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基準とする会計と収支計算書について 投稿者:山口 育子 投稿日:2006/04/19(Wed) 13:23:00 No.5869
1990年から市民グループとして活動し、2002年4月にNPO法人と取得しました「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」で事務局長をしております山口と申します。

じつは、これまで依頼していた会計士のやり方に不安があり、今年度から関係者の紹介で税理士さんにお願いすることになりました。ところが、このお二人の会計処理上の意見が異なり、さらに理事の一人である元学校法人の税務をしていた人とも異なっています。

まず、会計処理にあたって、「NPO法人の場合は公益法人会計を適用する」という意見と「企業会計だ」という意見に分かれています。どちらが正しいのでしょうか。それとも、別の適用すべき会計の方法があるのでしょうか。

それから、収支計算書は損益計算書タイプにするのか、お金の収支のみを記入する計算書にするのかでも、意見が分かれています。それによって、減価償却費を収支計算書の支出に入れるのかどうかや、退職給与引当金の扱いをどうするかが変わってくるようです。

所轄庁に問い合わせたところ、「財産目録、貸借対照表、収支計算書の3種類が揃っていればいいんです」という大雑把な回答しかありません。損益計算書の話をしたら、「何のことですか?」と。また減価償却については「収支計算書に入れている法人もあれば、入っていない法人もあって、いろいろです」と何の参考にもなりませんでした。

どうぞよろしくアドバイスのほど、お願いいたします。
Re: 基準とする会計と収支計算書について 投稿者:税理士 脇坂誠也 投稿日:2006/04/20(Thu) 09:37:00 No.5870
山口さん、こんにちは。

> まず、会計処理にあたって、「NPO法人の場合は公益法人会計を適用する」という意見と「企業会計だ」という意見に分かれています。どちらが正しいのでしょうか。それとも、別の適用すべき会計の方法があるのでしょうか。

NPO法人の場合には、NPO法の中で「収支計算書を提出する」ことは言われていますが、「収支計算書とはどのようなものを指すのか」についてはどこにも定められていません。つまり、NPO法人には会計基準はありません。


> それから、収支計算書は損益計算書タイプにするのか、お金の収支のみを記入する計算書にするのかでも、意見が分かれています。それによって、減価償却費を収支計算書の支出に入れるのかどうかや、退職給与引当金の扱いをどうするかが変わってくるようです。

収支計算書の収入を収益、支出を費用と考えて、当期収支差額を当期利益と考えるのが損益計算書タイプですね。それに対して、収入、支出をもう少し厳密に解釈して、固定資産などは支出時に「支出」とし、減価償却費や退職給与引当金などは計上しないのがお金の収支のみを記入するという方法ですね。
損益計算書タイプを収支計算書と読み替えて良いのかというのは意見の分かれるところですが(つまり、収入を収益と読み替えが可能であるか)、所轄官庁に提出するときは問題ありませんし、公益法人会計も今年の4月からいままでの収支計算書に変えて正味財産増減計算書という損益計算書タイプの計算書を採用しています。
私見ですが、予算対比を重視するのであれば、つまり、総会での報告で昨年決めた予算どおりに執行されたかどうか、あるいは予算と違っていた場合にはどのような理由で違っていたのかを説明することを重視するのであれば、予算対比の(基本的に)現金収支の収支計算書が適当なのかと思います。
予算に縛られず、自由に活動し、その活動でどれだけNPOに残る余剰が出たのかを把握し、説明するのが重要であれば、損益計算書方式の収支計算書が好ましいのではないかと思います。



山口 育子> 所轄庁に問い合わせたところ、「財産目録、貸借対照表、収支計算書の3種類が揃っていればいいんです」という大雑把な回答しかありません。損益計算書の話をしたら、「何のことですか?」と。また減価償却については「収支計算書に入れている法人もあれば、入っていない法人もあって、いろいろです」と何の参考にもなりませんでした。
山口 育子>
山口 育子> どうぞよろしくアドバイスのほど、お願いいたします。
Re: 基準とする会計と収支計算書について 投稿者:山口 育子 投稿日:2006/04/20(Thu) 10:21:00 No.5871
税理士 脇坂誠也 さま

早速のご回答、ありがとうございました。

結局、損益計算書タイプを採用しても、現金収支の収支計算書を採用しても問題はなく、各法人の性格に照らし合わせて選択すればいいということですね。とても明確に理解でき、頭のなかがすっきりしました。ありがとうございました。

今回、会計処理にもいろんな方法があり、また専門家の方にも得意分野があって、経験から適切と思われることをアドバイスしてくださるのだということがよくわかりました。会計のことを詳しく理解できていないと、専門家の意見のどれが正しくて、どれが間違っているのかという考えに陥りがちです。そのため、例えが適当ではないかもしれませんが、半分泳げるようになった人間がプールに放り込まれ、あちこちから「この泳ぎ方がいいよ」「いいや、早く泳ぐにはこの方法」「いえ、泳ぎに求められるのは美です。だからこの方法を」と意見され、本人は溺れかかっている。--そんなイメージでした。

NPO法人ことをよく理解したうえでいただけるアドバイスは実際的で、とても助かりました。心より、お礼申しあげます。ありがとうございました。

COML 山口育子

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