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NPO法人の議事録について 投稿者:わっと 投稿日:2006/06/04(Sun) 21:55:00 No.6044
議事録署名人の意見が合わないとの理由で、一総会について2通の議事録が存在しています。
2通の議事録が存在することは、法律上問題がないのでしょうか?
また、議事録署名人の意見が一致した場合、議事録は1通に統一した方がいいのでしょうか?
Re: NPO法人の議事録について 投稿者:弁護士浅野晋 投稿日:2006/06/11(Sun) 15:40:00 No.6045
わっと さん

1、議事録というのは、会議体でどのような事項が議論され、どのように議決され たかを証明する文書です。
  会議体で、どのような事項が議論され、どのように議決されたのかということは客観的事実のはずですから、本来であれば内容の異なる2通の議事録が存在するということはないはずです。しかし、その客観的事実の理解の仕方によっては、異なる内容になってしまうということがありうるのかもしれません。その場合、内容が食い違う部分については、どちらの議事録でも証明することができないということになります。

2、法律上2通作ってはいけないと定められているわけではありませんが、その性質上1通であるというのが通常です。
  仮に議事録署名人の見解が異なる場合であっても、2通の議事録を作るのではなく、1通の議事録の中に、異なる二つの見解を並記すべきです。例えば、
「第○号議案の審議の次第及び議決内容については、議事録署名人甲野太郎と議事録署名人乙川丙子とで見解に相違があるので、以下これを並記する。
     1、議事録署名人甲野太郎の見解
        …………
     2、議事録署名人乙川丙子の見解
        …………」

3、このようにして並記された議案については、甲野氏の見解も乙川氏の見解も、いずれも議事録署名人の「見解」ということに過ぎませんから、見解の相違がある以上、その会議体でどのような審議がなされ、どのように議決されたかについては、議事録では証明できないことになります。

4、従って、これが例えば理事の選任について、甲野氏は「選任する案が可決された」との見解であるのに対し、乙川氏が「選任する案は否決された」との見解であって、これが議事録に並記されている場合には、どちらが正しいか分かりませんから、登記を拒否されてしまうことになります。

5、議事録署名人の意見が一致した場合、議事録は1通に統一した方がいいことは 当然です。

6、なお、6399番の質問の回答を併せご覧ください。

                       弁護士 浅野晋
Re: NPO法人の議事録について 投稿者:わっと 投稿日:2006/06/13(Tue) 22:49:00 No.6046
ご返事ありがとうございます。議事録は通常1通というのは解りました。
この議事録が2通存在しているNPO法人は、市の指定管理者で、市を通して、指定管理者である
NPO法人に情報公開請求した時に、その総会の議事録が議事録署名人の意見が分かれ、2通存在
していると2通とも情報公開資料として提出されました。この場合、指定管理の契約を締結して
いる市の責任は、何か問われるのでしょうか?
Re: NPO法人の議事録について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/06/25(Sun) 18:30:00 No.6047
わっと さん

 見落としていて、回答が遅れてしまいました。すみません。

 NPO法人の運営が混乱して議事録が何通あろうが、それは当該NPO法人の私的自治の範囲内のことですので、市に責任はありません。

 ただし、そんなNPO法人を指定管理者として契約することが、市として妥当かどうかという別の問題はありそうです。

                                   弁護士 浅野晋

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