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障害者共同住居と法人税について 投稿者:月桂樹 投稿日:2006/01/13(Fri) 18:37:00 No.5510
始めてご質問します。
精神障害者の地域福祉活動を行う団体で、昨6月に任意団体からNPOを設立しました。自治体の補助金(支援費ではない)を受けてグループホームと共同地域作業所を、補助なしで共同住居を運営しています。
このうち共同住居事業について、税務署から収益事業(不動産貸付業)にあたるとの指摘を受けました。しかし、収入の利用料(家賃)は全て、経費(家主への賃料、家屋改修費、什器消耗品、食事提供アルバイトの時給等)にあてる方針で、収益事業との見方に疑問があります。
①「最初から採算を度外視して行う」「実費精算」のような事業について、収益事業とみなさない解釈があり得ますか(「請負業」にはあるとの回答を見ました)。その場合、税務署に対してどのような申告を行えばよいでしょうか。(現在、収益事業開始届は出していません)。
②次のような支出は①での経費として認められますか
   a 家屋改修費積立金‥知人からの賃借で、老朽家屋のため改装は当方で持つとしています。
   b 入居者減時に備えた資金の積立
   c 法人運営費の分担金
③当法人の法人住民税の減免申請は受理されるでしょうか、申請の際に気をつけることはありますか。まだ減免申請を行っていないのですが、申請しないと住民税の請求が来るのでしょうか。
④収益事業を行う団体となると、(赤字であっても)法人税法上の会計報告を要すると思いますが、NPO法上の会計報告作業の内容や負担度の違いを教えてください。
質問が多く申し訳ありませんが、ご教授の程お願い申し上げます。
Re: 障害者共同住居と法人税について 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/01/14(Sat) 13:12:00 No.5511
月桂樹さん、公認会計士の岩永と言います。少々判断の難しい質問です。

> このうち共同住居事業について、税務署から収益事業(不動産貸付業)にあたるとの指摘を受けました。

「不動産貸付業」はあり得ないと思っています。グループホームの主眼は入居者への
様々な支援にあるのであって、単に部屋を貸しているわけではないからです。また大家さんへの
家賃は本来入居者が払っているのであって、法人が預かってまとめて払っているにすぎないと
考えられます
 「不動産貸付業」という税務署の指導は内容を良く理解していないからだと思います。
この点は再度根気よく説明して下さい。

 では収益事業ではないのかというと、実は微妙です。該当するとすれば、「請負業」か「医療保健業」です。
高齢者の場合の介護保険制度では、医療保健業に該当し収益事業になります。また知的障害者のように
支援費対象事業であれば、同様に医療保健業に該当し収益事業になります。
 精神障害者の場合は支援費対象でないので、収益事業と判断されるためには「請負業」という
範疇に入るでしょう。この請負業の解釈については税務署は拡大していく傾向にありますが、
私などはせまく解釈するべきだと思っていますので、該当しないと考えています。
 つまり請負業ではないから収益事業ではないという主張を、どの程度税務署に
認めさせられるかがポイントになります。

 もっとも今度成立した自立支援法では精神障害者のグループホームも給付の
対象になりました。この際の税務の取扱については、まだよくわかりません。
しかし新しい法律ですので、税務の方も当然明確な取扱が示されると思いますので
その時まで判断をのばすという方法もあります。ただ全体的な流れからいけば、
課税の方向ではないかと推測しています。

> ①「最初から採算を度外視して行う」「実費精算」のような事業について、収益事業とみなさない解釈があり得ますか(「請負業」にはあるとの回答を見ました)。その場合、税務署に対してどのような申告を行えばよいでしょうか。(現在、収益事業開始届は出していません)。

 「実費精算」だと主張して行うのは、行政からの委託事業のような場合で、契約書に余剰が
生じたら返還する旨の文章があるような時です。利用料が実費だと主張することは困難かも
しれません。
 この点を強く主張すると、税務署は実際計算して赤字ならば税金はかからないので
申告だけしてくれたらいいと言うでしょう。しかし事務作業の手間だけでなく、
後で触れる住民税が変わってきます。

> ②次のような支出は①での経費として認められますか
>    a 家屋改修費積立金‥知人からの賃借で、老朽家屋のため改装は当方で持つとしています。

 実際の修繕があったときの損金となりますので、積立段階では経費になりません。

>    b 入居者減時に備えた資金の積立

 上と同様です。実際に入居者が減少したときに利益が減ることになります。

>    c 法人運営費の分担金

 グルームホームとは直接関係なく、単に分担金だというのであれば収益事業に
対する損金としての位置づけは困難かと思います。
 そうではなく法人としても間接的にグループホームのために様々な役務を提供しており、
そのかかった経費の一部を負担するのだという合理的な説明ができれば損金になると
思います。つまり機関誌代とか、通信費とか、会議費とか、印刷代とか、の一部に
グループホームのためのものが含まれているという説明です。ある程度の根拠が
必要です。


> ③当法人の法人住民税の減免申請は受理されるでしょうか、申請の際に気をつけることはありますか。まだ減免申請を行っていないのですが、申請しないと住民税の請求が来るのでしょうか。

 税務署に対して収益事業申告をすると、たとえ税務署の方が赤字で税金がゼロだとしても
住民税の減免申請はできません。つまり減免を受けるためには、収益事業ではないということが
必要であり、最初の話に戻ります。

> ④収益事業を行う団体となると、(赤字であっても)法人税法上の会計報告を要すると思いますが、NPO法上の会計報告作業の内容や負担度の違いを教えてください。

 グループホーム事業はNPO法上特定非営利活動でしょうから、別の計算書を
作成する必要はありません。一旦NPO法上のものを作成して、税務申告の時に
そこから申告に必要な部分を抜き出す感じで作成します。ここらあたりの様式ややり方に
ついては、様々な解説書がありますので、検討してみて下さい。
 とにかく2種類の物を同時並行的に作成するというような手間をかける必要は
ありません。
Re: 障害者共同住居と法人税について 投稿者:月桂樹 投稿日:2006/01/23(Mon) 17:59:00 No.5512
公認会計士 岩永様
このたびは、大変丁寧なご回答をありがとうございました。
大いに参考にさせていただきます。

ご回答に関して‥
当法人で今回検討しているのは、グループホームではなく、
法的根拠なしに独自に運営している「共同住居」なのですが、
NPO法上で特定非営利活動と認められており、事業の主眼もグループホームと同様なので、
ご回答のような解釈で税務署への説明を行っていきたいと思っています。
法人で検討の結果、まずは減免申請を行ってみて、受理されるか動きをみることとしました。

またの自立支援法にかかわるグループホームへの課税取り扱いについては、
他法人も同様の状況ですので、全体的な動きに沿っていきたいと思います。
現在は、自治体交付の補助金には、余剰返還の前提があり、当市の場合は委託契約のこともあってか、
課税の前例は聞いていません。

以上、ご返礼が遅れ申し訳ありませんでした。
今後とも参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

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