English Page
地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:悩めるオジサン 投稿日:2006/04/21(Fri) 00:08:00 No.5886
皆さんのご意見をお聞かせください。

先日、日経新聞のHPに次のような記事が掲載されていました。
「美瑛町などの「日本で最も美しい村」連合がNPO法人に」
以下、全文です。
 農村の景観や環境、文化を守りながら観光振興などにつなげようと全国7町村が立ち上げた
「日本で最も美しい村」連合(会長・浜田哲北海道美瑛町長)は4日、非営利組織(NPO)
の認証を北海道から取得し法人化したと発表した。
 同連合は昨年10月に、美瑛町のほか、赤井川村(北海道)、大蔵村(山形県)、白川村
(岐阜県)、大鹿村(長野県)、上勝町(徳島県)、南小国町(熊本県)が立ち上げた。
 ロゴマークを使用したビジネスの展開、活動に賛同する個人会員の募集などを進めていく。
 計画では、新たに参加自治体、企業や個人の会員を募集し、会費などを運営資金などに充てる。
すでに5町村から加盟希望があった。
 会員にはロゴ入りの飾り用のパネル(はがき大など)も販売する。
ロゴは山や川、田畑が描かれており、商標登録を申請中。
企業などが商品にマークを付けたい場合は使用料を取るという。 (20:00)

NPO法人は、民間の非営利団体が前提だと思うのですが、地方公共団体がNPOを設立することに
問題はないのでしょうか?
この場合、地方公共団体が、法人として設立に加わる場合と、長が加わる場合があると思います。

特定非営利活動促進法では、地方公共団体やその長が役員や会員になることを禁止していませんから、
「法に書いてないことは可能」との考え方を前提とすれば、認証せざるを得ないのでしょうが、
立法の趣旨からは、釈然としません。
ただ、公共団体といいながら、いわゆる第三セクターとして株式会社を立ち上げることも可能
であることを考えると、つまり、配当を前提とした株式会社でさえ地方公共団体は設立できる
のであれば、もともと公共の利益に資するために設立することが前提となっているNPO法人を
立ち上げることは、何ら問題が無いようにも思えます。
市町村がNPO法人を設立し、その事務所を市町村役場に置く事さえ考えられます。
これってアリですか?
皆さんのご意見をお聞かせください。
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/04/22(Sat) 15:12:00 No.5887
悩めるオジサン さん

全く悩む必要はないようにおもいます。


NPO法人は、民間の非営利団体が前提だと思うのですが、地方公共団体がNPOを設立することに
問題はないのでしょうか?
この場合、地方公共団体が、法人として設立に加わる場合と、長が加わる場合があると思います。
   →何の問題もありません。地方公共団体が設立しても、成立したNPO法人は民間の非営利団体です。
 
特定非営利活動促進法では、地方公共団体やその長が役員や会員になることを禁止していませんから、
「法に書いてないことは可能」との考え方を前提とすれば、認証せざるを得ないのでしょうが、
立法の趣旨からは、釈然としません。
   →どうして「釈然としない」のかよく分かりません。私は、地方公共団体がNPO法人を設立することは、立法趣旨に反するとは思いません。

市町村がNPO法人を設立し、その事務所を市町村役場に置く事さえ考えられます。
これってアリですか?
   →「アリ」だと思います。善し悪しは別にして、ですが。

「法人格」というのは、団体が社会的活動をし易くするための「道具」です。その法人格という道具を、誰でも簡単に取得出来るようにしたのがNPO法です。
従って、誰がNPO法人を設立しようが、一向にかまわないわけです。そして、設立されたNPO法人がどのような活動をするのかは、その法人に委ねられています。
もっと自由に考えたほうが良いと思います。

                              弁護士 浅野晋
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:もくもく 投稿日:2006/04/22(Sat) 16:13:00 No.5888
浅野晋さん
悩めるオジサン さん

 読ませていただいて、そのとおりだと思いました。
 NPO法人をつくるのは誰でもかまわないと思います。
 ようは、その運営の実態や事業内容を見ないと判断できないということでしょう。

 でも、中には、自治体がつくらせ、もしくはつくって、運営も自治体の意向をもとに、
 管理しているようなNPO法人が、あたかも市民の主体的な公益、非営利の活動組織だと
 いう顔をして、行政から委託を受けているようなところもあるのも現状です。
 
 この組織に関わる市民の力のなさにも問題はあると思いますが、市民の自主自立が重
 要なNPOや市民公益活動団体が、そのように扱われていることに、悩めるオジサンは
 疑問をもたれたのではないでしょうか。

 NPO法人制度の趣旨からも、市民が見分ける評価する・・・ということが盛んに言われてきました。
 そのとおりですが、それだけでは・・・
 市民が見分ける、評価する、育てるという文化、仕組みをどう日本につくるかをそろそろ、
 真剣に考えないといけませんよね。

 NPO法人制度は道具ですから、つくることにはなんら問題ありませんが。
 NPOや市民活動といえばNPO法人とまとめて捉えられてしまっている傾向もこういったあまり良くない
 影響につながっているのではないのかと感じます。
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:悩めるオジサン 投稿日:2006/04/22(Sat) 17:17:00 No.5889
ありがとうございます。
お二人の意見もっともだと思います。

検証すべきは、そうした法人の設立よりもむしろ
設立後、その法人に対する市町村からの資金提供や市町村役場の施設の提供方法等
に関する手続きの透明性や他の法人等との公平性に関心を寄せ、きちんと説明責任を
果たしてもらうことになりますね。

ただ、例えば類似の特定非営利活動を行うNPO法人が地元に存在する場合、行政が
競合するNPO法人を設立することは、民業圧迫?につながるように思えるのですが。
(先の北海道の事例では、競合する団体はNPO法人を含め存在しないのでしょうが)
そして、それは、もちろん不認証の理由とならないとは理解できますが・・・

例えになっているかどうか分かりませんが、民間の保育園Aが近隣の市町村にあり、
そこでは地域の乳幼児のキャパを満たしているのに、町がNPOで保育園Bを作れば、
当然保育園Aの経営は難しくなりますよね。
保育園の設立自体は「認可」?ですから現実には、このようなことは起こりえない
のでしょうが、他にうまい事例を思いつきません。すみません。

この場合、NPO法人認証の所轄庁としては、地域の乳幼児の数とか保育園の適性配置
とかを考慮することなく、認証をしなければならない。・・・ですよね。
だんだん、机上の空論みたいになってきたように思えて反省します。

つまり、「認証すべき所轄庁は、そうした内容に踏み込むことなく、書類が満たされていれば
認証せざるを得ない。」
「一方市民は、所轄庁に行政指導を求めるのではなく、所轄庁をとおして認証申請
している団体に説明を求める。」
「認証申請をしている団体は、その声にきちんと答えなければならないし、他方それを
もって申請を取り下げる必要もない。」
「最終的には、地域の人が判断する。」
 という単純な理屈として考えればいいのですよね。ね?
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:もくもく 投稿日:2006/04/22(Sat) 17:56:00 No.5890
悩めるオジサン さん

 この議論に加わった以上、思ったことを書かせていただこうと思います。
 私が先ほど書いた内容は、すこし最初の疑問とはずれていたように思います。
 すいません。

> ただ、例えば類似の特定非営利活動を行うNPO法人が地元に存在する場合、行政が
> 競合するNPO法人を設立することは、民業圧迫?につながるように思えるのですが。
> (先の北海道の事例では、競合する団体はNPO法人を含め存在しないのでしょうが)
> そして、それは、もちろん不認証の理由とならないとは理解できますが・・・

 別に同じようなNPO法人が同じ地域にいくつあってもかまわないと思いますが。
 (ただし、一緒に活動した方がいいようなNPOがいくつもあるというのは別です)
 それぞれのNPO法人の基盤はまちまちです。行政が関わることで、有利な部分
 もあるのかもしれませんが、それも含めて、私たちが選べばいいのではないでしょか。

 大事なことは、自治体がつくったNPOの実際のところの体制や運営、財政・・・だと思います。
 自治体がつくったが、市民の自主、自立性、透明性や公平性があるのなら、それはそれでいいと思いますよ。




> つまり、「認証すべき所轄庁は、そうした内容に踏み込むことなく、書類が満たされていれば
> 認証せざるを得ない。」
> 「一方市民は、所轄庁に行政指導を求めるのではなく、所轄庁をとおして認証申請
> している団体に説明を求める。」
> 「認証申請をしている団体は、その声にきちんと答えなければならないし、他方それを
> もって申請を取り下げる必要もない。」
> 「最終的には、地域の人が判断する。」
>  という単純な理屈として考えればいいのですよね。ね?

 大筋そのように思います。
 ただ、よく「認証せざるをえない」という表現が使われることがありますが、
 そもそも、市民が主体的に自由に公益活動することに、行政が「認証すべき
 ではないように思うが、せざるをえない」という捉え方のできる考え方があ
 ることが、NPO法の理念が社会に広がっていない証拠ではないでしょうか。

 勝手な自分の意見を書きましたが・・・
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:悩めるオジサン 投稿日:2006/04/24(Mon) 21:08:00 No.5891
もくもくさん、ありがとうございます。
だいぶ頭の中が整理できてきました。
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/04/26(Wed) 08:36:00 No.5892
悩めるおじさん さん
もくもく    さん


お二人の議論に共感を覚えます。

「法人格」というのは、人々が集まって社会的活動をしやすくするための「道具」ですし、
また、「道具」にしかすぎません。

その「道具」を必要とする人に、簡単に道具を与えるようにしようというのがNPO法の趣旨です。

ただ、その「道具」の使い道が正しいのかどうかは、全く別の問題となります。道具の使い方が正しくない場合、批判の対象となるのは当然です。

                              弁護士 浅野晋
Re: 地方公共団体が設立するNPOについて 投稿者:悩めるオジサン 投稿日:2006/04/28(Fri) 00:08:00 No.5893
浅野先生、ご意見ありがとうございます。

私自身、やはりNPO法人は「道具」なんだと理解しているつもりです。
ただ、その「道具」を行政が与えている?ところが、やはり問題?ではないかと思います。
内閣府のホームページでも「お墨付きを与えるものではありません」と表記されていますが、
「内閣府認証」や「都道府県知事認証」には、そこはかとなく、いや、一部の人には
絶大な信頼性があるように受け止められていると思えて仕方ありません。
もし、仮に「公証人役場」がNPO法人の認証業務を無料で行うことになっていたとしたら、
ここまでNPO法人がたくさん設立されたでしょうか?

自主的で主体的な活動の道具として生み出されたはずのNPO法人制度ですが、市民社会の中で
その信頼性を築いていくためには、行政との二人三脚が近道であり、助成や後援等を得る
ことに奔走しがちなのが現状です。このことに矛盾を感じざるを得ません。
それは私たちの意識の中に「行政がお金を出すような団体なら間違いない」と思わせるものが
あるからではないでしょうか。
「行政が認証する」というのも、そういった意味では、重要な要素なのでしょう。
できれば、行政が擦り寄ってくるような?NPO法人が多く活躍して欲しいとも思いますが。

・・・自分自身で話を脱線させてしまってすみません。

先の北海道の例とは異なりますが、行政が、特に小さな市町村がNPO法人を立上げ、
自治会や町内会の組織を活用して組織的に入会を促すようになれば、
その地域に暮らすものとして、これを拒むことは難しく、事実上
第2の税金を納めることに等しいようにも思えます。赤い羽根運動みたいなものですかね。
このようなことも十分起こりえるのではないでしょうか。
もちろん、「道具」であり、入退会の自由はあるとは言え、狭い地域では理想論に思えます。
そのような公益的な活動が必要なら、正々堂々と税金を使って行えばいいでしょうし、それが
できるのが行政でしょう。
むしろ、行政から(特定の公益的活動のためにNPO法人設立を)仕掛けるのではなく、
地域住民の自発的な公益的活動のセクレタリーとして機能することが行政本来の姿といえるのでは
ないでしょうか。
・・・だとしても、行政のNPO法人設立の可否については、既に結論済みなのですよね。

どなたか、私の意見に反論ください。

- WebForum -