NPOWEB

いつも参考にさせてもらっています。
今回は、私のお客さんからの問題について、皆さんに御教授いただきたく。
昨夏、とある資産管理会社の社長Ｋ氏から依頼がありました。
「ＮＰＯを設立して、会社が現在行っている任意後見等の個人部門を事業承継させたい、ひいてはＮＰＯの設立申請がしたい」とのことでした。
所轄庁との折衝や必要書類の起案等を、私が代行いたしましたが、定款や事業計画案の決済はＫ氏が行っていました。
このＮＰＯ申請に当たっては次の２つの問題点があります。
①Ｋ氏は、ＮＰＯ申請前からＫ氏個人名ではなく、自分の会社名義で事務所予定地を賃借していましたが、申請に際して「自分は設立代表者にならない。監事をやる」と言い、現に設立総会で監事就任を承諾していました。
　しかし、設立総会でＫ氏の会社から設立代表者Ｍ氏（この方は、申請直前に、事情がよくわからないままＫ氏に誘われて参加することになった高齢者です）に対して、上記事務所の賃料債務の承継等の正式な要求はありませんでした。
②申請に必要な社員・役員予定者として、Ｋ氏の誘いに応じて設立総会に参加したメンバーに対して、Ｋ氏は今年３月末の認証までに正会員になって入会金１０万円払える人を集めて来い、と要求しだしました。

　設立メンバーは、もともとＫ氏が中心となって活動するものと思っていたこと、具体的な活動を何も行っていないのに高額な入会金を集めることはできないので、Ｋ氏のプランに反対する者が大多数となりました（当然ですが）。
その結果、設立メンバーから皆抜けて、新たに任意団体を作って、そこから自分たちのやりたい活動をしようということになり、Ｋ氏と袂を分かつことになりました。
　この場合、申請時の役員就任予定者が抜けてしまうので、申請取下げになりますよね？

　最大の問題は、このトラブルにおいて、Ｋ氏が「事務所予定地として既に賃借してある物件の債務はＮＰＯで使うよていだったのだから、設立メンバーで個人保証してもらう」と難癖をつけてきていることです。
　申請取下げ自体は、代表者になっているＭ氏が単独で可能だと理解しておりますが、設立代表者でない者が、支出した費用について設立メンバーが負担しなければいけないのでしょうか？
私は、Ｋ氏の言い分には全く法的根拠がないと思うのですが、組合契約とかが成立しているとすれば、設立メンバーの個人負担の可能性があるのでしょうか？
　皆様、ご意見よろしくお願いいたします。

タカシ さん

１、まず「最大の問題は、このトラブルにおいて、Ｋ氏が『事務所予定地として既に賃借してある物件の債務はＮＰＯで使うよていだったのだから、設立メンバーで個人保証してもらう』と難癖をつけてきていることです。」との点ですが、「難癖」とおっしゃるとおりで、法的には個人保証をする必要性もなければ義務もありません。Ｋ氏の難癖に対しては「何を馬鹿なことを言ってるの！」と内心思いながら、知らぬ顔で無視しておけばよいと思います。

２、設立費用としてどのような支出がなされていたかわかりませんが、お書きになった経緯からすると「組合契約」なんてことを考えるようなことではなく、Ｋ氏が負担するべきものであると思います。従って、仮にＫ氏から請求があっても、上記１と同じく「無視」しておけばよいと思います。
なお、事務所として予定していた物件の賃料は、設立途上のＮＰＯ法人が賃借したわけではありませんから、設立費用にならないことも当然です。

３、以上のとおり、Ｋ氏の要求に対しては「無視」または「断固拒否」という姿勢で臨まれたらいかがでしょうか。

弁護士　浅　野　　晋