東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
nogami 投稿日:2006/01/21(Sat) 12:10:00
No.5538
ご助言をお願いできればありがたいのですが,
東京都認証のNPO法人を準備していて,私も理事のお誘いをいただいていますが,
東京都は近年,認証条件として,総会定足数を正会員の1/2でないと認めないこと
にしているので,会員数百人を予定しているため,1/2定足数は困難な可能性があ
る,中間法人でいってはとの意見が出てきて,私は,絶対NPOで申請すべきと
言って,平行線で困っています。
1.最初から1/2の方針で行くことで態勢をとれば,1/2は可能では,と思うのです
が,どうでしょうか(委任状含む)?
2.中間法人については,以前もこの質問箱で轟木さんからご回答があったかと思
うのですが,
これは同窓会のようなもので,優遇税制がなく,課税されるし,助成金を受け
ることが出来ないし,社会的評価も低いし,中間法人は,今後,公益法人見直
しの嵐の中で,翻弄され続けることになるでしょうし,混乱状態が続くことが
予見されるので,絶対に避けるべきかと私は思っているのですが…
3.一つの方法として,会員を 正会員(NPO法における社員,会費2~3万円)
一般会員(5~6千円)として,正会員を絞り込むことにし(実際は理事・監
事)とすれば,定足数の問題はクリアできるかとも考えますが,
どうなのでしょう?
ご助言,コメントいただければありがたいです。よろしくお願いします。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2006/01/22(Sun) 23:47:00
No.5539
特定非営利活動法人の総会の定足数については、特定非営利活動促進法にも民法にも全く何の定めもありません。
民法の社団法人の場合、民法に総会の定足数の定めがありませんから、たとえば定款で
①定款で定足数を定めない
②定款で定足数を総社員数の10分の1と定める
ということでもいっこうに差し支えがありません。なお定款で定足数を定める場合、10分の1でなくても、その団体の実情に応じて20分の1でも50分の1でも100分の1でもかまいません。
ただ、定足数の定めがないとき、総会に何人の社員が集まったら総会が成立するかについては議論があり、総会というのは合議体であるから、1人ではさすがに総会の成立は認められないが、2人以上であればOKというのが通説です。
特定非営利活動法人の場合も全く同じです。
ところが東京都は総会の定足数を社員総数の2分の1以上としなければ認証しない方針をとりはじめました。(以前は、定足数が10分の1でも問題なく認証されていました。)
その理由として東京都は、「団体の民主的な運営の観点から、定足数を2分の1以上とする必要がある」などと、全く馬鹿なことをいっています。
しかしこれは全くの間違いです。
地方選挙などで、投票率が50パーセントを切る選挙は珍しくありませんが、東京都の考え方では、このような選挙は「民主的」ではないから無効であるということになってしまいます。
民主的かどうかは、参加の自由が保障されているかどうかによります。参加の自由が保障されていれば、参加するかどうかはその社員の自由です。社員に、総会出席の自由が与えられていれば、実際に総会に出席した社員数が例えば社員総数の50分の1であっても、民主的な総会です。
また、特定非営利活動促進法12条は、設立の認証の申請が同法第12条各号に適合すると認めるときは、所轄庁はその設立を認証しなければならないと定めておりますが、総会の定足数や運営が「民主的」であるかどうかについては同法の定めるところではありませんから、東京都は横暴にも法律の定めを無視して新たな認証基準を勝手にでっち上げていることになります。
東京都は二重に誤りを犯していルるわけです。
昨年ある団体が、定足数を5分の1として認証申請したところ不認証になりました。この団体は、再度認証申請をしていますが、これが不認証になった場合には、東京都知事に対し訴訟を提起して争うつもりであるとのことです。
市民運動団体の場合、総会に会員の2分の1以上が集まるということは大変困難です。多くの団体では、おそらく5分の1とか10分の1とかが適正な定足数であると思われます。
東京都の役人は、市民運動をしたこともないし、また「民主主義」についての全く浅はかな考え方から、ろくに考えもしないで総会の定足数を2分の1以上としなければ認証しない方針をとってしまいました。
ところが、都は最近どうもこの方針に自信をなくしたようで、他の所轄庁に、定足数についてどのように指導しているのかのアンケートをとっているとの情報があります。
都民は、こんな馬鹿な役人を所轄庁に持った不幸を背負い込んでいる訳ですが、このままで放置するわけには参りません。東京都が間違っていることは明らかですから、どうか都の言いなりにならず、実情にあわせた定足数でがんばってください。そして、不認証になったときは、裁判所に提訴することを考えてください。
裁判では必ず勝ちます。
馬鹿な役人の横暴を許さないというのは、市民運動をしている私たちに必要な姿勢です。
どうかがんばってください。
弁護士 浅野晋
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
現職の所轄庁 投稿日:2006/01/23(Mon) 12:52:00
No.5540
某所轄庁担当者です。
ときどき、世間の悩みごとを参考にさせてもらおうと、読ませてもらっていますが、同業者が「馬鹿な役人」といわれたので、大人げないですが、少し反応したいと思います。
ただし、攻撃の意思があるわけではありません。制度に関する率直な感想です。
所轄庁は、所轄庁として自ら法人を運営したことはありません。それは事実です。
でも、単なる役所批判は、ちょっといただけません。
そもそも、法律に穴(あるいは空白、余白、行間)が多く、しかも48の所轄庁があり、解釈は個々の所轄庁に委ねられています。
これが前提ですから、問題があると考えるのであれば、不認証という公式な結果を出させて、それに対して争えばいいわけです。
幸い、東京都は解釈の基準を公開していますから、それを根拠にすることはできると思います。
結果については、弁護士さんがお書きのとおりかもしれませんが、コメントは避けます。
他にも、いくつかの都道府県では、この基準を策定し、公開しているように聞いていますが、法律できちんと決めてあるか、あるいは解釈が統一されていれば、こういう事態にはならないと思います。
ご存知かどうかわかりませんが、法律で重視している情報公開など、存在の担保にはまったくなりません。
内容の精度など、誰も保証できないからです。誰もが見ているわけでもありません。
前年度に提出した決算と食い違う報告を出してくる法人も少なくありません。
その程度の書類ですら、提出できない法人もあります。
提出について説明すると、黙ってろと文句を言ってくる法人には、即刻解散してほしいくらい腹が立ちます。
そんな法人への督促に税金を使わなければならないことの方が問題です。
一担当者としては、個々の問題点をとやかく言う前に、抜本的、根本的な改善をしないと、誰もNPO法人制度を信用しなくなるのでは?という不安を日頃感じています。
そんな制度でいいのなら、初めから所轄庁など決めないで、公証人の認証で設立できる制度にすればよかったのに。
そうしなかった理由は、費用以外にも何かあったと思いたいですが、あいにくわかりません。
今は、仕事をしていても、世間の役に立っているとは思えないときが結構あります。
今後、大量退職の時代になると、間違いなく法人化を希望する数は増えると思います。
そのときには、現在のような状態が続いていないことを祈ります。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2006/01/23(Mon) 16:36:00
No.5541
某所轄庁の担当者様
1、率直なお気持ちや所轄庁の実情を記載していただきましてありがとうございました。「馬鹿な役人」という言葉がお気持ちを損ねたようで申し訳ありませんでした。
2、東京都の認証事務の中で、大きな問題点、間違いが2つあります。
その一つが、総会の定足数を社員総数の2分の1以上とするとの基準を設けたことです。法定の要件以外にどうしてこのような基準を設けるのか、法的にも全く不可解ですし、市民団体の運営の実情にも反します。
3、都は恐らく、「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用方針」(平8.12.19公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せ)の基準4の運用方針(3)に「社員総会成立のための定足数及び議決数については民法上規定がなく、法人の事情、議決案件の種類等に応じて定款に自由に規定することができるが、最低でも過半数以上とする必要がある。」と記載されているのを下敷きにしているのでしょう。
しかし、民法上の公益法人(社団)の場合、設立は主務官庁の「許可」に基づきますので、設立を許可するかどうかは主務官庁の自由裁量に委ねられます。従って、総会の定足数について上述のような裁量の基準を設けることは(その善し悪しはともかくとして)違法ではありません。
4、これに反し特定非営利活動法人は認証主義をとっており、設立認証申請が法に定める要件に合致していさえすれば必ず「その設立を認証しなければならない。」(方12条1項)と定めています。
「総会の定足数は社員数の2分の1以上でなければならない」との趣旨の設立要件はどこにもありません。都の基準は明らかに違法です。
5、都は所轄庁として「あるべきNPO法人の姿」を想定し、それに近づけるようにあれこれ注文を付けているのでしょう。そしてそこには、よりよいN PO法人を育成しようという善意があるに違いありません。
しかしそれは間違いです。
NPOは社会のニーズに応じて自然発生します。そして、法人制度というのは、そのようなNPO団体の社会活動をし易くするための、いわば「道具」(ツール)にしかすぎません。
6、以前は、法人格というものは、国から恩恵的に与えられるありがたい資格であるような考え方がありましたが、現在ではこのような考え方が誤りであることは明らかです。
この「法人格は、団体の社会的活動をし易くするための“道具”(ツール)にしかすぎない」ということを理解しないと、所轄庁による認証事務その他の事務についての正しい方向性というのが見えてきません。
7、与えられた法人格という道具をどのように使うのかは、実は専らそのNPO法人の自由ですし、その結果は当該法人が自己責任として背負い込むことになるわけです。法人格を上手に使って活発な活動をする団体もあるでしょうし、また法人格は得たけれど活動はサッパリという団体もあるでしょう。 それはそれでちっともかまいません。自然淘汰に任せておけばよいのです。
8、「前年度に提出した決算と食い違う報告を出してくる法人も少なくありません。その程度の書類ですら、提出できない法人もあります。提出について 説明すると、黙ってろと文句を言ってくる法人には、即刻解散してほしいくらい腹が立ちます。そんな法人への督促に税金を使わなければならないこと の方が問題です。」とのことですが、そんな法人は放っておけばよいのです。そして、3年以上に渉り所定の書類を提出しないのであれば、法43条に基づき淡々と認証取消をすればよいのです。
もとより法人格を悪用して不正な利益を図るなどの行為をする場合には、もちろん所轄庁の出番ですが、そうでなければ放っておいて「自然淘汰」に任せるという姿勢が必要です。
9、NPO法人は「私的自治」の原則に基づき自分たちが運営するのが原則ですから、所轄庁としては実は「なにも仕事をしないのが最も良い仕事」とい う場合があるということを念頭においておく必要があります。
所轄庁としては、「善意」から、あれこれ後見的な配慮、心配をしたくなるのでしょう。しかし、法人格は道具にしか過ぎませんし、その道具をどのように使うのか、あるいは使わないのかは、その法人に委ねられているとあっさり割り切って考える必要があります。
後見的配慮は不要ですし、返って社会にとってマエナスとなります。
10、東京都の認証事務の大きな間違いのもう一つは、任意団体がNPO法人格を取得するという、いわゆる「法人成り」という設立形態を認めていない ことです。
これは判例にも反しますし、また法人設立という行為の法的な意味にも反する明らかな間違いなのですが、都は法人の設立行為についてきちんと法的 な勉強をしていないため、一貫してこの間違いを押し通しています。
この点も詳しく説明したいのですが、今回の論点とずれますのでやめておきます。
11、なお、「コメントは避けます」など、ずいぶん控えめにお書きになっておられますが、“違う意見を戦わせて互いに理解を深め、よりよい結論に到 達する”というのが民主主義の基本です。どうか遠慮なさらずにコメントさ れるようお願いいたします。
弁護士 浅野 晋
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
県庁の★ 投稿日:2006/01/23(Mon) 17:40:00
No.5542
また法人格は得たけれど活動はサッパリという団体もあるでしょう。
それはそれでちっともかまいません。自然淘汰に任せておけばよいのです。
提出について 説明すると、黙ってろと文句を言ってくる法人には、即刻解散してほしいくらい腹が立ちます。そんな法人への督促に税金を使わなければならないこと の方が問題です。」とのことですが、
そんな法人は放っておけばよいのです。そして、3年以上に渉り所定の書類を提出しないのであれば、法43条に基づき淡々と認証取消をすればよいのです。
*私も某所轄庁の役員ですが、一言言わせていただきます。
確かに「活動なし」などの法人も事業報告書等が一般公開されるので、イメージの低下に繋がり、自然淘汰に繋がる・・・と考えたいのですが、実際、一般の人はそんなに頻繁に見て、評価をするでしょうか。閲覧書類を見る人は同じような活動をするために参考にする人か、内紛等で文句を言いたい人くらいのような気がします。
もちろん、住民税の対象とかになるんで、何もしなくても費用はかかる・・・ハズですが、実際のところ、どうなのでしょう。
要は何も活動しなくても、痛くも痒くもないのかな・・・と思うこともあります。
全部が全部でないことは言うまでもありませんが、NPO法人格を取得したら、「ハイサヨナラ」で事務所の連絡先すら教えない法人もあり、自主性と勝手気ままを勘違いしている法人もなきにしもあらずです。
また、書類に不備がある法人は放っておけば良いとおっしゃいますが、確かにそうなんですけど、また、逆に県が閲覧として出しているのだから、正式なものだ、完璧なものだと考え、「こんなヘンな書類を県は閲覧していいのか?」となんで私らがこんなことで文句言われなきゃいけないのだ・・・ということもあります。
そして、3年間事業報告書を出さないところは淡々と認証取り消しにすれば良いのも、これもおっしゃるとおりですが、そこまで行くには単年度督促書を書いたり、それも「俺は役員を辞めたのに、どうして、こんなもん(督促書)が来るのだ」と文句言われたり、過料事件通知を出しても、未提出期間がそんなに長いものではないと裁判所さんの方で判断すれば、それでおしまいです。
ましてや、要綱等でパブリックコメントを中間支援組織から貰おうとすると、ごちゃごちゃして・・・NPO法自体が曖昧なとこがあって、困っております。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/01/23(Mon) 19:38:00
No.5543
公認会計士の岩永と言います。NPO法に関係する非常に重要な議論であり、
また情報公開にも関連するところがありましたので、私も少し意見を述べます。
定足数については専門外なのであまり多くを書けませんが、ただ東京都の方針が
あまりにも従来の公益法人の指導監督基準に準拠していること、認可と認証は全く
別の制度であること、改正された会社法などでももっとゆるい定足数の基準を
とっていることだけを指摘したいと思います。
私が気になったのは下記の部分です。
県庁の★さん
> 確かに「活動なし」などの法人も事業報告書等が一般公開されるので、イメージの低下
に繋がり、自然淘汰に繋がる・・・と考えたいのですが、実際、一般の人はそんなに頻繁
に見て、評価をするでしょうか。閲覧書類を見る人は同じような活動をするために参考に
する人か、内紛等で文句を言いたい人くらいのような気がします。
また
現職の所轄庁さん
ご存知かどうかわかりませんが、法律で重視している情報公開など、存在の担保には
まったくなりません。
内容の精度など、誰も保証できないからです。誰もが見ているわけでもありません。
前年度に提出した決算と食い違う報告を出してくる法人も少なくありません。
その程度の書類ですら、提出できない法人もあります。
お二人のご発言には、情報公開というものに対する根強い不信感が漂っています。
私は公認会計士として、情報公開(ディスクロージャー)という分野で仕事をして
います。確かに最近粉飾決算も多いですし、違反して逮捕される会計士もいます。
しかしだからといって情報公開など意味はないとおっしゃるのでしょうか。
私はそのお考えには全く賛成できません。
NPOの提出する計算書がバラバラだったり、不正確なものがあることは私も
承知しています。したがって、NPOがより正確で明瞭な計算書を作成できるよう
私も微力ながらNPOの会計支援を行っています。
ミッションもすぐれており、ガバナンスも適正であり、ディスクロージャーも適時に
行っているNPO法人が1つで多くなり、そのようなNPOこそが社会に認知される
ようになれることは、誰でもが期待しているでしょう。私もそのうちの一人です。
しかし1つの制度が社会に根付くためには時間が必要です。また多くの人間の努力も
必要です。そしてそれは誰か特定の人間が命令して出来るというような性質のものでは
なく、一人一人の努力が、やがて全体として大きい流れになり、それが社会に必要
不可欠な制度として残っていくのです。それが市民社会の成熟というものです。
毎日NPO法人からの提出書類の山にうずもれている現場の行政の方にとっては
不誠実な対応をするNPOの方が目につくのでしょう。
しかし、たどたどしい計算書類などであっても、担当者がそれなりに努力してきちんと
毎年報告してくる法人の方が多いのではありませんか。時間がないとおっしゃるでしょうが
そのようなNPOの報告書を見て、1年間どのような活動をしたのだろうと、一度思いを
はせてみて下さい。
国会で議決された法律の精神である情報公開と市民による監視という制度に対して、
それを所轄事務を直接行う行政の方が、「法律で重視している情報公開など、存在の
担保にはまったくなりません」と一刀両断のもとに切り捨てられるお考えをお持ちとは
驚きであり、恐ろしい感じさえします。
反対のお立場かもしれませんが、法律として決まっている以上NPOの制度をより
良いものにするためには、所轄庁の規制を強化するのではなく、一般の市民がもっと
手軽に公開資料にふれるためにはどうしたらいいのか、そのための関心をどのように
盛り上げるのかといった方向に力を注いでほしいと思います。
しかし本当に良い機会ですので、反対のお立場なら反論をいただきたいと思います。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
現職の所轄庁 投稿日:2006/01/24(Tue) 12:57:00
No.5544
感情論をとことん抑えて書いたつもりでしたが、予想以上にツリーがつながってしまいました。
以下、当方の作文が下手なために誤解を招いた部分の訂正と意見陳述をさせてください。
まず大前提として、現行制度を否定したり、情報公開に意味はないとは思っていません。(その意味で、意見に対して反論することはありません)
法律がある以上、それにしたがって仕事をするのは当然のことです。それを否定したら、役所は存在しえませんし、公務員として仕事をすることもできません。
ただ、現実を見ていると、自分の仕事が世間の役に立っているとは実感できません。その率直な気持ちを書いたものです。
その点では、県庁の★様と意見(感想?)が近いかもしれません。(違ったらすみません)
事業報告の改善策としては、決定打になるものがありません。誰もが見ることができる仕組みと、誰もが見ているかどうかは、似ているようで全然違いますし、その差を埋めるにはまだまだ悩まなければなりません。
恥ずかしながら、企業の決算公告はほとんど見たことがありませんが、それらを踏まえて、皆様からご提案をいただけると、大変参考になります。(この質問箱は所轄庁の救済の場所ではないと、削除されそうですが)
市民社会の成熟に時間がかかることも理解しているつもりですが、制度が目指したものに現実が追いつかない、あるいは異なった方向に動いているとしたら、制度を見直すことも必要と思います。
これは、単に規制を強化すべきという意味ではありません。逆に、より簡易(安易ではない)にすべき部分もあるかもしれません。いずれにしても、公開の場でしっかり議論して決めていただければいいと思っています。
また、制度のわかりにくい部分、書かれていない部分があれば、きちんと法律で定めて、運用が48通りになるようなことのない仕組みができてほしいと思います。(だからといって、会社法並みに条文が増えるのも困りますが)
今後、NPO法人制度についても、公益法人制度改革との兼ね合いで様々な議論が行われていくようですから、その推移を見守りたいと思います。
今回の発言をしたおかげで、様々な方々がこの質問箱を作り上げていることを実感しました。
いずれ現職でなくなったときには、元所轄庁として参加させていただくつもりですが、そのときは邪魔にされないように、作文能力の向上に努めたいと思います。貴重なサーバー容量をたくさん使ったことをお詫びします。
追伸
報告書を見て思いをはせてみては?とのことですが、実はずっと行っています。(東京都並みに数が多いとできないかもしれません)日頃の関わりがないので、そうでもしないとやってられません。持参された場合は、相手の都合がよければ最近の様子を伺い、郵送であれば電話等でお話を伺うなどしています。
困るのは、そうやってお話をしたご縁からか、所轄庁の仕事を超える相談を受けることです。
実は、そういう想定外の質問があったときに、この質問箱も利用させていただいています。正式な判断は専門家にしてもらうことを前提に、できそうなのかどうか、必要なのかどうか、どういう専門家がいるのか、その見通しなどを示します。そうすると、相手は心の準備ができるようです。所轄庁の仕事は、福祉のケースワーカーみたいな仕事だと日々感じています。
話がかなり反れましたが 投稿者:
県庁の★ 投稿日:2006/01/24(Tue) 13:53:00
No.5545
現職の所轄庁さん、代弁していただき、有難うございます。
私も情報公開を否定するつもりは毛頭ございません。ただ、実際、こんなひどい報告書(?)出しても良いの?と思うものもいくつかあります。
例えば、私たちで出している会計報告書の参考例をコピーして、そのうえに(活動がないので)0円と記入する(つまり、項目が××になっているところも××としている)ものもありました。
もちろん、それに対して、確認はしていますが、それでも良いと言っているので、そのまま閲覧にしていますが、一個人として、どうして、このようなものが出せるのか不思議でたまりません。
また、書き方が分からないという法人さんに対しても、分かる範囲で相談にものっています。
そんなことで、すべてではありませんが、いくつかの実例やコメントを書いたまでです。
私たちも現場に行って、素晴らしい活動を目の当たりにすることだってあります。NPO法人を取って、良かったと言ってくださる法人だってあります。
が逆に、NPO法人とっても意味がなかったと言った法人もあります。なんで作ったの?と突っ込みを入れたくなりますが、簡単にできてしまう、イメージに惑わされてしまったという面も否めないと思います。
そんな中、会計士さんもおっしゃるとおり、NPOを広く普及する手段を考えるべきだとも思いますが、「1つの手段」として、法的な規制も、「アメと鞭」的な感覚で検討はしても良いと思っただけです。
話がかなり反れて申し訳ございません。
最後に定足数ですが、私たちのところは特に2分の1でなければならないということはありません。
まあ、多数ということは必要だとは思いますが、その基準が明確でないので、困ってしまいますね。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
現職の所轄庁 投稿日:2006/01/24(Tue) 18:17:00
No.5546
発言番号5893ですべてまとめたつもりでしたが、浅野様からコメントをお勧めいただいたことへの記載を忘れていました。
すでに県庁の★様の御所見がありますので、重ねての発言になる部分はご容赦ください。
東京都内の法人や団体は数も多く、活動内容も多様だと思いますので、明確でない部分について何らかの基準を示す必要があったことには、心理的に理解できます。
それが公開されているおかげで、争うべき対象がハッキリしていることは、疑問に思う方々にとっては、いわば不幸中の幸いだと思います。
ただ、東京都の手法が適切であるか、内容が適切であるかについてのコメントは、控えたいと思います。事務量も多くて大変な東京都の仕事を混乱させるのは、良いことではないと考えます。
また、特定非営利活動促進法に関する事務は自治事務ですから、同業者の発言が内政干渉?になる危惧もあります。一担当者のコメントの影響力など、都知事の発言には比べようもないかもしれませんが。
自分自身、今は特定の法人や団体に関与していませんが、以前はある団体の活動に加わっていました。運営上の苦労や悩みは他人事と思えないので、いずれ今の立場を離れたときには、これまでの経験を踏まえて、削除されない程度に議論に参加させていただければと思っています。
ちなみに、当方のこれまでの仕事の中では、総会定足数が議論の対象になったことはありません。
基準となる割合が示されていませんので、割合の如何に関わらず、社員数(見通しを含む)に当てはめて、定足数と議決数を実際に見てもらっています。すると、極端な事例のほとんどは、特に根拠があったわけではないとわかります。最終的には相談者側の判断ですが、極端な事例はほとんど見直されました。
中には、確か3~4人が出席すれば総会が成立して、2人で定款変更が決められる事例があったような記憶があります。それを利用して、少ない人数で都合良く定款を改正し、一緒に定足数や議決数を厳しく改正してしまえば、もう取り返しがつきません。
相談者側が気がついていないことがあれば、それを示すのも所轄庁として必要なことと思っています。とはいえ、東京都並みに数が多いとできないかもしれません。
対策として、定足数の議論を避けて、会員区分を細かく分けて社員を限定したとしても、社員の区分で入会する人が多くなれば同じことですから、いずれ行き詰まります。社員に条件をつけるにも限度がありますし。
できれば、根本的な解決のため、定足数に関する基準を法律で定めるとか、法律で基準を設けても、議決数と同じように「定款で定める場合はこの限りでない」とするとか、工夫していただければと思っています。
皆さんの御議論とともに、所轄庁の悩みも立法者へ届くことを期待して、結びとさせていただきます。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2006/01/25(Wed) 00:56:00
No.5547
県庁の★ さん
現職の所轄庁 さん
大変率直なご意見ありがとうございました。所轄庁の方々もいろいろ悩んでおられるようで、認識を新たにしました。
もし私が所轄庁の担当者だとしたら、きっと私は、鮭の卵を孵化して稚魚に育てて川に放つという仕事をしているのだなと思うに違いありません。育てた何万何十万という稚魚のうち、また川をさかのぼってくるのは、おそらく何千分の1という少なさでしょう。でも私の手から、その何千分の1という確かな実在が生まれるのです。何千分の1であっても、新たな生命を生み出す確かな喜びがそこにあると思います。
自然淘汰の世界で生き残れなかった殆どの命ではなく、少数ではあっても確かに生き残った命こそが喜びです。
以前にも述べましたが、「法人格」というのは、団体が社会的活動をし易くするための道具(ツール)です。そして道具(ツール)にしかすぎません
何らかの社会的活動がしたいと、法人格という道具を取得することを欲する人には、“がんばってね”とその道具を渡して使ってもらうのが所轄庁の役割です。
もとより、道具はもらったものの、それをうまく使えない団体、ほったらかしにする団体などいろいろの団体が出るでしょう。でも、それで良いではありませんか。
何十分の1か何百分の1かは分かりませんが、県庁の★さん、現職の所轄庁さんの手で、確かな命が生み出されているではありませんか。
生まれたたくさんの命がどう生き延びてどう育つのかは、もっぱらその命自身の問題です。“大きくたくましく育ってね”と念じるしかありません。
すっかりグレれてしまい、「NPO法人格を取得したら、『ハイサヨナラ』で事務所の連絡先すら教えない法人もあり、自主性と勝手気ままを勘違いしている法人もなきにしもあらず」でしょうが、それも多様な命のあり方です。
さて、県庁の★-さん
「また、書類に不備がある法人は放っておけば良いとおっしゃいますが、確かにそうなんですけど、また、逆に県が閲覧として出しているのだから、正式なものだ、完璧なものだと考え、『こんなヘンな書類を県は閲覧していいのか?』となんで私らがこんなことで文句言われなきゃいけないのだ・・・ということもあります。」
とのことですが、そんなときほど所轄庁の“ビジネスチャンス”です。
そもそも、そのような文句は明らかに制度趣旨の誤解から来ています。そんなとき、「団体のありのままの姿を知ってもらうために、『ヘンな書類』であってもそのまま閲覧してもらうようにしているんです。」と説明し、その誤解を解くようにする必要があります。誤解する人は、少なくとも何らかの関心がある人ですから、“待ってました!”とその人をつかまえて、よーく制度趣旨を説明してあげると良いと思います。そうすることにより、一人でもNPO法人について理解者が増えたら、とても愉快なことです。
「現職の所轄庁」さん
「ただ、現実を見ていると、自分の仕事が世間の役に立っているとは実感でき ません。」
と書いておられますが、それは間違いです。あなたは、海に帰って育つ前に消えていった稚魚ばかりを見ています。少しではあっても、確実に育っている命のことを忘れています。
NPOのない日本と、NPOのある日本とどちらが良いと思いますか。私はもちろんNPOのある日本の方がずっと良いと思います。あなたは、そのよりよい日本を作る一つの役割を果たしているのだと私は考えます。
「所轄庁の仕事は、福祉のケースワーカーみたいな仕事だと日々感じています。」と書いておられますが、なるほどと思いました。
定足数の問題から議論がどんどん離れていきましたが、大変有益な議論だったと思います。公認会計士の岩永清滋さんのような考え方も大切ですし、私としては賛同するところが多くありました。
また議論しましょう。
弁護士 浅野晋
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
nogami 投稿日:2006/01/25(Wed) 11:44:00
No.5548
いろいろコメントいただきありがとうございます。
認証手続きを進めていて都に相談している担当者から連絡があり,
1.解散するときは、正会員総数の4分の3以上の承諾を得,所轄庁
の認証を得なければならない。
2.合併しようとするときは、総会において正会員総数の4分の3以
上の議決を経、かつ、所轄庁の認証を得なければならない。
と,都は指導し,そうでなければ認証しないとのことです。
私の今関わるNPO法人(大阪府認証)は
・総会において、出席正会員の4分の3以上の議決を得て、解散する。
としているのですが,都の差し出がましさに,怒りを覚えています。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
nogami 投稿日:2006/01/25(Wed) 13:50:00
No.5549
補足します。
類似の課題で取り組んでいる方が,昨年7月に東京都認証のNPO法人の
認証を受けました。
未だに正会員募集などの広報をしないので,不思議に思って,理由を訊ね
定款を見せてもらいました。
総会定足数が,正会員の1/2で,入会金5,000円,年会費6,000円で,解散・
合併要件は,正に5902と同じでした。
で,会員募集の広報をしない理由(の一つ)は,正会員が増えると,総会の
1/2がクリアできない可能性が心配なので,あえて広報を控えている…
とのことでした。
こんなことって,あって良いものでしょうか?
NPO質問箱で検索してみると,4461などでも,同じような事例相談があっ
たんですね。その後どうされたのでしょうね。
5901は削除されていますが,確か「結果が出て裁判で争うことはしたくない」
との内容だったように思いますが,私はしたくない,というより,エネルギー
を割きがたい,って感じです。
裁判は時間もかかるし,取りあえず,行政評価局に申し立てようかな,と思っ
ています(地方自治体への苦情相談も可と聞きましたので)。
http://www.soumu.go.jp/hyouka/tizu.htm
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
4461の質問者です 投稿日:2006/02/07(Tue) 11:49:00
No.5550
> NPO質問箱で検索してみると,4461などでも,同じような事例相談があっ
たんですね。その後どうされたのでしょうね。
4461にて相談をさせていただいた者です。報告が不十分ですみませんでした。
結論から言うと、都の「超法規的な指導」に従い、総会定足数については
「1/2以上」とした上で認証を受けました。
定款を作る担当者としてNPO法についてもそれなりに勉強し、また内部の議論
も重ねた上で、会の実情に合い、かつ法にも適合した定款案を作りあげてきた
自負があったので、正直悔しいところでした。また、市民活動の健全な発展
のためにも、ここで折れてしまってよいものか悩みました。
しかし、認証予定時期の数ヶ月後には区からの事業受託も控えており、ここで
一時的にでも「不認証」の判断を受けるわけにはいかない、と判断しました。
争うとしても、「いったん認証を受けた上での定款変更」等の状況下でないと
会にとってのリスクが大きすぎました。
実情からすると、「今はまだ」1/2以上としておいても問題なく運営できる
状況にあります。ですが会が想定している発展を遂げた時には、この点が
よりよい運営の障害になることが出てくるかもしれません。その時には、
あらためて「1/4以上」として定款の変更を申請したいと思います。
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2006/01/26(Thu) 12:54:00
No.5551
まったく同感です。「都の差し出がましさ」とありますが、むしろ「都の横暴さ」といった方がぴったりするように思います。
解散も合併も、その決議は原則は「社員総数の4分の3以上の多数」で決議しなければならないことになっていますが、法律上はどちらも定款の定めによりこの数を増減することができると定められています。
①解散の場合 特定非営利活動促進法第40条により民法第69条を準用
(民法第69条)「社団法人は、総社員の4分の3以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
②合併の場合 特定非営利活動促進法第34条
「前項の決議(注:合併のための社員総会の決議のこと)は、社員総数の4分の3以上の多数を持ってしなければならない。但し、定款に特別の定めがあるときは、この限りでない。」
このように、解散の場合も合併の場合も、その議決に要する社員数については定款で別に定めることができるとはっきり書いてあります。
従って、都の指導がおっしゃるとおりだとしたら、都は法律の明文の定めを蹂躙するとんでもないことをしていることになります。
都の横暴に対しては、そろそろ私たちが声を上げなければならないような気がします。ほかにも、都の横暴な「指導」を経験した方がいらっしゃったら、是非その内容をお教え下さい。
弁護士 浅野 晋
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
nogami 投稿日:2006/01/26(Thu) 13:13:00
No.5552
> 都の横暴に対しては、そろそろ私たちが声を上げなければならないような
気がします。ほかにも、都の横暴な「指導」を経験した方がいらっしゃった
ら、是非その内容をお教え下さい。
ご返事ありがとうございます。
実は,もう一つ
第2条 この法人は、主たる事務所を ○○ に置く。
とある私立大学の住所にして,そのある講座を事務所にする
ことにしていました(学術関係ではよくあることです)。
そしたら,学長の公印が必要との指導があり,
そこまではしたくないので,仕方なく理事長予定の個人宅としました。
事務所は ○丁目 だけでも可と聞いていましたし,
私の関係する大阪のNPOでは,丁 番だけで 号は入れていません。
これも横暴なのではないでしょうか?
Re: 東京都認証NPOの総会定足数が1/2なので中間法人に,との意見があり困っています 投稿者:
nogami 投稿日:2006/06/17(Sat) 23:29:00
No.5553
> 東京都認証のNPO法人を準備していて,私も理事のお誘いをいただいていますが,
> 東京都は近年,認証条件として,総会定足数を正会員の1/2でないと認めないこと
> にしているので,会員数百人を予定しているため,1/2定足数は困難な可能性がある
>
> 3.一つの方法として,会員を 正会員(NPO法における社員,会費2~3万円)
> 一般会員(5~6千円)として,正会員を絞り込むことにし(実際は理事など
> 役員他)とすれば,定足数の問題はクリアできるかとも考えますが,
この件で,今年1月に,コメント・ご助言ありがとうございました。
6111でも,都の指導の書き込みがありましたし,その後を報告させてい
ただきます。
定足数は正会員の1/2で,
(1)正会員 この法人の目的に賛同し、運営に参加する個人及び団体。
(2)一般会員 この法人の目的に賛同し、活動に参加する個人及び団体。
として,上記3の方向で進め,先般,都の認証を受けました。
(皆さま,ありがとうございました!)
当初,正会員の定義づけは別表現でしたが,認証期限間際になって,
一般会員と区別せずに,両方をくくって正会員としたら,という指導と,
「目的」についても,もっと軟らかい表現にするよう,指導がありまし
た。
しかしそれでは,定足数がクリア出来ない不安があるし,ミッションを
軟化し,あいまい化させるのは,NPO設立に禍根を残すので,表現に
工夫を加えました。
(認証しなければ争うことも考えましたし,婉曲にそうも伝えました…)
「目的」の軟化については,縦覧の時に,どこかからか横槍が入ったの
かな,って印象を受けましたが,実際にそんなことってあるのでしょう
か?