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課税について 投稿者:長谷川 久 投稿日:2001/11/10(Sat) 17:10:00 No.622
はじめまして。

CS神戸の方の寄稿「NPO法人の課税問題について」を興味深く読ませていただきました。

そのうえでの素朴な質問なのですが、「関西電力に売電」が物品販売業にあたる、という
ような記述がありますが、電気を売ることも物品販売業とみなされるのでしょうか?

あと、収入に寄付も含まれておりますが、寄付も収益事業の課税対象になるのでしょうか?

あまりにも初歩的な質問なので、お恥ずかしいのですが、お教え願えれば幸いです。
Re: 課税について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2001/11/12(Mon) 08:26:00 No.623
長谷川 久 さん

「売電」が「物品販売業」かどうかは私も疑問です。しかし、「製造業」に
該当することは間違いありません(政令に「電気又はガスの供給業を含む」
とあります)。いずれにせよ法人税法上の収益事業です。
なお、刑法には「盗電」は窃盗罪に当たるという判例があります。

長谷川さんの質問外ですが、エコカーの運営会費が「運送業」になるかど
うかも疑問です。荻野さんの文章からは会費制の内容が不明なのではっき
りとは言えないのですが、乗車回数に関わらず年会費は定額とか、実際に
は利用しない支援者からも同じ会費を集めているというのであれば、収益
事業にはならない(対価性がない)と考えられます。ただし、乗車1回当
たりの会費(料金)が設定されていれば違ってきます。

寄附金は一般的には収益事業の収入ではありません。しかし、一部の税務
署では、CS神戸と同じように課税すると言われる事例が出ています。課
税するという理屈は、「行っている事業が100%収益事業であれば、収入も
100%収益事業の収入である」というものです。介護保険事業者にそういう
例があります。

しかし厳密に言えば事業内容が100%収益事業ではないことも多いはずで
す。たとえばCS神戸の場合でも、セミナー(有償でもほとんどの場合、
非課税)とか無償の啓蒙活動なども行っているのではないかと思います。
仮にそういう事業があれば、決算書を区分して(共通費も配分して)、寄
附金や会費は非収益事業のための収入と主張することが必要です。

もう一点、CS神戸の収入の中に「補助金」が含まれている点も、内容を
知りたいところです。仮に発電設備やエコカーのような固定資産を取得す
るための補助金であれば、収益事業の収入に含めなくても良いという通達
があります(法人税法基本通達15-2-12)。なおこの場合であっても、
減価償却費は補助金分も含めた取得価格をもとに計算して良いことになっ
ています(公益法人等に対する固定資産取得のための補助金は元入金に相
当するという考え方です)。補助金分の償却費を認めないとなると、結果
的に補助金にもなし崩しに課税することになるので、それを否定したもの
です。ただし、固定資産の取得ではなく、収益事業の経費を補填する補助
金であれば課税されます。

              公認会計士・赤塚和俊
Re: 課税について 投稿者:長谷川 久 投稿日:2001/11/12(Mon) 10:39:00 No.624
長谷川です。

> 「売電」が「物品販売業」かどうかは私も疑問です。しかし、「製造業」に
> 該当することは間違いありません(政令に「電気又はガスの供給業を含む」
> とあります)。いずれにせよ法人税法上の収益事業です。

なるほど。

> 寄附金は一般的には収益事業の収入ではありません。しかし、一部の税務
> 署では、CS神戸と同じように課税すると言われる事例が出ています。課
> 税するという理屈は、「行っている事業が100%収益事業であれば、収入も
> 100%収益事業の収入である」というものです。介護保険事業者にそういう
> 例があります。
>
> しかし厳密に言えば事業内容が100%収益事業ではないことも多いはずで
> す。たとえばCS神戸の場合でも、セミナー(有償でもほとんどの場合、
> 非課税)とか無償の啓蒙活動なども行っているのではないかと思います。
> 仮にそういう事業があれば、決算書を区分して(共通費も配分して)、寄
> 附金や会費は非収益事業のための収入と主張することが必要です。

これは、収益事業と非収益事業で区分会計していないと、払わなくても
よいはずの税金を払わなければいけなくなることもある、と理解しても
よろしいのでしょうか。

> もう一点、CS神戸の収入の中に「補助金」が含まれている点も、内容を
> 知りたいところです。仮に発電設備やエコカーのような固定資産を取得す
> るための補助金であれば、収益事業の収入に含めなくても良いという通達
> があります(法人税法基本通達15-2-12)。

これは、以下のところに記載されていることですね。
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kihon/houjin/15/15_02.htm

「CS神戸が取得した太陽光発電設備を固定資産に計上した場合の試算」と
ありますから、この通達が活きるはずですね、きっと。
Re: 課税について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2001/11/13(Tue) 05:59:00 No.625
長谷川久さん

> これは、収益事業と非収益事業で区分会計していないと、払わなくても
> よいはずの税金を払わなければいけなくなることもある、と理解しても
> よろしいのでしょうか。

そうです。ただし区分経理と言っても日常の経理処理を厳密に区分する必
要はありません。決算の時に区分すればいいのです。

> > もう一点、CS神戸の収入の中に「補助金」が含まれている点も、内容を
> > 知りたいところです。仮に発電設備やエコカーのような固定資産を取得す
> > るための補助金であれば、収益事業の収入に含めなくても良いという通達
> > があります(法人税法基本通達15-2-12)。

> これは、以下のところに記載されていることですね。
> http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kihon/houjin/15/15_02.htm

そうです。

> 「CS神戸が取得した太陽光発電設備を固定資産に計上した場合の試算」と
> ありますから、この通達が活きるはずですね、きっと。

その可能性があるということです。補助金が固定資産の取得を目的としたもの
であれば、ということです。

                      公認会計士・赤塚和俊
Re: 課税について 投稿者:長谷川 久 投稿日:2001/11/13(Tue) 16:47:00 No.626
長谷川です。

> > これは、収益事業と非収益事業で区分会計していないと、払わなくても
> > よいはずの税金を払わなければいけなくなることもある、と理解しても
> > よろしいのでしょうか。
>
> そうです。ただし区分経理と言っても日常の経理処理を厳密に区分する必
> 要はありません。決算の時に区分すればいいのです。

この区分経理というのは、公益法人会計の区分経理をイメージすればよいので
しょうか。

であれば、会計ソフトは公益法人会計用のモノを使うのが良いのでしょうか。
Re: 課税について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2001/11/14(Wed) 20:51:00 No.627
長谷川さん

公益法人会計基準の区分経理は、あくまで事業内容に従った区分経理
です。法人税法上の収益事業か非収益事業かという区分ではありませ
ん。この点はNPO法人の場合も同じです。違うのは公益法人会計基
準が特別会計ごとの区分経理を要求しているのに対し、NPO法は本
来事業と収益事業(法人税法でいう収益事業とは定義が違う、当然範
囲も違うということにご注意下さい)及びその他の事業(共益事業等)
について区分経理を要求しているということです。

公益法人用の会計ソフトであっても次元の違う複数の区分経理に対応
しているものはありませんので、利用するメリットはありません。

                公認会計士・赤塚和俊
Re: 課税について 投稿者:長谷川 久 投稿日:2001/11/15(Thu) 15:19:00 No.628
長谷川です。

>   この点はNPO法人の場合も同じです。違うのは公益法人会計基
> 準が特別会計ごとの区分経理を要求しているのに対し、NPO法は本
> 来事業と収益事業(法人税法でいう収益事業とは定義が違う、当然範
> 囲も違うということにご注意下さい)及びその他の事業(共益事業等)
> について区分経理を要求しているということです。

私の頭の限界を越えてしまいましたが、違うということは理解できました。

> 公益法人用の会計ソフトであっても次元の違う複数の区分経理に対応
> しているものはありませんので、利用するメリットはありません。

そうなんですか。

もう少し、きちんと勉強しなければいけないようです。お付き合いいただき
どうもありがとうございました。
Re: 課税について 投稿者:CS神戸/おぎの 投稿日:2001/11/13(Tue) 17:46:00 No.629
CS神戸のおぎのです。アドバイスいただき本当にありがとうございます。

> 「売電」が「物品販売業」かどうかは私も疑問です。しかし、「製造業」に
> 該当することは間違いありません

確かに、当初、販売と思っておりましたが、よくよく検討しましたら、
このことは、「製造業」になりますね。

> ただし、乗車1回当たりの会費(料金)が設定されていれば違ってきます。

通常年会費を集めますが、それ以外に1回乗車ごとに、300円という金額を
設定しています。そのため、収益事業に該当するかと思われます。この乗車料は
このプロジェクトの維持発展のために、どうしてもはずせませんでした。

> しかし厳密に言えば事業内容が100%収益事業ではないことも多いはずで
> す。たとえばCS神戸の場合でも、セミナー(有償でもほとんどの場合、
> 非課税)とか無償の啓蒙活動なども行っているのではないかと思います。
> 仮にそういう事業があれば、決算書を区分して(共通費も配分して)、寄
> 附金や会費は非収益事業のための収入と主張することが必要です。

CS神戸は、すべて事業ごとに区分経理しております。(かなり多くの内容の
事業をしているため)
よって、収益事業と非収益事業との区分は明確にしており、共通費の費用按分も
しております。今回の課税問題の収入のなかに含めていた「寄付金」というのは、
このプロジェクトを行うためにいただいた直接的な寄付金です。

> もう一点、CS神戸の収入の中に「補助金」が含まれている点も、内容を
> 知りたいところです。仮に発電設備やエコカーのような固定資産を取得す
> るための補助金であれば、収益事業の収入に含めなくても良いという通達
> があります(法人税法基本通達15-2-12)。

この基本通達では、
「・・・が国、地方公共団体等から交付を受ける補助金、助成金等」という箇所が
あります。CS神戸は、今回の太陽光発電の設備を取得するに際して、
(財)新エネルギー財団から半額助成をいただきました。このことを補助金と表現
してしまいました。(言葉足らずですみません。)
このお金は、国から新エネルギー産業技術総合開発機構へ、そして新エネルギー財団へ
そして、そこから、補助金という言葉で、CS神戸におりてきました。
固定資産を取得することを目的として、申請したものです。
私なりに、ずいぶん調べて見ましたが、この財団が「国、地方公共団体等」の
『等』に該当しない、という結論に達しました。当然、新エネルギー財団にも問い合わせ
しましたが、同じ結論でした。
それゆえに、この基本通達が適用しないと、判断したのですが、どうなのでしょうか?
Re: 課税について 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2001/11/14(Wed) 21:26:00 No.630
おぎのさん

> > 「売電」が「物品販売業」かどうかは私も疑問です。しかし、「製造業」に
> > 該当することは間違いありません
>
> 確かに、当初、販売と思っておりましたが、よくよく検討しましたら、
> このことは、「製造業」になりますね。

おぎのさんはもうおわかりだと思いますが、他の読者のために補足すれば物品販
売業の定義の中に「不特定多数」に販売するもの、というのがあります。ですか
ら仮に「電力」が物品に当たるとしても関西電力だけに限定して販売するのであ
れば「物品販売業」には当たりません。

> > ただし、乗車1回当たりの会費(料金)が設定されていれば違ってきます。
>
> 通常年会費を集めますが、それ以外に1回乗車ごとに、300円という金額を
> 設定しています。そのため、収益事業に該当するかと思われます。

1回乗車ごとの300円が収益事業の収入になることは否定できないと思います。
しかし自分が利用することを前提としていない年会費については争う余地はある
と思います。もっとも税務署レベルでは認めそうにありませんから、争うとした
ら裁判覚悟で争うしかないでしょう。

> CS神戸は、すべて事業ごとに区分経理しております。(かなり多くの内容の
> 事業をしているため)
> よって、収益事業と非収益事業との区分は明確にしており、共通費の費用按分
> もしております。今回の課税問題の収入のなかに含めていた「寄付金」という
> のは、このプロジェクトを行うためにいただいた直接的な寄付金です。

これも前段と同じです。いくら収益事業のための寄附金とはいえ、寄附金に課税
するのは理不尽だと私は思います。課税当局は営利事業者がそうなのだから当然
だと言いそうですがそのために利益の配分を禁止するという非営利法人の定義が
あるのです。すいません、おぎのさんはこんなことは百も承知ですよね。

> > もう一点、CS神戸の収入の中に「補助金」が含まれている点も、内容を
> > 知りたいところです。仮に発電設備やエコカーのような固定資産を取得す
> > るための補助金であれば、収益事業の収入に含めなくても良いという通達
> > があります(法人税法基本通達15-2-12)。
>
> この基本通達では、
> 「・・・が国、地方公共団体等から交付を受ける補助金、助成金等」という
> 箇所があります。CS神戸は、今回の太陽光発電の設備を取得するに際して、
> (財)新エネルギー財団から半額助成をいただきました。このことを補助金
> と表現してしまいました。(言葉足らずですみません。)
> このお金は、国から新エネルギー産業技術総合開発機構へ、そして新エネル
> ギー財団へそして、そこから、補助金という言葉で、CS神戸におりてきま
> した。固定資産を取得することを目的として、申請したものです。
> 私なりに、ずいぶん調べて見ましたが、この財団が「国、地方公共団体等」
> の『等』に該当しない、という結論に達しました。当然、新エネルギー財団
> にも問い合わせしましたが、同じ結論でした。
> それゆえに、この基本通達が適用しないと、判断したのですが、どうなので
> しょうか?

これも争う余地はあると思います。たとえば「学校法人会計基準」の解釈では
民間からの交付金は補助金には含めないことになっていますが例外としてその
原資が国や地方公共団体であることが明らかな場合は補助金に含めることにな
っています。

                   公認会計士・赤塚和俊
Re: 課税について 投稿者:CS神戸/おぎの 投稿日:2001/11/15(Thu) 12:12:00 No.631
赤塚先生へ

いやあ、なんだかとてもむづかしいことになってきてしまい、驚いてます。

> 1回乗車ごとの300円が収益事業の収入になることは否定できないと思います。
> しかし自分が利用することを前提としていない年会費については争う余地はある
> と思います。もっとも税務署レベルでは認めそうにありませんから、争うとした
> ら裁判覚悟で争うしかないでしょう。

これは、確定決算で、収益事業としては申告せず、、、ということですか?

> これも前段と同じです。いくら収益事業のための寄附金とはいえ、寄附金に課税
> するのは理不尽だと私は思います。

うぅっ! そう言っていただけるだけでもうれしいです。
理不尽だと思うのが、私だけではないと思うと、少しホットします。

>課税当局は営利事業者がそうなのだから当然だと言いそうですが
>そのために利益の配分を禁止するという非営利法人の定義があるのです。

そうですよね。利益配分の禁止という定義が、いまのところ、まったく
何にもいかされていないです。利益配分禁止で、それ以外の取り扱いは
営利事業者と同じ扱いで、、、なんだか、根本的に、釈然としないことが多すぎて。。

> 私なりに、ずいぶん調べて見ましたが、この財団が「国、地方公共団体等」
> の『等』に該当しない、という結論に達しました。当然、新エネルギー財団
> にも問い合わせしましたが、同じ結論でした。
> それゆえに、この基本通達が適用しないと、判断したのですが、どうなのでしょうか?

> これも争う余地はあると思います。たとえば「学校法人会計基準」の解釈では
> 民間からの交付金は補助金には含めないことになっていますが例外としてその
> 原資が国や地方公共団体であることが明らかな場合は補助金に含めることになっています。

そういう例外があるのですか・・
NPO法にも、今後、例外の適用が認められるようになればいいですけれどね。

結論としては、3月確定決算報告のときには、裁判で争うようなつもりがあれば、
非収益事業として申告するのですね?
でも、きっと、事業運営の方が大切であるので、裁判をするようなことには、
ならないように、思いますが、これは私自身の決断の域ではありませんので。。。
でも、「くやしい」です。
ありがとうございました。
Re: 課税について 投稿者:シーズ・轟木 洋子 投稿日:2001/11/13(Tue) 18:31:00 No.632
長谷川さん、赤塚さん、荻野さん、

大変示唆にとむ会話が続いていて、私も勉強させていただいております。

さて、もしかして、この会話のモトであるCS神戸さんの論文がどれなのか、
わからない方もいるかもしれないので、老婆心ながらそのアドレスを下に
ご紹介します。

http://www.npoweb.gr.jp/0801/kikou04.html

http://www.npoweb.gr.jp/0801/kikou05.html

現在は、シーズのトップページからご紹介しているものです。

私自身も、CS神戸の荻野さんが書いておられる疑問について、知りたいなと
思っております・・。

シーズ事務局・轟木 洋子

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