従たる事務所と支部の違い、もう一度教えてください。 投稿者:
jcp 投稿日:2006/03/14(Tue) 13:36:00
No.5744
いつもお世話になっております。
私どもは、東京都内に事務所を置くNPO法人です。
最近関西方面の活動が活発になってきたため、関西に支部を置いて独立採算制にしたいと言う希望が出てきました。
できれば事務所も借り、従業員も置きたいと思っています。
No.153で、轟さまのご回答を拝見したのですが、実態として事務所があるのにそれを従たる事務所として申請しないと罰則の対象となるかも・・・
とのご説明でした。
理事の中で、定款を変更してまでの従たる事務所の設置に消極的な人がいて、会社でも支社を登記せずに設けているところがある、と言うのですが、
それは可能なのでしょうか?
支部を設けたい大きな理由は、地域での活動の際、支部長印で速やかな決済が行える、いろいろな契約ができる、ということが最大の理由です。
変更登記せずに支部を作るだけで済むならそれに越したことはないのですが、支部長印に効力が生じないのであれば意味がありません。
また、法令違反をしてまで手間を惜しむものでもありません。
適切な対処法をご教示いただけましたら幸いです。
Re: 従たる事務所と支部の違い、もう一度教えてください。 投稿者:
シーズ・轟木 洋子 投稿日:2006/03/24(Fri) 16:05:00
No.5745
JCPさん、
61番では、民法総則から次の文章をご紹介しました。
「事務所とは、事業活動の中心である一定の場所をいう。一般的に、法人の代表権を
有する者、少なくともある範囲の独立の決定権を有する責任者の所在する場所であり、
かつ、その場所で断続的に業務が行われることを必要とすると考えられる。そして、
このような事務所のうち、最高首脳部が存し、中枢となる事務所が主たる事務所であ
るといわれる」
また、48番では、日本評論社の「NPO法コンメンタール」から、次の部分を引用しま
した。
「しかし、本法人(注・NPO法人のこと)になろうとするものによっては、理事が
常勤でなく、また、理事会も適宜場所を定めて開催する団体など、最高首脳部が常勤
せず、『存する』とはいえない場合もあり、また、事務を処理する場所あるいは連絡
の中心しか有しない場合も多い。したがって、このような実態からして、本法人が設
立認証の申請をした団体が、事務所として定款で定めたところを事務所と見ざるをえ
ない。そして、そのなかで中心となる事務所を『主たる事務所』と見ざるをえないで
あろう。なお、上述のとおり、主たる事務所には事業報告書などを備置しなければな
らないので、主たる事務所といえるには、そのような物的設備が存しうる必要があろ
う」
つまり、48番では、たとえば小さなNPO法人などで、事務所とする場所に決定権
を有する者(理事など)がいないようなこともあるため、民法総則の考え方を必ずし
もあてはめることができず、法人が定款で事務所として定めたところを事務所と見ざ
るをえない、ということでした。
JCPさんのご質問はこの逆で、民法総則でいうところの事務所が実態としてあるに
もかかわらず、それを事務所として定款に記載したり、登記しなくてよいのか、とい
うことですね。JCPさんの文章を読むと、おつくりになられる支部は、どうみても
事務所にあたると思います。定款と実態が異なっているということになりますと、前
にも書いたように「罰則の対象になるかも」ということ以外にはなんとも言うことが
できません。
一般企業のなかには、JCPさんの法人の理事さんがおっしゃるように、実態として
の事務所があるのに、それを登記していないところもあるかもしれませんが、それが
絶対的に正しいこととは言えないでしょう。
なお、「支部長印」と書かれていますが、支部長には理事のお一人がなられるという
ことでしょうか。NPO法人の理事は全員が代表権がありますから、複数の理事の印
鑑を登記所に届けておくことは可能で、正式な契約については、その印鑑で契約をす
るということであれば問題ありません。
シーズ・轟木 洋子