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事業用定期借地 投稿者:フリージア 投稿日:2006/03/06(Mon) 10:42:00 No.5728
定期借地の中の、事業用定期借地に、グループホームは
建てられますか。
事業用の使用のみで、居住用には認められないとあります。
建築指導課では建ぺい率等が守られていればいいとのことですが、
その見解で大丈夫でしょうか。
よろしくお願いいたします。
Re: 事業用定期借地 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/03/13(Mon) 14:06:00 No.5729
フリージアさん

1、この問題は、行政法規が適用される場面と、私法が適用される場面とに分けて考える必要があります、

2、質問の中に「建築指導課」とありますので、フリージア さんは建築基準法の建築確認手続が通るだろうかという事がご心配のようです。
  建築基準法は、建物の安全性等の観点から建物の構造等について一定の基準を定めており、その基準に満たない建物は建築確認がなされませんので、建築ができません。
このように、この建築確認の問題は「行政庁対私人」の問題です。

3、他方、「事業用定期借地権」というのは借地借家法第24条の事業用借地権のことであると思われますが、これは私人間の土地利用権に関する私法上の定めであり、「私人対私人」の問題です。  

4、借地借家法第24条に定める事業用借地権は「……は、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的と……」するものに限られています。
  そして、ご質問の「グループホーム」というのは、居住用の建物の供給が事業としてなされるということですから、事業用の借地権の対象から排除されていると解されます。
  つまり、グループホームを建築する目的で事業用借地権設定契約を締結することはできないと思われます。(なお、この法律の国会での審議の際、建物の一部に寮がついているといった、恒常的に寝泊まりに利用される施設が確定的なものとして設置されているケースは、事業用借地権の対象とならないと説明されています、)

5、従って、グループホーム建築目的では事業用借地権は設定できませんが、そうだとしてもこれは「私人対私人」の問題ですから、「行政庁対私人」の問題である建築基準法上は、その建物が建築基準法の要件に合致していれば建築確認がなされ、建物の建築自体は可能ということになります。
すなわち、建築確認がなされたからといって、私法上の問題である事業用借地権設定についてもOKとなるわけではありません。

6、なお、事業用借地権として無効であっても、一般の借地権としては有効であると思われますので、例えば一般の借地権の場合には更新ができるなど、借地人にとっては有利となるかもしれません。
  もっとも、事業用借地権の設定契約は公正証書によってしなければならないことになっていますので、公証人のところでチェックが入り、事業用借地権の設定契約ができないというのが、最もあり得るケースです。
                                  弁護士 浅 野  晋

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