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業務委託契約書について 投稿者:山本 投稿日:2006/07/13(Thu) 10:42:00 No.6192
山本と申します。
いつもこの掲示板を参考にさせていただいています。

わたし達は障害者小規模作業所を運営するNPO法人です。
このたび、障害者の方々でもできる内職を民間から受託していこう考えています。
そして、ある会社(A社)と話が進んでいるのですが、業務委託契約書に

(所有権および危険負担)
本製品の所有権および危険負担は、甲(A社)から検収の通知がされたときに、
乙(NPO法人)から甲に移転する。

というものがあります。

『内職を受けるのに所有権の移転をする必要があるのか』
という声が、理事さんの中からでています。
所有権を移転するのが一般的であればよいのですが、
理事会の中では、内職の製品を預かって作業をするだけなので、
所有権の移転は変だ。と言う意見が多数を占めています。

また、
(瑕疵担保責任)
①乙が甲に納入した本製品に隠れた瑕疵が発見されたときは、乙は無償で、
 瑕疵のある本製品の修正、代替品の納入、その他甲の求める措置を講ずる。
 ただし、検収後1年を経過したときは、この限りでない。
②乙は、甲に納入した本製品の隠れた瑕疵に起因して甲が損害を被ったときは、
 その損害を賠償する。
 ただし、検収後1年を経過したときは、この限りでない。

という契約条項もあります。
乙が製品を預かった時点で、製品そのものに隠れた瑕疵を発見できなかった場合、
甲の責任も乙が負担する。という解釈もできると思います。
弱小NPOのわたし達には、そこまでの責任を負う能力がないので、契約を躊躇してしまうのですが、
このような瑕疵担保責任も一般的な契約条項なのでしょうか?

長々と書きましたが、お知恵をお貸しください。
よろしくお願いします。
Re: 業務委託契約書について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/07/18(Tue) 07:26:00 No.6193
山本 さん


1、「内職」の内容が分からないので何とも言えない部分もありますが、未完成の商品を預かって、それに何らかの加工をするという形態とすれば、当該の商品の所有権はもともとA社にありますから、「所有権の移転は変だ」というのはその通りです。
契約書を作成するとき、素人の方は書式集をまる写しにしたりすることがありますが、そうすると実態に合わないおかしな契約書になることがあります。この場合、おそらくそのようにして作成した契約書ではないかと思います。
 検収されるまで所有権がNPO法人の側にあるとしたら、NPO法人がそれを自由に売却しても良いことになりますが、これは明らかにおかしいと思われます。
 「この条項は変です」と言って、削除してもらったらいかがでしょうか。

2、瑕疵担保責任についてどのような条項を設けるかは、契約当事者の力関係によります。ご相談の条項の書き方自体は、それほど変な内容ではありませんが、「加工」という実体には即した書き方にはなっていません。
「乙が製品を預かった時点で、製品そのものに隠れた瑕疵を発見できなかった場合、甲の責任も乙が負担する。という解釈もできると思います。」とのご心配ですが、請け負っているのが「加工」という作業ですし、所有権はもともとA社にあるのですから、「乙が製品を預かった時点で、製品そのものに隠れた瑕疵を発見できなかった場合、甲の責任も乙が負担する。」ということはありません。ただ、この条項
ではそのようにも読めますので、次のように「瑕疵」という文言の後に「(但し、乙の行った加工に起因するものに限る。)」という文言を付け加えたら良いと思います。

   「①乙が甲に納入した本製品に隠れた瑕疵(但し、乙の行った加工に起因するものに限る。)が発見されたときは、……」

                                    弁護士 浅野晋
Re: 業務委託契約書について 投稿者:山本 投稿日:2006/07/21(Fri) 10:31:00 No.6194
浅野先生ありがとうございました。

また、どのような内職であるかの説明不足で申し訳ありませんでした。

内職の内容は、主にダイレクトメールの宛名シール貼りと、
郵便番号による振り分けです。

先生にご回答いただいた内容を、理事さんたちに話してから
相手方に、契約書の内容の削除と変更をお願いしてみようと思っています。

丁寧な解説をいただきありがとうございました。

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