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東京都の指導を受けました 投稿者:やぼ 投稿日:2006/03/24(Fri) 16:46:00 No.5774
初めまして。
東京都で次のような指導を受けました。少し長くなりますが掲載お願いします。
「 」内は当方の原案。→は東京都の「指導」。

(事務所) 
「事務所を○○市に置く」
→何町何番何号までキチンとかくこと。

(目的)
「日本、甲国両国の・・・文化等について・・・を活用することにより両国民の相互
理解に貢献すると共に、両国の日系人の教育等へのサポートを推進し、もって平和で
安心な社会を実現することを目的とする。
→「○○を対象として、□□のために、よって△△」という文章にすること。「○○
を対象として」の文言がないからそれを入れること。だれを対象としているか分から
ない。

(事業の種類)
「特定非営利活動に係る事業として、次の事業を行う。・甲国の考古学情報の紹介、
・甲国の古代遺跡調査等の支援、・日本にいる日系甲国人の教育等の支援、等々」
→考古学情報の提供が両国の何の役に立つのか不明だ。

「前項のほかに次の事業を行う。・イベントの企画・実施、・翻訳等、・物産の販売、
等々」
→これらのその他事業が本当に必要かどうか分からない。予算書で判断するので、次回
は予算書を持ってくること。

(会員)
「その他の会員 理事会が別に定める会員」
→理事会で定めるのではなく、定款で定めること

(入会)
「理事長は、入会申込者が法人の目的に賛同し活動に協力できる者と認めるときは、
正当な理由がない限り、入会を承認する」
→条件は定めないこと

(入会金および会費)
「理事会において定める入会金および会費を納入しなければならない。」
→総会で定めること

10条(除名)
「理事会の議決を経て除名することができる」
→総会で行うこと

(役員)
「次の役員を置く。 理事3人以上」
→人数の上限を定めること

(総会の開催)
「臨時総会は、正会員総数の10分の3以上から・・・請求があったとき開催する」
→5分の1以上とすること

(公告)
「官報に掲載して行う」
→法人の掲示板および官報に掲載して行う、とすること

49条(細則)
「この定款の施行について必要な細則は、理事会の議決を経て理事長が定める」
→細則も添付すること

上のような「指導」を受けましたが、どこまでそれに従うべきか迷います。
行政の指導や不認証に不服なら裁判をすればいいではないかと言われても、我々には
時間的にも資金的にもそれはできません。結局は、悲しいかな、「指導」に従うしか
ないのかもしれません。何か良い知恵があったら教えてください。

個人的感想:
多様な価値観で展開する今の社会に対して、今まで「公益」を独占していた行政が、
感性的にも財政的にも対応し切れなくなって、一般市民のお力をお借りしたい、とい
うのがNPO法の意味ではないでしょうか。にもかかわらず、どこまで法令に根拠が
あるのか分からない基準を突きつけて、このとおりに書きなさいという「指導」は、
とても押し付け的で高圧的でした。このような型はめ的思考こそまさに、NPO法の
趣旨に反する考え方ではないかと思います。行政はNPO法を団体取締法的に捕らえ
ているのではないかとさえ思います。
同じ法律で同じ法律要件なのに、すでに設立された法人については事務所記載は市区
まででよいとされ、これから設立する場合は番地まで記載しないと認証されないなん
てことが許されるのでしょうか?
Re: 東京都の指導を受けました 投稿者:nogami 投稿日:2006/03/24(Fri) 20:55:00 No.5775
東京都は,あれこれうるさく口出しをする所なんですよ。
5877とそのツリーをご覧ください。
Re: 東京都の指導を受けました 投稿者:やぼ 投稿日:2006/03/27(Mon) 04:09:00 No.5776
nogami様
ありがとうございます。皆様のやりとりを全部読ませてもらいました。
法ができた頃シーズの講習を聞き、この法は今までの法と違い、認証の
要件はすべてこの法の中で書き切ってあり、行政がこれに付け加えらる
ものは一切ないと熱っぽくお話されていたのを印象的に覚えています。
あれから8年。様変わりの感です。都の特定非営利活動促進法施行条例
やその規則を読んでも、独自の基準あるいは解釈基準を設けることに関
する規定は何も書かれていません。にもかかわらず実際にはああだこう
だと付け加えられています。
しかし非力な私たちは、ただそうですかそうですかと「ご指導」に従う
しかありません。この「ご指導」の高い壁を突破するには、シーズの皆
様のあの頃のような熱い行動力に期待するしかないように思います。
Re: 東京都の指導を受けました 投稿者:十字峡 投稿日:2006/04/05(Wed) 11:56:00 No.5777
最近所轄庁に申請に行く機会がありました。
細かい点はいくつか指摘されましたが、「指導」めいたことは次の点だけでした。
”理事会の表決に関して、欠席する理事が代理委任をすることは、理事としての責務からすればどうか?”という点でした。
指摘にもっともな点もあったので、協議して修正することとしました。
その他は下記の点も含めて問題なかったです。

> 「事務所を○○市に置く」→指摘なし

> 「理事長は、入会申込者が法人の目的に賛同し活動に協力できる者と認めるときは、
> 正当な理由がない限り、入会を承認する」 →指摘なし

> 「次の役員を置く。 理事3人以上」→指摘がありましたが、これで行きますといったところOKでした。
 
団体の定款は、絶対的記載事項以外は法律の範囲内であれば、団体で決めればよいのです。
所轄庁が運営するのではないので団体の運営しやすいようにすれば良いと思います。
「5877」も拝見しましたが、私見ですが東京都はやりすぎだと思います。
Re: 東京都の指導を受けました 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/04/09(Sun) 11:15:00 No.5778
やぼ さん

もっと早くお答えしようと思いながら、延び延びになっていました。

1、目的の記載について
   ・都の役人は、文章の読解力が全くないようです。「○○を対象として」という文言を書かなくても、この定款の記載自体から、その対象が「日本と甲国の両国の国民」ということが明らかです。
・都には、自分の頭では何も考えることをせず、「鋳型」にはめないと満足しない、「愚か」で「怠惰」で「傲慢」な役人がいるということが、改めてわかりました。
2、事業の種類について
   ・この「指導」については、あきれるというより怒りを覚えます。
   ・「文化」が「役に立つ」かどうかで判定できるわけがありません。
3、「前項のほかに次の事業を行う。・イベントの企画・実施、・翻訳等、・物産の販売、等々」
   ・これらの事業が必要かどうか、都が介入する「必要」がありません。余計なお世話です。たぶん、こんなことにまで口をはさんで「権力」を見せつけたいのでしょう。その精神の貧困に、あきれます。

4、会員の定め方について
   ・構成員たる「社員」以外に、どのような「会員」を作るかは、その団体の自   由ですし、またそのことは定款で定めなければならない事項ではありません。
・この「指導」も、たぶん、「権力」を見せつけたいのでしょう。
5、入会の定めについて
   ・特定非営利活動促進法第2条2項1号が定めているのは、」「社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。」ですから、「不当」でなければ条件を付しても良いわけです。
・入会申込者が「法人の目的に賛同」していることについても、「活動に協力できる者と認めるとき」ということについても、仮にこれが「条件」であるとしても、これらはなんら「不当」なものではありません。団体として、このような人だけに入会してもらいたいとすることは、むしろ当然のことです。
   ・都の役人は、恐らく特定非営利活動促進法を読んでいないのでしょう。

6,除名について
   ・法律上、社員の除名については総会の決議事項となっていませんから、定款で自由に決めることができます。
・都の役人は、恐らく特定非営利活動促進法を読んでいないのでしょう。
7、役員
   ・役員の人数については、定款でその定めをおかないことも許されますし、また「○人以上」と定めることも許されます。特定非営利活動促進法、民法では上限を定めることは義務づけられていません。
・上限を定めない場合、改選期において選出された役員の数が、その期の役員数となります。それだけのことです。
   ・都の役人は、恐らく特定非営利活動促進法を読んでいないのでしょう。
    
9、総会の定足数について
   ・エエエ??都はまた「変節」したのでしょうか??
   ・総会の定足数について都は、当初は5分の1以上でも良かったのですが、その後「2分の1以上」とか「過半数」とかでないと認証しないという馬鹿な指導をしていました。それが、また「5分の1」なったのでしょうか???
   ・総会の定足数については、特定非営利活動促進法にも民法にも定めがなく、定款で定足数の定めをおかないことも、定足数を例えば「○人以上」とか、「社員総数の100分の1以上」とか「社員総数の1000分の1以上」となにすることも自由です。ただ、総会は会議体ですから、「会議」ができる人数は必要だろうということで、さすがに定足数を「1人」とすることについては有効か無効かの議論があります。
・都の役人は、恐らく特定非営利活動促進法を読んでいないのでしょう。

10、公告の方法について
   ・「官報に掲載して行う」だけで有効です。
・都の役人は、恐らく特定非営利活動促進法も民法も読んでいないのでしょう。
11、細則について
   ・細則は後日定めればよいのであって、定款作成時にできている必要はありません。できていなければ添付できませんし、またそもそも認証申請に際し施行細則を添付せよということは特定非営利活動促進法には定められていません。
   ・都の役人は、恐らく特定非営利活動促進法を読んでいないのでしょう。

 以上の通りです。
 
 やぼさんの「個人的感想」については、私も全く同感です。
 NPO法の制定趣旨を全く理解せず、また法律を読みもしないで「権力」だけを振り回す都の役人の「横暴」、「無知」にはあきれてしまいます。都は、NPOの活動を「促進」するのではなく「弾圧」しようとしているのではないかとすら思ってしまいます。
   弁護士 浅野 晋

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