収益事業に対する寄付に対する課税 投稿者:
たろう 投稿日:2006/04/05(Wed) 19:20:00
No.5814
続けてよろしくお願いします。
収益事業に対する寄付に対しては課税されると
理解しました。(法人税)
ただ、この場合、収益事業に対する寄付かどうかを判断するには
どうすればよいのでしょうか?具体的には以下のケースを想定しています。
(1) 使途を限定せずに寄付を募集した。
事業はいくつかの収益事業と、会員事業で構成されている。
(2) 「パキスタンでのマイクロファイナンス事業」(例)に主にあてるために
寄付金を募集した。マイクロファイナンスは金銭貸付業に該当する。
日本での広報方法は「パキスタンの村人たちを応援しよう!」という形で
実施した。
実際の経費としては、他の保健衛生活動費用などの非収益事業と共通する
事務局費用に4-5割計上され、残りがマイクロファイナンスの原資となる。
よろしくお願いします。
(1)は今年度の決算を作るうえで、(2)は今後のキャンペーン手法と節税(笑)の
ために検討することが必要となっております。
Re: 収益事業に対する寄付に対する課税 投稿者:
公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/04/10(Mon) 10:02:00
No.5815
たろうさん
>
> (2) 「パキスタンでのマイクロファイナンス事業」(例)に主にあてるために
> 寄付金を募集した。マイクロファイナンスは金銭貸付業に該当する。
そもそも利息をとられるのでしょうか。無利子貸付であれば利益の余地がないので
収益事業ではないと思うのですが・・・・
Re: 収益事業に対する寄付に対する課税 投稿者:
たろう 投稿日:2006/04/11(Tue) 18:52:00
No.5816
お返事ありがとうございます。
利息をとります。
その利息で現地組織は運営する予定になっています。
したがって、税法上の収益事業に該当すると考えています。
Re: 収益事業に対する寄付に対する課税 投稿者:
公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/04/12(Wed) 10:07:00
No.5817
たろうさん、岩永です。
金銭貸付業に該当することは理解致しましたが、その場合実際にもらう受取利息は収益事業の
収益となり、現地経費などその利息から支払う費用は必要経費になることは、疑う余地は
ありません。
しかし問題は、金銭貸付の原資である元本とするための寄附が収益事業の収益となるか
否かです。仮に課税されるとなると、国内でもらった寄附金に先に税金が課税されて
税引き後の金額しか、貸付に当てられないことになります。これでは寄附の趣旨が
半減します。
通達15-2-12によれば下記のように書かれています。
「収益事業に係る収入又は経費を補てんするために交付を受ける補助金等の額は、収益事業
に係る益金の額に算入する。」
この意味は、たろうさんがおっしゃる現地経費を補填するためにもらった寄付金は収益
とするということであり、貸付金の元本とするための寄附金を益金とする趣旨ではないと
思います。
このことを明確にするために下記のようにする方法が良いでしょう。
①寄付金を募集するとき、現地の非営利活動に当てる目的と、現地での貸付の元本とする
目的である旨を明確にする。
②できれば割合などをはっきりさせる。
③寄付金受入は、一旦一般会計などで全額受入れ、貸付金の元本部分を「収益事業元入金」
として収益事業に繰り入れる処理をする。
④収益事業側では、それは一種の資本であり益金には算入しない。
以上の考えでいくと、収益事業の収入は受取利息だけになります。もっともこの考えで
いくと、ここから差引く必要経費は相当限定されたものになります。つまり現地活動費の
全額ではなく、金銭貸し付けを行う事務のための人件費や経費に限られます。
このような例は少ない(元々税法ではこのような取引を想定していません)ので、私は
以上のように考えますが、他の方のご意見もお聞きしたいと思います。
Re: 収益事業に対する寄付に対する課税 投稿者:
たろう 投稿日:2006/04/19(Wed) 11:08:00
No.5818
岩永さま
たろうです。
丁寧なお返事ありがとうございます!とても勉強になります。
だいたい理解できたと思います。
一点だけ。
このケースだと、逆に課税対象になる場合、というのはどのような場合でしょうか?
例えば、マイクロクレジットの運用がうまくいかず、追加で元金を入れた場合は
「経費補填」にならないと思うのですが、どうでしょうか?
Re: 収益事業に対する寄付に対する課税 投稿者:
公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/04/24(Mon) 18:40:00
No.5819
たろうさん。お返事が遅れまして申し訳ありません。
> 一点だけ。
> このケースだと、逆に課税対象になる場合、というのはどのような場合でしょうか?
> 例えば、マイクロクレジットの運用がうまくいかず、追加で元金を入れた場合は
> 「経費補填」にならないと思うのですが、どうでしょうか?
「うまくいまかいない」の内容によります。
貸付の利息だけで、貸付に係る経費をまかなえると思っていたところ、経費がかさばって
補填せざるを得ないというのであれば、まぎれもなく経費の補填になりますから
その繰入金は課税対象になります。
そうではなく貸付金の回収金の範囲で新規貸付をしようと思っていたところ
需要が多くて元本がたらなくなったので追加繰入をするというのであれば、元金の
追加ですから課税対象ではありません。
少し微妙ですが、後者のように主張しようと思えばそれなりの証拠が必要です。
融資総額の限度を明文で引き上げるとか、あくまで元本として受け入れたとかの
証拠を残すことです。