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固定資産について 投稿者:はじめの一歩 投稿日:2006/08/26(Sat) 15:06:00 No.6308
法人化を検討中です。
NPO法人についてよくわからないので教えてください。

現在、任意団体なのですが、固定資産があります。
NPO法人を設立した場合、この固定資産はどのように移行したらよいのでしょうか?
その際にはどういった税金がかかるのでしょうか?
また、その固定資産を売却した場合、得た対価はどのような扱いになるのでしょうか?
もし、その固定資産を寄附する場合、相手先は限定されますか?

質問の内容がわかりにくいかもしれませんが、よろしくお願いします。
Re: 固定資産について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2006/08/26(Sat) 22:30:00 No.6309
はじめの一歩 さん

1、これは任意団体を「法人化」する際のやり方にもよります。
その任意団体が、「法人格なき社団(権利能力なき社団)」としての実体を有していて、それが特定非営利活動法人としての法人格を取得するといういわゆる「法人成り」の場合、任意団体の時点と法人格取得後の時点で社団としての社会的実体は同一ですから、実質的な資産の移動がありません。
任意団体が有しているという「固定資産」が不動産などの登記・登録を要するものである場合には、任意団体名では登記・登録ができませんから、おそらくどなたか主要なメンバーの個人名で登記・登録がなされています。この場合、個人名で登記・登録されていても、実質は任意団体の資産ですから、法人化した後に当該法人名に移転登記をすることとなります。
この場合でも、同じく実質的な資産の移転はありません。
従って、理論上は課税の問題は生じないはずですが、実際に課税実務について は赤塚先生、脇坂先生にお答え下さるようお願いいたします。

2、このような「法人成り」の場合の資産の帰属問題については、東京高裁昭和35年3月14日判決(判例時報230号14頁)、高松高裁昭和55年11月27日判決(判例時報998号73頁)において、上述したような考え方に基づいた判決がなされております。(この「判例時報」という雑誌は、大きな図書館に行けばバックナンバーがそろえてあります。)

3、なお、任意団体が「法人成り」してNPO法人となる場合、手続き上次の点に 注意してください。
・任意団体の総会で、特定非営利活動促進法に基づき当該団体が特定非営利活動法人となることを決議すること。
・その総会で、定款その他の所要事項を決議し、創立総会を兼ねて行うこと。
・特定非営利活動法人になると、従来の任意団体の規則(定款)が、特定非    営利活動法人の定款になり、当然その内容も変更になるから、任意団体の    規則(定款)に従い、任意団体の規則(定款)変更の手続きをすること。
   ・また、変更した定款の附則に「この定款は、本会が特定非営利活動法人の認証を得て登記したときから発効するものとし、それまでは本会の従来の規則(定款)が効力を有する。」という趣旨の条項を設けること。
・遺憾ながら、この「法人成り」というのを全く理解せず、任意団体とは別に新たに特定非営利活動法人を設立する形態しか認めようとしない、「おろかな」所轄庁があること。(この場合、ぜひ徹底的に争ってください。裁判をすると、必ず勝ちます。)

                          弁護士 浅野晋
Re: 固定資産について 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/08/31(Thu) 13:12:00 No.6310
 赤塚先生、脇坂先生からの投稿がないので私の意見を申します。

 結論的に言って、任意団体からの引継ぎ財産について課税されることはありません。
ただその理論構成は浅野先生のおっしゃる私法上の考え方とは少し異なると思います。
NPO法人はNPO法の上で公益法人等とみなすとされ、法人税の上では公益法人と人格の
ない社団は別のものと規定されています。また同一法人の組織変更か、別の法人からの財産
移転かにより、繰越欠損金を引き継ぐのかどうか、消費税の基準年度はどう考えるのかと
いった税法独自の問題がありますので、税法上はおっしゃるケースでは人格のない社団から
NPO法人が寄附をうけたとみなされると思われます。

 ただ受入寄附金には課税はないのが通常であり、収益事業に用いる資産の寄附であっても
実質的な収益事業元入金なので課税されることはありません。
 なおこの解釈は現在の収益事業にのみ課税するという法人税の規定によっているので
今すすめられている公益法人改革の税制論議で非営利法人のすべてに課税するという原則
ができたらどのようになるかわかりません。

>また、その固定資産を売却した場合、得た対価はどのような扱いになるのでしょうか?

長期間使用していた固定資産を売却した場合は、その資産が収益事業のためにつかわれていた
ものであっても課税されないという通達があります。

>もし、その固定資産を寄附する場合、相手先は限定されますか?

NPO法上、残余財産の帰属先には制限がありますが、寄付先には特段の制限はありません。
ただ代表者個人に寄付するなど利益の分配とみられても仕方がない方法は好ましく
ないでしょう。できればその法人の目的にかなう団体などへ寄附を行い、理事会などの
承認をとっておく方が良いでしょう。

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