daruさん、
米国で、NPOとして法人格を取得する場合には、それぞれの州の窓口で手続きを
しますが、それぞれの州で法律が異なります。
州内の法人格を持つNPOの監督は、その州のそれぞれの担当部署(州によって異
なります)が行ないますが、これが日本のNPO法人の監督をする役所である「所
轄庁」と似た機能を持っていると考えていいと思います。しかし、どういう監督権
限があるかについては、それぞれの州の法律で異なると思います。また、ここで
「取締り」ができるのは、そのNPO法人化に関する法律の範囲内だと思われます。
(ニューヨーク州司法局のNPO担当窓口に行った時には、数が多いので、とても
きちんと監督しきれない、と言っていました)
また、悪徳NPOといっても、どういう悪徳なのかによっても、それを取り締まる
ところは変わってきます。
もし、詐欺とか横領とか恐喝ということであれば、FBIが動くのかもしれません。
脱税であれば、IRS(Internal Revenue Service:日本の国税庁にあたるところ)
が調査するでしょう。アル・カイダ組織への資金供与疑惑ということでも、FBI
が調査するのでしょうか。交通法違反なら警察だと思います。(米国の法律全体に
詳しい訳ではありませんので、必ずしもそうではないかもしれませんが)
日本であっても、「悪徳NPO」を「取り締まる」ところは、ひとつではありませ
ん。何をしたかによって、それを「取り締まる」ところは変わってきます。所轄庁
の場合もあれば、警察の場合もあれば、税務署の場合もあるでしょう。米国でも同
じです。
「防止」ということにつながる動きとしては、米国ではNPO側からの情報公開を
もっと進めようという動きのなかで、多くのNPOの確定申告書をwebで公開し
ているGuide Star(
http://www.guidestar.org/)があります。
また、NPOを格付けするNPOがあったり、一定の基準を満たしているNPOに
認定証のようなものを出しているところもあります。しかし、米国のいわゆるNP
Oは100万以上もあり、こうした格付けや認定の対象になっているNPOは、ほ
んのひとつまみ、1%にもとうてい達しません。
米国でも、時折悪いNPOのことがスキャンダルとしてニュースに取り上げられる
ことはありますが、だからといって、NPOはすでに社会に根付いていて特別なも
のではないので、NPO全体が信用失墜する、ということにはならないように見え
ます。
ただ、米国ではNPOへの税制、あるいはNPOへ寄付する人に対する税制が、日
本とは全く比較にならないほど(驚くべきほど)緩いため、これをもっと厳しくす
べきだという動きが、この1年半ほど米国議会で起こっていました。これに対して、
米国のNPO側のリーダーたちが、自ら案を作成して議会に提出し、ほぼその内容
で去る11月に可決したようです。これについては、内容が大変専門的ですが、
http://www.nonprofitpanel.org/ のホームページで読むことが可能です。
シーズ・轟木 洋子