度、約2時間にわたり過去1ヶ月の取引の適法性、適正性を点検し
それ以外の諸問題も含めて回答しています。　　1ヶ月の報酬は、消費税込　26，250円
　決算は、法人税の申告（法人住民税、法人事業税を含む）は税込総額175，000円
消費税の申告は、簡易課税31，500円、本則課税52，500円です。
　その事業の公益性が高いと　私が判断した場合には、決算料の一部を寄附金として、
お返ししています。（今のところ２団体）　
　また、NPO法人運営上の問題については、私宛てに電子メールを頂戴し、答えています。
　-------------------------------------------------
　アウトソーシングではありませんが、横浜のある介護系のNPO法人（事業高年間約4億円）
では、会計事務所の女子職員を２名スカウトして、雇用しています。
　-------------------------------------------------
　ただ、赤塚さんのおっしゃるとおり、多くの会計事務所では、まだ、NPO法人や市民活動
団体の実態を知らないのでしょう。

　宮城県仙台市でも　会計支援をしているNPO法人があるはずです。　
詳しくは、特定非営利活動法人　せんだい・みやぎＮＰＯセンター
　　〒980-0804 宮城県仙台市青葉区大町2-6-27 岡元ビル４Ｆ
　　ＴＥＬ　　022-264-1281　　　　ＦＡＸ　　022-264-1209
　　Ｅ-mail　　minmin@minmin.org　にお問合せください。