理事の辞任日に関して 投稿者:
深田 投稿日:2006/02/06(Mon) 02:38:00
No.5622
NPOの運営に関わっております、深田と申します。
役員の辞任に関して質問させてください。
役員の一人(任期は6月まで)が12月にやむ負えない事情から
辞意を表明し、会長へ辞任届けを提出し、
実質的な法人運営からも退きました。
定款の中には以下のような規定があります。
「役員は、やむ負えない事業に限り、社員総会への届出を以て任意に辞任する事ができる。」
役員選任の権限は社員総会にあります。
それに従い、3月に社員総会を予定しており、そこで当該役員の辞任に関して
報告する予定でおります。
このような場合、登記上の辞任日は12月の辞任届の日付に
なるのか、社員総会で報告された日付になるのか
どちらでしょうか。選任と異なり、辞任に関して
社員総会の承認は必要ではなく、任意に辞任することが
できると記載されていることから、登記上の辞任日も
辞任届の日付になると思いますが、教えていただければと
思います。
なお、上記の疑問から、役員変更の登記申請を行う際の
添付書類として社員総会議事録が必要かわからず、
まだ役員辞任の登記変更は行っておりません。
Re: 理事の辞任日に関して 投稿者:
かずくま 投稿日:2006/02/16(Thu) 11:33:00
No.5623
辞任の効果が法的にどうであるかは、検索で「辞任」を探すとヒントが見つかりますが、定款は法人の憲法ですから、この場合はそれに従うしかないと思います。
したがって、3月までは辞任できないし、その議事録がないと、登記の変更ができないと思います。
でも、変な感じもします。例えは良くないですが、不幸にも事故にあって面会謝絶の状態になったときでも、勤務する会社から突然海外勤務を命じられたとしても、ずっと役員です。これが代表者だったら、法人は空転してしまうんじゃないかと。
ついでの機会ですから、これでいいのかどうか総会で審議して、定款変更をお考えになってはいかがでしょうか。あまり条件を軽くするのもどうかと思いますが、定数を割らない限りは、ある程度の融通がきくような定款の方がいいのでは?
ウチの定款にはそこまで明記していないので、規則で決めてるんじゃないかと思いますが、すいません、今はわかりません。
Re: 理事の辞任日に関して 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2006/02/19(Sun) 11:17:00
No.5624
深田さん
1、法人とその役員とは民法上の「委任」の関係に立ちます。そして民法第651条1項は「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」と定めていますから」から、原則として役員はいつでも辞任ができます。
ただ、委任契約で「一定の期間は辞任できない」とか、辞任の自由を制限する定めを置くことは自由ですので、そのような定めがあればそれに拘束されることになります。
2、しかし問題は、「役員は、やむ負えない事業(「事由」?)に限り、社員総会への届出を以て任意に辞任する事ができる。」という定款の定めが、そのように辞任の自由を拘束する趣旨の定めかどうかです。ただ、この定款の趣旨は明確ではありません。
3、この定款の趣旨については、
①辞任の意思表示を受領する権限があるのは「総会」であるので、総会への「届出」という形式で辞任の意思表示をしないと辞任の効果が発生しないという趣旨の定めである。
②辞任の意思表示は代表理事なり他の理事にすればよく、ただその後、理事が辞任したことを任命権者である総会に対し明確にするため、総会にその旨の届け出をするという趣旨の定めである。
といった解釈が可能です。
4、私は、合議体である総会が辞任の意思表示の受領権限者というのはおかしいように思いますし、また、そもそも総会に届け出をしないと辞任できないという定めにどのような合理性があるのか疑問ですので、上記?の考え方をとります。
従って、辞任日は12月ということになります。
5、定款について様々な解釈が可能なとき、現実の運営上どの解釈をとるかについては、原則として私的自治に任されています。理事会でこの解釈について議論をして、団体としての考え方を決めて差し支えありません。
そのことについて対立があり、決着がつかない場合には、最終的には裁判所が決めることになりますが、もちろんそこまで行かず自分たちで解決することが望ましいのは当然です。そして、そのような疑義があるときは、疑義が生じないよう定款の改正をするというのも正しい対処法であると思います。
弁護士 浅 野 晋
Re: 理事の辞任日に関して 投稿者:
かずくま 投稿日:2006/02/20(Mon) 18:02:00
No.5625
横からすみません。
単純なことかもしれませんが、この場合に、法務局にはどうやって辞任を届けるのでしょうか。
12月の辞任届と、3月の総会議事録を添付して、12月をもって辞任できるのでしょうか。
すみません、同じような事例に関わったことがないので、後学のためにご指導ください。
追伸
他の発言で多くの法的なご指摘をいただき感謝します。勉強になります。
Re: 理事の辞任日に関して 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2006/02/21(Tue) 15:59:00
No.5626
辞任届が当該NPOに到達したときが辞任の日ですから、辞任の日は12月ということになります。
定款にある「総会への届け出」は、単なる事後的報告であると解しますので、辞任に伴う役員変更登記の添付書類は辞任届だけであり、総会の議事録は必要ありません。
弁護士 浅 野 晋